要介護認定の基準を知ろう|8つの認定段階と判定基準をご紹介

介護の豆知識

デイサービスや訪問ヘルパーなどの介護保険サービスを利用する際、事前に「要介護認定」を受けます。

認定されたご本人の要介護度によって、利用できるサービスが異なります。

「【要介護2】と判定されたけど、それってどれくらいの介護度?」
「認定された要介護度が、実態と異なる気がする…」

このようにお悩みの方も多いでしょう。

今回は、要介護認定の概要と、8段階ある要介護度の区分とその基準について、ご紹介します。
要介護度の基準をベースに、認定された要介護度を確認してみましょう。

実態と異なると感じる場合の対応もご紹介しますので、参考にしてくださいね。

要介護認定とは

まず、要介護認定とは何か確認しましょう。

要介護認定とは、ご本人が生活するにあたって必要になる介護の度合いを数値化することです。

専門家による訪問調査や、主治医の意見書などをもとに、その方の要介護度が決定されます。

デイサービスや訪問ヘルパーなどの介護保険サービスは、この要介護度に応じて利用できる内容や程度が異なります。

そのため、介護保険サービスを利用する方は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。

※「要介護認定」について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

要介護認定の基準

生活する上で必要となる介護の度合いを判定する、要介護認定。
どのような基準で必要度合いを判定しているのでしょうか?

ここでは、基準となる考え方をご紹介します。

要介護認定の考え方

要介護度を測る基準は、「どれくらい介護が必要かの程度」です。

例えば片腕に麻痺がある方でも、ご自身で工夫して身の回りのことを全てこなされている場合は、介護度が低いと判断されます。

一方で、ご自身では生活に必要な動作が行えず、家族や他者の介助を必要としている場合は、高い介護度に判定されやすいといえます。

つまり、「片麻痺があれば要介護1」といったように、疾患や障害と要介護度は必ずしも一致するわけではないのです。

要介護認定等基準時間

実際にかかる介護の程度を測るため、「要介護認定等基準時間」を用います。

「要介護認定等基準時間」は、介助や医療行為などを以下5つに分類し、それぞれにかかる時間を算出することで、要介護度の判定に活用するものです。

◆要介護認定等基準時間の分類

直接生活介助入浴、排せつ、食事等の介護
間接生活介助洗濯、掃除等の家事援助等
問題行動関連行為徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助

実際にかかる時間を1つずつ測定するわけではありません。
訪問調査等で得られた情報をベースにコンピューター判定し、最終的には審査会で決定します。

要介護認定の8つの区分と状態

「要介護認定等基準時間」や主治医の意見書をもとに、最終的には8つの要介護度に区分されます。
それぞれの要介護度の目安を確認しましょう。

介護区分

①自立

要介護・要支援のいずれの段階にも属さない場合は、「自立」と判定されます。

「自立」は、他者の介助等がなくてもご自身で生活できており、介護や支援を必要としないレベルです。

つまり、「自立」は介護保険給付の対象ではないという判定になります。
デイサービス等の介護保険サービスを利用する場合は全額自己負担になるため、注意しましょう。

また、自立の方の利用を受け入れていない施設もあるため確認が必要です。

自立の判定を受けた場合は、「これから介護状態にならないための予防」に力を入れるとよいでしょう。

②要支援1

要支援1は、2段階の要支援状態のうち軽度の段階です。

食事や排せつ、入浴などの基本的な動作は一人ででき、日常生活を送れる状態です。
しかし、買い物や掃除、調理などにおいて、一部介助や見守りが必要です。

要支援の段階からしっかりとした介護予防を行い、要介護状態が進行しないよう気をつけましょう。

③要支援2

要支援1は、2段階の要支援状態のうちより支援を必要とする段階です。

基本的な日常生活動作は行えているものの、要支援1と比べると運動機能などに低下が見られ、介助や見守りが必要とされます。

理解力の低下などがみられたとしても、意思疎通事態には問題がなく、今後の介護予防に向けた取り組みが重要な段階です。

④要介護1

要介護1は、5段階ある要介護段階のうち最も軽度な状態です。

要支援の方と同様、食事や排せつなどの日常生活動作はご自身で行えます。
しかし、立ち上がりにふらつきが見られたり、歩行時に不安定さが見られたりします。

歩行の見守りや一部介助が必要である場合が多いでしょう。

また、要支援の方との違いとして、軽度の認知症の症状が見られる方もいます。

⑤要介護2

要介護2は、5段階の要介護度のうち2番目に軽度な状態です。

身体機能の低下にともない、起き上がりや歩行に介助が必要です。
また、排せつや入浴などで一部介助が必要な場合もあります。

認知症の悪化に伴い、理解力の低下や、問題行動といわれるような言動が見られる場合もあるでしょう。

⑥要介護3

要介護3は、身体能力の低下、認知症の進行が顕著に見られる段階です。

食事や排せつなどの日常生活動作のほぼ全てにおいて、介助が必要な状態です。
ご自身で着替えをしたり、入浴したりすることができないために、ご家族の介護負担も大きくなります。

移動に車いすが必要な方もいます。

認知症の進行により、時間や人、場所などの認識が困難になるほか、「幻覚」や「せん妄」などの周辺症状が見られます。

⑦要介護4

要介護4になると、多くの場合1日を通して何らかの介助が必要になります。

一人で体を起こしたり、座位を保ったりすることも困難です。
日常生活のほぼ全てに、他者からの介助を必要とします。

思考力や理解力が低下し、他者とのコミュニケーションが図れない場合も多いでしょう。

在宅介護での対応が難しく、施設入居を検討される方もいます。

⑧要介護5

要介護5は、最も重い要介護段階です。

食事、排せつ、入浴などの日常生活動作の全てに介助が必要です。
排せつには紙おむつを使用したり、食事の飲み込みが困難であるために、流動食や経管栄養で対応する必要があったりします。

ほとんどの時間を寝たきりの状態で過ごす方も多いでしょう。

認知症の進行が著しく、ほとんど意思疎通ができないために、要介護5となる方もいます。

ご家族の介護負担を減らす工夫が必要です。

「家族介護」のきほん

経験者の声に学ぶ、介護の困りごと・不安への対処法をまとめた1冊

要介護認定の基準はあくまでも参考程度に

今回は、要介護認定の認定基準と、8つの区分についてご紹介しました。

要介護区分ごとの状態については個人差がありますので、あくまでも目安としてご参照ください。

また、要介護度に応じた適切な介護サービスが受けられるよう、ケアマネージャーやその他の介護事業者との連携が大切です。

要介護認定の基準 Q&A

最後に、要介護認定の基準に関する疑問に一問一答形式でお答えします。

Q1.要介護認定で決定された介護度に納得できません。再度審査してもらえますか?

A.「不服申し立て」が可能です。

不服申し立ては、要介護認定の結果が適切でないと思われるに行う、行政処分の取り消し請求です。
各都道府県に設置されている介護保険審査会へ、申し立てを行いましょう。

Q2.要介護認定を受けた時期から、状態がかなり変化しました。認定を受けなおせますか?

A.「区分変更」の申請が可能です。

区分変更とは、次の要介護認定の更新を待たずに、認定調査を行うことです。
要介護者の状態に変化があり、現在の要介護区分が適切でないと考える場合は、市区町村の担当窓口へ申請書を提出しましょう。

投稿者プロフィール

古賀清香
古賀清香
神奈川県在住。Webライター。新卒で福祉企業に入社。ショートステイ、デイサービスで勤務したのち、デイ管理者や新規施設の立ち上げを担当。介護福祉士。2児のわんぱく男子を育てるフリーランスワーママ。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP