介護サービスの自費利用とは?訪問介護の料金とメリットとデメリット

介護の豆知識

介護サービスの自費利用の料金は各事業者ごとに設定されており、頼める範囲も様々です。今回は、訪問介護の自費サービスの料金や、それぞれのメリットやデメリットを解説します。

保険適用の訪問介護を拒否している方も、「拒否の壁」を乗り越えるヒントになります。

保険適用と自費サービスを、上手に組み合わせて快適な介護ライフを実現しましょう。

訪問介護の自費サービス 料金はどれくらい?

気になるのは料金ですよね。おおよそですが、家事援助や生活の介助は料金は1時間あたり3千円前後が多く、高いところは5 ~ 6千円前後です。

保険適用よりも高額に感じるかもしれませんが、保険内では頼めないことなども遠慮なく依頼することができます。

自費サービス 料金表


具体的には料金はどれくらいなのでしょうか ?

自費サービスを展開している企業様のうち、4社を一覧表にしました。

下記の料金は、あくまで食事の介助などの生活支援の範囲です。

病院の送迎や、身体を触る身体介護は、事業所によって金額に差がありました。

ですが、それぞれに特徴があり一般的な介護だけでなく、家具の移動や、家事支援以外にも柔軟に対応してくれます。

事業者名料金(目安)ポイント
ニチイライフ・スポット(その時だけ)依頼 5,500円
・定額  30分 1,320円~
・定額 一時間 2,860円~
・スポット利用より定額プランが安い
ツクイ
「PRIME ONE(プライム ワン
・30分 1,870円
・一時間 3,300円
・介護も家事支援もすべて同額
・30分単位で依頼OK
SOMPOケア・非公開(各事業所で異なる)
問い合わせ:
0120-37-1865
クラウドケア(Croud Care)・スポット依頼 一時間3,300円
・定額 一時間/週 2,750円
・シンプルな料金体系
・HPで料金シュミレーション可能
※1 料金は目安です。割増料金や、依頼内容により異なります。詳しくは各事業者様へお問い合わせください。

筆者は、父の為に自宅近くの事業者を探してみたところ、予想以上に多数ありました。 

緊急の時や、時間の工面ができないときはそちらに依頼しようかと思っています。

料金も、身体的介助のある身体介護や、病院の送迎以外なら、料金の差はありませんでした。

自費サービスの内容は? メリットとデメリット

保険適用外(自費サービス)と適用内はどう違うのでしょうか?

自費サービスは、保険適用の範囲ではできないことも、様々な依頼ができるので、一人一人に沿った介護が可能です。

例えば、家族が不在になる時間帯に、着替えの介助と、昼食の用意、その後電球の交換まで、一気に依頼することもできます。

庭の草むしりや、犬の散歩も一緒に依頼してもいいかもしれません。介護と家政婦さんを合わせたイメージに近いかもしれませんね。

このように自費の費用を払っているからこそ、要望にそったサービスを行ってくれるのが介護保険外の自費サービスです。

費用はかかりますが、便利性はかなり高いサービスとも言えます。

【メリット】
・依頼できる内容の範囲が広い。介護保険ではできないことも、柔軟に対応してくれる。
・開始時間、終わり時間の厳格な縛りはない。必要な時に対応してくれる
・有資格者はもちろん、訪問看護にも対応可能
・相性の合うスタッフの再指名も可能。

【デメリット】
・料金が高い。保険適用の約10倍。

低価格なシルバー人材センターの活用

高額に感じる自費利用サービスですが、低価格な有償サービスに「シルバー人材センター」があります。

自治体が管轄する人材派遣の一つで、派遣されてくるスタッフは60歳以上の働ける高齢者たちです。

筆者の近所でも、このシルバー派遣を利用されている方は少なくありません。

ちょっとした草むしり、家族の外出中の話し相手(見守り)、電球交換など、頼める仕事も広範囲です。

ただし、派遣されてくるスタッフは介護の有資格者ではない一般の方なので、本格的な介護の提供ではなく、あくまで高齢者スタッフで、極端に重いものや負荷のかかるお仕事は依頼できません。

筆者のご近所さんのお宅では、「見守り」で利用されていました。

娘様は一人で認知症のお母様を介護しており、普段は保険適用で、通所の介護施設を利用されています。

時々このシルバー人材派遣をつかって、ちょっとした外出を済ませていました。

娘様が外出中に、お母様は縁側に座り、お庭ではシルバースタッフが草むしりしていました。

「成程、そういう使い方もあるのか」と気づかされました。

保険適用と適用外の自費サービスを上手に利用されていますよね。

【メリット】
・草むしりや電球交換なども気軽に依頼できる
・低価格。一時間あたり数百円(金額の設定は各自治体により異なります)

【デメリット】
・介護の資格はない、一般の高齢者が派遣されてくる
・高度な介護や高齢者に負担のかかる仕事は頼めない

看護師さんに依頼できる自費サービス


我が家では父の病院付き添いが必要な日に、母も私も仕事で手が離せない時もあります。

そんな時に付き添いから、送迎、生活全般の介助までしてくれるサービスは、今ほどありませんでした。

父は、大腸がんや脳卒中の後遺症があり、身体の麻痺も残っているため、一人ではうまく動けません。

毎日のお薬も数種類ある為、母はよくこう言っていました。

「薬の知識がある人に全部頼めたら助かるのにね。」

医療行為ができるヘルパーの依頼は、介護保険適用の場合、要介護度が高い人もしくは、条件に合った場合に派遣されます。

ですが、自費利用ならその限りではありません。看護資格を保有する方に訪問介護をしてもらうことも可能です。

家族としては、安心して外出できますよね。

毎回の利用ですと、費用もかかりますが「ここぞ!」の時には、こういったサービスも候補に入れておくとよいでしょう。

介護保険適用のサービスの特徴

そもそも、介護保険を使ったサービスとは、どんなものなのでしょうか?

実は、細かな取り決めがありその範囲内でしか利用できません。

あくまで、自立した日常生活を送るための、最低限の介護となります。

入浴や排泄など身体を触りながら行う身体介護と、買い物、調理や洗濯などの生活の支援です。

入浴が一人では困難で、他人の介助が必要な場合や、食べのもをうまく口に運べない時にする食事の介助などがこれに該当します。洋服の着替えやベットの移動なども入ります。生活をするために必要な介護ですね。

この範囲を超えたものは保険適用外となります。

例えば、介護保険サービスでヘルパーさんにお野菜のお買い物を頼んだ場合、

「帰りに、郵便局で切手買ってきて」は頼めません。

「そんなこともできないの?」と思うかもしれませんが、介護保険のサービスとは、保険を使った公的サービスの為、個人的なサービスができないのです。

厚労省からもガイトラインがでています。

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をします。

厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索

保険適用サービスのメリットとデメリット

保険適用内のサービスは、日常生活にさほど影響がない、または個人の趣味嗜好によるものなど、範疇を超える物には適用されません。

例えば、犬の散歩、年末の大掃除などです。ですが、日常生活への介助なら、適用内でも十分です。価格も自費の10分の一で済みます。

【メリット】
・低価格。自費サービスの約10分の1
・決められた時間内で介護をしてくれる

【デメリット】
・依頼できるサービスは、介護保険法に沿った範囲でしかできない。
・看護資格のあるヘルパーは、医療行為に準ずる夜間の見守り看護など限定的。

厚生労働省のウェブサイトから、介護保険法に基づくサービスが検索できます。

「介護保険サービスではどんなことができるのか?」細かく分かるのでとても便利です。

厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索

自費利用だけじゃない 介護を楽にする道具

訪問介護は、自立支援の一環です。自費の訪問介護だけでなく、使える便利な道具もたくさんあります。
こういったものも使うことで、訪問介護の回数が減らせたら、介護者の負担も軽くなりますよね。

親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること

親を見守り、自立を支える道具やアイデアを紹介。利用できる制度から、ウエブカメラなどの道具まで、介護を楽にするアイデアが満載です。
仕事や育児と介護の両立や、遠方にいる親の見守り介護など、ちょっとしたことで介護者の負担が軽減されるので、一度は読んで欲しい一冊です。

自費サービスは利点を最大限に利用しよう

自費のサービス利用は、保険適用と比べると確かに費用はかかります。

その分、自分だけのサービスをカスタマイズすることができます。あなたの都合で依頼を組み合わせることが可能です。保険適用ではカバーできない、どうしても人手が足りない時に、かゆいところに手が届く介護サービスが、自費の訪問介護です。

訪問介護を拒否されていたら?


訪問介護を拒否している、もしくは何らかの理由で利用できない方も、自費利用の訪問介護で、頼みやすいものから依頼してみることも可能です。

他人の介護を拒否しているなら、草むしりや電球交換、家具の移動などちょっとした依頼から、ハードルを下げることもできるかもしれません。

月に1回だけご飯を作ってもらったり、エアコンのお掃除を頼んでみるなど、本人の日常生活に役立つことで、拒否のハードルを下げてみることも方法の一つです。

筆者の父は、頑なに他人を家に入れません。そんな時にエアコンのそうじや、庭の草木の手入れだけは依頼しています。
ちょっと目線を変えて、訪問介護の「拒否の壁」を低くしてみましょう。

まとめ


長い介護生活、負担を最大限に軽くするには、保険適用と自費利用をうまく組み合わせて介護することが必要なのかなと思います。

「安く済ませたいから保険適用だけで」と考える方のほうが多いと思います。ですが、そればかりになると、相手が中心の生活になってしまい、介護者の生活が窮屈になってしまいます。

介護者の負担を軽減するためにも、保険適用外の自費サービスを候補の一つに入れてみてください。介護を長く続けるコツは「楽をすること」でもあります。

また、私たちキャプスには介護の有識者や、看護師の有資格者など「介護の専門家」が多数在籍しています。公式LINEでは、それぞれの専門家たちが、出来る限り質問にお答えいたします。もちろん無料です。

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投稿者プロフィール

音野 響
音野 響
元銀行員。40代副業ライター。
得意分野は介護と金融
時々犬(愛犬家・証券外務員2種保有)

脳卒中による半身麻痺、
大腸がんなど病気のオンパレードで
認知症状も増えてきた父親の介護を
10年以上やっています。

モットーは「毎日明るく」マンガと小説好き。
介護ストレスと上手に付き合っています。

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