介護疲れや体調不良が出やすい春の自分をケアする方法|東洋医学編

介護の豆知識

介護疲れや体調不良が出やすい春。気候が良くなり気持ちも明るくなる季節ですが、一方で環境や人間関係の変化も多く、肉体的にも精神的にも慌ただしくなり疲れが出やすい季節です。

今回はそんな春におすすめの過ごし方とお疲れのケア方法を、東洋医学の考え方を中心にお伝えしていきます。
日々の生活を元気に送れるよう、ぜひ参考になさってみてくださいね!

春におすすめの過ごし方

現代の東洋医学では、「季節ごとの養生法(おすすめ過ごし方)」を以下のように定めています。

春(3月〜5月)におすすめの過ごし方

・春の3ヶ月は朝は少し早めに起きる
・ゆっくり散歩する程度の運動をする
・衣服や髪を硬く縛らず、緩めてやる
・心は「こうしてみよう」と感じるままに
・生かし、与え、褒めて、自他共にのびのびと過ごす
・これに従わないと夏に体調を崩してしまう

春は上記のような生活スタイルをなるべく守ることで、健やかな暮らしを送ることができるとされています。
(中国重要古典医学書『黄帝内経素問 四気調神大論篇』より)

春は「」の季節!

また、春は自然界の万物全ての気が旺盛になる芽吹きの季節で、東洋医学的な臓腑でいう「(かん)」の季節とされています。

」は西洋医学的には「自律神経感情のバランス調整」などを司るとされており、人間の健やかな生活にとって非常に大事な部分です。

『色体表』抜粋。赤枠が春の関連領域。


この表の通り、春は「」の季節であり、同じく「」とも関連が深い季節です。

ですので、前述の「過ごし方」にもあるように「春は心や体を押さえたり縛りつけたりせず、新芽が伸びるのを妨げないような心持ちでのびのびと過ごすこと」が吉とされます。

そのように過ごすと、「肝の気」が全身を健やかに巡り、自律神経や感情が安定して健康的に過ごしやすくなります。

春に気をつけたい「怒りやイライラ」の感情

前項のように肝気がうまく巡れば良いのですが、様々なストレス天候・環境の大きな変化などで心身がダメージを受けると、この肝気の流れが悪くなります。

そして肝気の滞りが続き、行き場を失うと、頭(上部)につき上がって「肝」に対応する「怒」の感情が暴発するといわれています。怒りやイライラ、焦りのような感情が止められない状態です。

特に「我慢」など、心身を押さえつけるような状態が一番「肝」に良くありません。

「怒りやイライラ」は意外と自分では自覚しにくいため、知らず知らず溜まってしまい、自身の中にぐつぐつと熱を生み、その熱が自身を内側から焦がして更なる不調を呼ぶ病因(東洋医学的には「内因」)となってしまうことも。

「なんで私ばっかり!」
「同じ事何回も言わせないで!」
「見かけたネットの書き込みについ反論したくなる…」

等の言動が増えてきたら要注意。肝気の流れが悪くなっているかもしれません。
身体的・精神的なストレスが溜まりやすく、我慢をすることも多い介護生活では特に陥りやすい状態ですので、積極的にケアしていきたい部分です。

春の不調のケア方法

以下では、前項のような不調をケアしていく方法をお伝えしていきます。

肝の異常を知るヒントは「

古典医学書『皇帝内経素問』のなかで「肝は目に開竅(かいきょう)す」と言われるとおり、上記のような「肝」の異常目や目の周りの様子から伺う事ができます。

目からみる肝の異常

・ドライアイや眼精疲労(目がシパシパして開けていられないなど)
・目の痛みや痒み、涙の異常
・目の周りの皮膚や白目の青み
・目の周りの肝斑(文字通り’肝’の斑。肝気が上がって滞った証とされます。)

こういった症状がすでにある場合は尚更気をつけておきたいです。

また、目に出るサインの他には

・口の中に苦味を感じる
・舌の縁がぐるりと赤い
・左右季肋部が張って押しても指が入らない
(吸っても息が入らず苦しい)
・生理前後の不調がひどい

なども、「肝」に異常が出ている可能性の高いサインです。

ケア方法1. 軽い運動をして体の中を巡らせる

肝の関連領域である「」をしっかりと動かして、全身の血流を良くします。
血が巡れば一緒に気も巡るので、肝気の滞りやそれによる不調もスッキリ!

激しい運動でなくても良いので、1日5分だけでも散歩やジョギングを行ってみてくださいね。「ジムに行ってしっかり運動しなきゃ」などと気負わないことも春には大切ですよ。

ケア方法2. 「酸」を中心とする食べ物で肝気を巡らせる

肝の関連領域である「酸味のある食べ物」を積極的に取り入れて体の気を引き締め・巡らせることで、「怒」の感情暴発や春の不調が落ち着きやすくなります。
状態別にいくつかおすすめ食材がありますので、以下を参考になさってみてください。

怒るというよりも気持ちが塞ぎがちな時(他責ではなく自責に傾く時)

→柑橘類、春菊、グリンピース、ゆかりご飯、ジャスミンティーなど

気温が増してイライラやのぼせが出やすい時

→貝類、水菜、セロリ、春菊、アスパラ、キウイ、苺など

●また、それらの前段階として、寒さの残る初春に「苦」の食べ物を摂る事で、春仕様の体へと変化する手助けをすることが可能です。具体的には

→山菜(菜の花、ふきのとう、たけのこなど)
※苦味成分が新陳代謝を促して、「貯める季節」である冬の体から、巡りが大切な春向きの体へ変化しやすくしてくれます。

ケア方法3. ‘肝’に効果的な経絡のツボを使用する

経絡とは東洋医学の概念で、「気や血が流れている目に見えない通路・ラインのようなもの」です。

肝気の流れを良くするツボとしては、「足の厥陰肝経」という肝の経絡上にある【行間(こうかん)】や【太衝(たいしょう)】がおすすめ。

行間…足の親指と人差し指の間の水かき部分
太衝…そこから足首側に下った、骨がV字に交わる谷の部分に取ります。
どちらのツボもストレスなどでイライラする時、またそれによる頭痛めまい不眠時に。指の先で押してみて痛みや張りなど反応が強い方を使います。少し先が細く固いものでトントンと刺激してみてください。強すぎないようにご注意を!

ケア方法4. 目や頭を使いすぎず心を喜ばせる

肝の異常は目に出やすい」とお伝えしましたが、「目を使いすぎることで肝に負担がかかり不調に繋がる」という逆方向の作用も生じます。

ですので、春は特に夜遅くまでスマホ閲覧パソコン作業をしたり、考え込んだりしないようご注意くださいね。
目や頭ばかり使わず、五感を働かせて香りや音などからも春を楽しんでみてください。

良い香りの入浴剤を入れて、お湯で温めたタオルでアイマスクをしながら湯船に浸かるのもおすすめです。自分の時間は短くてもしっかりと確保し、その間は色んなものを手放しましょう。

ケア方法5. 周りの人としっかり話すor思い切り歌う

気の流れを手っ取り早く良くするには「おしゃべり」が非常に効果的です。

気楽な雑談でも良いですし、そのような明るい気分になれない時は同じ悩みを持つ方の集まりに参加したり、オンラインで短いカウンセリングを受けてみたりと【話す=離す】を心がけてみてください。今はたくさんの相談場所がありますよ。

また、どうしても人と関わりたくない時は【歌うこと】でも良い気の発散になります。1時間だけでもよいので、1人カラオケで思い切り声を出すなどとてもおすすめですよ。

まとめ

春におすすめの過ごし方と、春の不調のケア方法をお伝えしてきました。

介護の暮らしでは特に、自身のケアよりも被介護者の状態を優先してしまいがちです。
しかし、自身のケアをおろそかにしていると、結果的に介護の質にも影響が出てしまいます。

介護者(自分)の心身の健康が、介護される方の幸せにも繋がるということを忘れずに、しっかりとリラックスや発散の時間を取っていただきたいと思います。早めに対応すれば、少しのケアでも充分効果がでますよ。
色々なものを活用して、大変な春の時期を乗り切っていきましょう。

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