病気の親と同居すべき?一緒に住む3つのメリットと5つのデメリットを解説

病気・ケガ

「親が病気になったら、同居すべきなの?」
「同居したら、どのような生活を送ることになるの?」

そんなお悩みをもっていませんか。

親が高齢になると病気のリスクが高まり、健康に不安を感じる機会も多くなるでしょう。

とはいえ、もともとは一緒に住んでいた親子であっても、一度実家を出てしまうと生活スタイルが異なったり、家庭をもったりとそれぞれの生活が確立されています。そのため、大人になってからの親との同居はハードルが高くなります。

ましてや、義理の両親であれば、そのハードルはさらに高まるでしょう。

この記事では、病気の親と同居した場合のメリットやデメリットについて解説します。

介護が必要となった父と同居していた、筆者の実体験に基づく具体的な話にも触れます。読み進めれば、同居についてさまざまな視点をもてるようになるでしょう。

同居を選択したものの、ご自身の生活や仕事に困難を抱えた場合の対応策についても説明しています。大切な局面での情報として参考になりますので、ぜひ、最後までお読みください。

病気の親と同居するタイミング

悩ましい顔をする老婦人

核家族化が進む現在において、高齢者の一人暮らしが増加しています。


元気であったり近くに住んでいる場合はあまり同居を考えなくてもいいかもしれませんが、病気がきっかけで家のことができなくなったり、容体の変化が心配で、同居を考えはじめる人は少なくありません。
しかし、子供が同居を勧めても、親が拒否するケースもあります。子どもの生活に親が入りこむことが迷惑だからと遠慮する気持ちもあるのでしょう。お互いの生活スタイルや家族との関わり方もあるので、親の気持ちも尊重しながら、お互いが納得するタイミングで同居を検討することが必要です。

それでは、病気がきっかけで親との同居を考えた場合のメリット・デメリットについてみていきましょう。

病気の親と同居する3つのメリット

ソファで笑顔の老夫婦

病気の親と一緒に暮らすことは、以下3つのメリットがあります。

  • 親の健康状態を確認できる
  • 安全を確保できる
  • 経済的な負担を軽減できる

1. 親の健康状態を確認できる

毎日、顔を合わせるので、些細な変化にも気づけます。

例えば、顔色や表情からいつもと違うことに気づけるため、デイケアをお休みしたり、すぐにかかりつけ医に連れていけたりと、早期に対応できます。

2. 安全を確保できる

高齢者を狙った詐欺や強盗なども多い昨今。同居をすることで不審な電話や訪問に備えられます。

親が困っているときにヘルプを出せたり、複数人で対応できたり、被害防止にもつながります。

3. 経済的な負担を軽減できる

親の収入などにもよりますが、同居することで、住居費や食費、光熱費の負担を軽減することができます。経済的な負担をシェアできるのも、メリットの1つでしょう。

親を扶養に含められれば、住民税や所得税の控除も受けられて、出費を抑えることにつながります。

支出を抑えられる手段として、同居は有効であるといえるでしょう。

筆者である私自身、同居したことで父の様子を自分の目で見ることができ、直接サポートもできるので親孝行の一環にもなりました。

高齢になるとできないことが増えますが、ささやかなことで笑いあえる「今」この瞬間を大切にしたいと、気持ちが変化したということもメリットかなと思います。

病気の親と同居する5つのデメリット

メリットとデメリットのどちらを進むか考える高齢者

一方で、病気の親と一緒に暮らすことには、5つのデメリットが考えられます。

  • ストレスが増える
  • 自分の時間が少なくなる
  • 親の精神的な負担が認知症の原因になることも
  • 心身への負担が増える
  • 経済的負担が増える

1. ストレスが増える

親との生活時間が異なり、イライラするときもあります。

自身が子供の頃の時代とは違い、親は高齢に、自分自身も仕事や趣味などで生活スタイルが変わり、寝る時間も起きる時間も変化しているはずです。食事や風呂の時間も異なることも多いでしょう。

お互いの生活音が気になってしまったり、片づけをしたいのに食事が遅い、風呂を早く入れなくてはいけなくなった、など、自分の生活リズムが崩れてしまうことがあります。

生活時間の違いは、双方にとって大きなストレスとなります。

父は目が覚めると、リビングの電気とテレビをつけます。それが、朝5時でもお構いなし。
すると、音と光で子どもたちが目を覚ましてしまうこともありました。もちろん、私も。
当時は下の子に夜間授乳していたので、常に寝不足。そのためストレスに感じることもありました。

2. 自分の時間が少なくなる

同居人数に比例して家事の量も増えるため、自分の時間が限られます。

例えば食事をする人数が増えると、買い物の量や回数、食器の枚数も増えるため、家事の時間がより長時間化します。同様のことが洗濯でも起きます。病院に連れていくことが増えたりと、親の行動に合わせて自分の時間を使うことも増えるでしょう。病気により介護が必要な状態になれば、排泄や入浴の介助の負担も増えます。

父は左半身が麻痺しているため、自力でかかりつけ医に行けません。さらに、母は自動車の免許を持っていないため、私が送迎することに。
同居していなければ両親だけで対応していたでしょうが、同じ空間にいると必然的に目に入ります。すると、親孝行の一環だとついつい頑張ってしまうことに
医師とのやりとりや、薬の受け渡しなどに対応し、帰るころには疲れ果てることもしばしばでした。

3. 親の精神的な負担が認知症の原因になることもある

同居のため親が慣れ親しんだ家や町から引っ越した場合、精神的な負担により認知症を引き起こす場合があります。

環境の変化はプラスの効果が生じることもありますが、高齢である場合、それがストレスとなり、心身の不調につながることもあるので注意が必要です。

もちろん、同居により、自身が親の家に引っ越す場合も同様のことがいえます。人間関係や環境、生活様式が一新されてしまい精神的な不安を感じることもあるでしょう。

4. 心身への負担が増える

親との同居は生活スタイルの大きな変化からストレスを感じて、心身ともに体調を崩す場合があります。
ストレスだけではなく、実際のケアや家事負担の増加による疲れ、睡眠不足が引き金になることもあります。
親の病気のケアなどを考えて同居を選んだ結果、共倒れ状態になってしまうということはよく耳にする話です。
それほど親との同居や病気のケア・介護というのは大きな負担になるのです。

わが家の場合は父がいつ病気を再発するか心配で、気を遣いすぎて気が張るように。
父自身も不自由な体になったことで大好きな仕事も気ままな運転もできず、いら立ちや怒りを家族に向けるようになり、家族内が険悪なムードになることもありました。

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5. 経済的負担が増える

「メリット」で述べたように、住居費や食費、光熱費について折半できれば経済的負担が減ることもありますが、そうでなかった場合や、医療費や介護費についても自身が負担する必要がある場合は経済的負担は大きく増えることになってしまいます。

例えば、病気になると医療費や介護費が必要となります。親の蓄えからまかなえない場合、自身の生活費から支払うことになるため、将来の備えに不安を感じることもあるでしょう。病気に伴う薬や治療費、介護サービスの利用料金など、意外と大きな負担となってきます。

安心して同居するための4つの注意点

Thank You!と書かれた封筒に、ピンクのハートが置かれている

それではメリット、デメリットをふまえて、心穏やかに同居するにはどのような心構えが必要でしょうか?
意識したいポイントは次の4つです。

  • ルールを決める
  • プライバシーを尊重する
  • 生活習慣の違いを理解しあう
  • 自分の時間を確保する

1. ルールを決める

生活習慣や生活リズムが異なると、ストレスを感じることもあります。
そのため、お互いが気持ちよく過ごせるために、ルールを決めましょう。

例えば、父はテレビを見るのが習慣です。
一方で食後は、テレビをかけたまま、うたた寝することもあります。
船をこいでいると、倒れるのでは?と気にかかってしまい、精神衛生上よくありませんでした。
そのため父と話し合いをし、転倒防止のため、眠くなったらベッドに寝てほしいと伝え、改善してもらいました。

2. プライバシーを尊重する

同居する上で大切なのは、お互いに干渉しあわないことです。
外出する際に詳細を詮索されたときは、家族といえど、いい気持ちはしませんでした。
適度な距離を保ち、お互いのプライベートを尊重すると、よい関係を築けます。

3. 生活習慣の違いを理解しあう

親として、子として、見えてしまうとどうしてもひとこと言ってしまいがちです。
早く寝なさい、早く起きなさい、テレビを見すぎ…などなど。
しかし、お互い大人同士ですから、自分が心地良いと思う生活習慣はできあがっていて、誰かのために変えるということは大きなストレスになってしまいます。

同居をスタートする前に、お互いの生活習慣の違いについて話し合い、理解しあいましょう。音や光などはお互いの睡眠にも関わることですから、可能であれば部屋の配置や照明、防音などの工夫をして、できるだけ双方が快適に過ごせるようにすることも大切です。

同居が始まった当初、仕事が忙しく遅く帰る日が続いていました。
父はすでに就寝中。起こさないように物音やテレビの音量に気をつけました。
そのうえで、好きなドラマやバラエティを見て、リフレッシュ。

生活習慣の違いに配慮すると、心地よい時間をお互いに過ごせるようになります。

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4. 自分の時間を確保する

同居していると親と過ごす時間が増えていき、息苦しさを感じることもあります。
そのため、意識して自身の健康やメンタルケアをすることが重要です。

買い物をしたり、友達と会って話したり、自分の時間を確保してください。

定期的にリフレッシュや休息時間を確保しましょう。

同居が難しく感じた場合の5つの対処法

色鉛筆でいくつもの吹き出しを書かれている紙と鉛筆

お互いを尊重しながら同居したとしても、親の症状の悪化やご自身の心身の不調をきたす場合もあります。そのときは次の5つの対処法を試してみましょう。

  • ケアマネージャーやかかりつけ医に相談する
  • 家族や親戚に協力してもらう
  • 近居に住む
  • ショートステイを利用する
  • 施設を探す

1. ケアマネージャーやかかりつけ医に相談する

病気の親との同居が負担に思えてきたら、まず専門の人に相談しましょう。

具体的には、ケアマネージャーやかかりつけ医です。

介護をする母が疲れきってしまったとき、ケアマネージャーに相談したことがありました。

  • 施設入所はできるか
  • 介護保険で他に利用できるサービスはあるか

結果は自宅介護を続けることを決断しましたが、専門家に相談すると新たな道が見えるかもしれません。

2. 家族や親戚に協力してもらう

ご自身だけで親の介護をするのが難しい場合、他の家族や親族に相談してみてはいかがでしょうか。

困難な現状や助けてもらいたいことを伝えることで、責任を共有し、助け合う仕組みを構築できるかもしれません。具体的な支援について相談し、協力を依頼してみましょう。

3. 近居に住む

同居が難しい場合、親が自活できるのであれば近くに住んでもらうのも1つの手です。
具体的には「近居」と呼ばれる、車や電車で1時間以内の場所に住む方法です。

近居のメリットは、適度な距離感を保てるので、お互いのプライバシーを守れます。
何か困ったことや非常事態があったときに駆けつけられると、お互いに安心して暮らせるでしょう。

4. ショートステイを利用する

病気の親と同居して自分の時間がとれない、心身ともに疲れたと感じるときは、ショートステイを利用してみてはいかがでしょうか。

わが家も父との衝突が増えて、家族が疲れ果てたときに利用しました。
安心して預けられますし、父が不在になると家族もホッと一息つけたのでした。

5. 施設を探す

介護度が上がってくると、介助に時間をとられます。

例えば、トイレの介助が必要な場合は、昼夜を問わず対応することになり、睡眠不足でストレスを感じることもあります。
介護疲れで、仕事に支障をきたすかもしれません。

そのようなときは、ケアマネージャーに相談してみましょう。
夜間訪問や施設の入居など、さまざまなサービスを聞くと、ご家庭に最適な候補があがります。場合によっては施設入所も視野に入れてみましょう。

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まとめ

Familyの字の前に立つ多くの人たち

病気の親と同居する場合には、親と子どもの双方に多くのメリットがあります。

しかし、デメリットとしてストレスの増加や、親の症状の悪化を引き起こす場合もあります。

もし、同居が難しいと感じた場合には、対処法を参考にしてみてください。

各ご家庭の状況や病気の程度もありますので、同居する前にしっかり話し合っておきましょう。

それでも、誰かに不安や気持ちを聞いてほしい場合、当サイトの公式LINEや「つぶやきたい」を活用してください。

公式LINEによる相談

キャプスチャンネルでは介護相談窓口として公式LINEを運営しています。
当サイトには介護・看護従事者が多数所属しており、ご相談にできる限りお答えいたします。

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誰かに聞いてほしいけど、近くに話ができる人がいない。

同じ境遇の人と、この気持ちを共有したい。

そんなときは「つぶやきたい」のスペースでつぶやいてみてください。このサイトには介護をしている人たちが集まってきます。きっと共感してくれる人がいるはずです。

つぶやきたい画面

投稿者プロフィール

冨田 裕子(とみたひろこ)
冨田 裕子(とみたひろこ)
父が脳卒中により、介護生活がスタート。
メインの介護者である母をサポートしながら、2人の子育てに奮闘しています!孫育てをリハビリ代わりにして、今日も家族で力を合わせて過ごしてます。

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