親の介護で兄弟が不公平感を感じること|トラブルにならない方法は?

介護の悩み

親の介護で兄弟が不公平感を感じることはよくあります。それぞれの生活スタイルや考え方があり、どんなに仲が良くてもトラブルに発展することも。この記事では、兄弟間での親の介護をめぐる問題とその対処法についてまとめています。

親の介護で兄弟が不公平感を感じること

よく相談がある「親の介護で兄弟が不公平感を感じること」を見ていきましょう。

実際の介護をほとんどしない

一緒に住んでいるかいないか、住んでいる場所の距離など、場所的に難しさもあります。
長男だからと押し付けられるケースや、親との心の距離が近いからとなんとなく任せっきりにされていることもあります。
また、例えば一緒に住んでいても、女である自分ばかりが介護をして、兄(弟)はほとんど何もしないということもあるでしょう。
介護の状態にもよりますが、排泄や入浴など、体を触ったり見たりするような場面では、女性に対しては男性が、男性に対しては女性が介助を行うというのはとてもハードルが高いかもしれません。
いろいろなケースがありますが、兄弟の誰かにばかり介護の負担がかかると、大きな不公平感に感じてしまいます。

仕事をしているから、フルタイムだから、家庭があるからなどの理由で介護に協力的でない場合もありますが、状況は違えど、それぞれに生活があり、フルタイムやパートタイム、専業主婦だとしても、介護の負担が偏ることは望ましくありません。まるで自分は「暇だろう」「余裕があるだろう」と一方的に思われているようで、とても不満に感じます。

ねぎらいの言葉がない

距離や仕事の問題、性別の問題などで、なかなか協力が難しい兄弟がいることは仕方のないこともあるかもしれませんが、大きな不公平感を感じる裏側には、「ねぎらいの言葉がない」ということもあります。
「お前がやって当たり前」「介護サービスを使っているからそんなに問題じゃないでしょ?」という言葉が出ることもあるかもしれません。
介護は、実際に介護をした人でないとわからない大変さがあります。
見えていないところで身体的にも精神的にも負担があるのに、「ありがとう」「ごめんね」「助かるよ」の言葉がないことで、不公平感、不満が募っていきますよね。

親の介護で兄弟がトラブルにならない方法

こうした不公平感・不満を感じると、大きなトラブルになりかねません。親も、自身の介護がきっかけで家族の絆が壊れてしまうことは望んでいないでしょう。
では、どうすれば不公平感を軽減させ、トラブルに発展するのを防げるのでしょうか。

介護の負担ができないならお金の負担を

介護の負担は、日常的な実際の介護だけでなく、お金の部分もあります。
一般的には、親の介護費用は親自身の年金や預貯金から捻出するのが普通ですが、それができない場合や、ちょっとした日々の生活費などで子供が負担することもあります。
また、大きな金銭的な負担がないとしても、自分の時間を使い、生活を犠牲にしていること、介護をするために自身が費やしている細かなお金もあるでしょう。
もし、介護の負担を兄弟が担ってくれない場合、お金の負担をお願いすることで不公平感が減ることもあります。
もちろん、伝え方はとても難しいですが、こういったところを自分は負担していて、この部分のお金を捻出するのがキツイから、協力してもらえないか。
フランクな場合は、介護を頑張るから、頑張っているから、たまにはおいしいもの食べさせて。というお願いもひとつかもしれません。何もしてもらえない状態から、少しでも気遣いをしてもらう努力をするのも(難しいですが)ひとつの解決策だと思います。

第三者と話をしてもらう

兄弟関係にある者同士で話をしても、「大げさに言っている」「本当は大して苦労していないのでは」と思われることもあるかもしれません。
実際の介護は難しくても、ケアマネさんとの会話に1度でも入ってもらい、現状を聞いてもらうというのもいいかもしれません。家族というのは馴れ合いで話を進めてしまいがちです。大変さに気付いてあげられないこともあります。
第三者から聞く言葉で、大変さを理解してもらうきっかけができる可能性もあります。

また、もしもこのように話をしたり、歩み寄ることが難しい場合、弁護士などに間に入ってもらい、解決するという方法もあります。
できれば穏やかに解決したいですが、当事者同士が話をすると感情的になるケースが多いのです。家族には「扶養義務」があるという点から、法律的に、どのようにしたら不公平感を解消できるかを、司法的立場に入ってもらい話し合うことも実際に多くあります。

親の状態を見てもらう

遠方にいたり、仕事があったりと、実際の親の状態や介護の状況を見ていない兄弟は、どう大変なのか、どれだけ大変なのかが理解できていないことがあります。
「これを見てよ!こんなに大変なのよ!」というのでは角がたちますが、「お母さん(お父さん)は今こんな感じだよ」「今日はここに連れて行ったよ」などと、近況報告をする感じで共有するというのはひとつではないでしょうか。

介護について兄弟に相談する

自分ひとりで介護を行っていると、良かれと思って何もかもを自分で解決してしまうこともあるでしょう。
兄弟は、相談されないことで、「なんとかできている」と思ったり「自分は必要ない」と思っていることもあります。
「最近ここで転倒することが増えたのだけど、何かいい解決策はないかな?」
「おむつかぶれがひどくなってきてるんだけど、これはいいよっていうおむつ情報聞いたことない?」など、ちょっとしたことで兄弟を頼り、相談することで、自分も必要とされている、何かしてあげようという気持ちが起きるのではないでしょうか。

そして、そうした問題を一緒に解決していくことで、徐々に介護に対する理解も深まり、状況が変わるかもしれません。

兄弟でいい関係を保つために

そんなきれいごとで解決できたら苦労しない!と思われるかもしれません。
兄弟間でトラブルが起きるときは、確かにこうした対策ができない状態であることも多いです。
しかし、そのトラブルのスタートは、相談しなかったこと、自分が決めたこと、頼らなかったことから始まっていることも少なくありません。
感情的にならず、こうしたらもう少し力を貸してくれるかも。ここだけでも協力してくれたら助かるというところを上手に伝え、できる限り良い関係性を保てるようにしたいものです。
少しでも参考になれば幸いです。

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