在宅介護を始めるとき、どんな生活になるか想像できずに不安になりますよね。
7年前に父の介護が始まったときも今後の見通しが立たず、モヤモヤとしていました。
この記事では、父の経験により得た知見を元に、在宅介護のメリットやデメリット、限界を迎えたときの対応策について解説しています。
この記事を読むと、在宅介護を始めた際のイメージができ、プラスとマイナスの面を知識として理解できます。心配が少しでもぬぐえるよう、ぜひ最後までお読みください。
在宅介護の現状

平成22年度に内閣府で実施した、介護保険制度に関する世論調査結果は以下のとおりです。
自分自身が老後に寝たきりや認知症になり、介護が必要となった場合に、どこで介護を受けたいと思うか聞いたところ、「現在の住まいで介護を受けたい」と答えた者の割合が37.3%と最も高くなっています。
自分自身が「現在の住まいで介護を受けたい」と答えた者(1,221人)に、それはなぜか聞いたところ、「現在の住まいで生活を続けたいから」を挙げた者の割合が82.8%と最も高くなった。
出典:「介護保険制度に関する世論調査」(内閣府)
調査結果から、介護を受けるとしたら、在宅介護を希望する人が最も多いことが分かりました。もしもの場合に備えて、在宅介護について事前に想定するとよいでしょう。
在宅介護が必要な理由

父は2015年に脳出血で倒れ、病気により左半身に麻痺が残りました。麻痺はあるものの自力で移動でき、トイレも1人で行けます。
そのため、以下の理由から在宅介護を始めました。
- 父が在宅介護を希望したため
- 出費を抑えるため
退院前に病院の作業療法士やケアマネージャーと相談して家を整えて、在宅介護の準備をしました。
左も右も分からないままに始まった在宅介護。
無我夢中で父との生活を積み重ねるうちに、メリットとデメリットが浮かび上がってきました。
在宅介護を始めるにあたって、必要なものをそろえた記事も参考にしてください。
在宅介護のメリット

在宅介護を行ううえで私が感じたメリットは4つありますので、順に解説します。
住み慣れた家で安心して暮らせる
父の入院中の目標は、自宅に帰ることでした。
なぜなら、落ち着かない入院生活から住み慣れた家に戻り、安心したかったからです。家へ戻りたいと願うのは思い出が詰まっている大切な場所で、気兼ねなく暮らしたかったからでしょう。
介護状態になり、心も体もストレスを抱えている父にとって、自宅は精神的に安心できる場所でした。住み慣れた家に住むことは要介護者にとって、大きなメリットです。

親が倒れたら、まず読む本
頑張らない介護とは、考え方のコツを知っているかどうかにかかっているのです。
①必要なサービスやモノにはお金を使って
(良い意味で)手抜きする、介護はお金で買う
②時間をかけるもかけないも結果的に得するかを判断する
③介護に完璧はない!良いことを考えながら気持ちを切り替える。
介護の質を落とさずにストレスを減らす方法を教えてくれる1冊です。
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費用が抑えられる
在宅介護では必要なサービスと時間を選べるので、費用を抑えられます。
例えば、父は平日の午前か午後にしぼり、デイケアに通っています。通う場所は筋力向上を目的にした場所、作業療法士など専門家が在籍するところを選んでいます。
そのため、施設入所のように1日を通してサービスを受けられる場所と比べると、節約できます。
経済状況と照らし合わせながらサービスを選択できるので、費用面の見通しが立てられます。家族も安心して介護を続けられるのが、2つ目のメリットです。
介護サービスを自由に組み合わせられる
介護者の状況や家族の生活に合わせて介護サービスを選択し、カスタマイズできるのが在宅介護の強みです。
父は筋力増強とむくみ改善のため、3カ所の介護サービスを選んでいます。
専門家に託せるので、家族も安心して過ごせます。介護者本人と相談しながら、介護サービスを組み合わせてみましょう。
介護サービスを活用している父の一日の流れの記事も、参考にしてください。
要介護者の変化に気づける
一緒に暮らしているため、父の小さな変化に気づけます。
例えば、いつもと比べてぼんやりしているので声をかけると、夜間頻尿が普段より多く、眠る時間が短かったと教えてくれました。
睡眠時間が短かったことをデイケアに伝えて状況を共有し、午後は早めの昼寝を促します。
いつもと異なる様子に気づけて、すぐに対応できるのは、在宅介護のメリットの1つでしょう。
在宅介護のデメリット

在宅介護のデメリットは、一緒に同居する家族へ負担がかかることです。
特に、父の介護を主にしている母に休みはありません。
1日のうち、起きている時間の大半を父に気を配っています。介護は365日休みがないので、家族といえども想像以上に大変です。介護生活も7年以上続いているので、身体的・精神的疲れは増し、疲労が蓄積されています。
また、父中心の生活を送るため、自分を後回しにする場面が多くなります。
父がデイケアに行っているうちに買い物をすませ、帰宅後すぐに食べられるようご飯を準備。消耗品の買い出しや福祉用具の洗浄など父の時間軸に沿って生活するため、自分をないがしろにしているようでつらくなるようです。
なぜ自分ばかり苦労しなければならないのか思い悩む場面もあります。
在宅介護は介護者の拘束が長く、身体的、精神的な疲労を招くのがデメリットでしょう。
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在宅介護の限界点に達する前の対応策

在宅介護が長くなると、疲れやイライラなどのストレスがたまり、限界を迎えるときがあります。
その場合、状況を変えるためショートステイを利用したり、ケアマネージャーに施設入所について相談したりしてみましょう。
父は介護生活6年目のころから、身なりに気を使わなくなりました。
トイレを終えると、オムツやズボンを上げ切らずに部屋に戻ることが増えたため、母が衣服を整えます。その都度自分で直すように声をかけますが父は聞く耳をもたず、母との小競り合いが増えてきました。それ以外にも、母は父へのストレスからイライラが募り、疲れた顔をするのが日常茶飯事になったのです。
そこで、ショートステイを利用。
最初はすっきりと心が晴れますが、元の生活が始まると好転しない現状に、強いストレスを感じているようでした。
そのため、さらに踏み込んでケアマネージャーに施設入居できないか相談。
結局、年齢や介護の度合いから、希望してもすぐに入れないことが分かり、在宅介護の継続に気持ちを切り替えました。
我慢から一変、ケアマネージャーに相談し、具体的な行動に移せたことから気持ちが吹っ切れたようです。
介護者が疲れ果てると、共倒れになる危険性があります。
- 気分転換に好きなことをする
- 介護者と離れた時間を過ごす
- ケアマネージャーなどに相談する
限界に達する前に、気持ちが楽になる方法を選びましょう。
施設入所について知りたい方は、こちらもご覧ください。
在宅介護のコツをつかんで、快適に暮らそう

在宅介護にはメリットがある半面、支える側のメンテナンスも重要です。
介護者が過ごしやすい空間を整えながら、介護者自身も息抜きに好きな時間を過ごして、心も体も整えましょう。
在宅介護のメリットとデメリット、限界に達したときの対応策を知ったうえで、介護に向き合うとよいでしょう。
それでも、繰り返される介護のストレスやイライラ、悲しみ、困りごとに心が占拠されることもあります。誰かに愚痴を吐き出し、相談にのってほしい。そのときは、当サイトの「つぶやきたい」や公式LINKからご相談を承っています。お気軽に投稿してください。
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投稿者プロフィール

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父が脳卒中により、介護生活がスタート。
メインの介護者である母をサポートしながら、2人の子育てに奮闘しています!孫育てをリハビリ代わりにして、今日も家族で力を合わせて過ごしてます。
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