介護でリハビリを利用するときの選び方|訪問リハとデイケアの違いを紹介

病気・ケガ

介護が必要な人にとって、リハビリは大切です。ですが、訪問リハビリデイケアのどちらのサービスを受けたらよいのか悩むことはありませんか?

また、両者の違いが分からなかったり、どのようなリハビリ職種がいるのか分からなかったりすることもありますよね。

この記事では、訪問リハビリとデイケアの違いやリハビリ職種について分かりやすく解説しています。状態別に訪問リハビリとデイケアにおすすめな方をご紹介していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。

訪問リハビリとデイケア(通所リハビリ)の違いとは

訪問リハビリとデイケア、どちらもリハビリ職員が配置されており、介護保険のサービスで利用可能です。ただし、要介護認定が必要になりますのでご注意ください。

訪問リハビリとは

訪問リハビリテーションでは、利用者(要介護者)の自宅へ理学療法士・作業療法士などリハビリ職員が出向き、必要なリハビリテーションを行います。利用者の心身の機能維持・回復、日常生活の自立を支援することが目的です。

〈人員基準〉

医師専任の常勤医師 1名以上
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士

適当数

訪問リハビリテーションを利用する方や訪問リハビリテーションを提供している事業所の数は増加傾向にあります。

また、厚生労働省の『第136回 介護給付費分科会資料』によりますと、訪問リハビリテーションでは1事業所当たり平均2.3人のリハビリ職員が働いているそうです。全てのリハビリ職員が配置されているパターンは14.4%だそうです。

デイケアとは

利用者(要介護者)が施設(介護老人保健施設、病院、診療所など)に通い、必要なリハビリテーションを行います。利用者の心身の機能の維持回復、日常生活の自立を助けることが目的です。

〈人員基準〉

医師専任の常勤医師1名以上
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士

単位ごとに
利用者100人以上に1名以上
従事者
(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
または看護師、准看護師、介護職員)

単位ごとに
利用者10人に1名以上

デイケアを利用する方や事業所の数は増加傾向にあります。

また、厚生労働省の『第136回 介護給付費分科会資料』によりますと、訪問リハビリテーションでは1事業所当たり平均2.6人のリハビリ職員が働いているそうです。全てのリハビリ職員が配置されているパターンは22.9%だそうです。

訪問リハビリとデイケアにはどんなリハビリ職員がいるのか

先ほどご紹介したように、訪問リハビリとデイケアには「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」が働いています。しかし、事業所によって勤務している職種は違います。理学療法士のみの事業所もあれば、全ての職種が勤務している事業所もあります

職種によって専門性が違います。次ではそれぞれの専門性をご紹介していきますね。

伸縮4ポイントステッキ

安定した歩行を助けるステッキ

先端部が可動しますので、ステッキを突いた際の接地面が大きく、安定した歩行が可能になります。

理学療法士(Physical Therapist)

理学療法士はよく「PT」とも呼ばれています。

理学療法士は動作の専門家です。

ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、寝返り・起き上がり・立つ・歩くなどの基本的な動作の回復や維持を目的に運動療法や物理療法などを用いて、ひとりひとりが自立した生活を送れるように支援しています。

治療や支援の内容については、ひとりひとり個別に評価を行いその人の目標に向けて適切なプログラムを作成します。また、住宅改修や福祉用具などのアドバイスも必要に応じて行ってくれますよ。

作業療法士(Operational Technology)

作業療法士は「OT」とも呼ばれています。

作業療法士は、対象者に寄り添い「作業」を通じてその人らしい生活をつくっていきます。

「作業」とは、食べたり入浴したり、日常生活にかかわる全ての動作のことです。

作業療法では基本的な動作能力から社会の中に適応する能力まで維持・改善し、その人らしい生活を送ることを目標にしています。また、その人らしくその人らしい生きがいをもった生活をサポートします。

病気やケガの状態が安定したら、その人の具体的な生活をイメージして、身体機能や日常生活動作能力などの改善を図ります。

言語聴覚士(Speech and language Therapy)

言語聴覚士は「ST」とも呼ばれています。

言語聴覚士は「話す」「聞く」「食べる」の専門家です。

病気や事故、発達上の問題などでコミュニケーションに問題がある方に検査を行い、抱えている問題を確認したうえで訓練や指導などを行います。

また、必要があれば摂食・嚥下の問題にも対応してくれますよ。

訪問リハビリとデイケア(通所リハビリ)どちらがおすすめなのか状態別にご紹介!

訪問リハビリとデイケア、どちらを利用したらよいのか悩まれる方もいらっしゃいますよね。

そこで、どちらがおすすめなのか身体の状況別に考えてみました。

訪問リハビリがおすすめなのはこんな方

訪問リハビリは原則「通院が困難な利用者」に対して実施される介護サービスです。

訪問リハビリがおすすめな方(例)

  • 実際の生活環境での移動やトイレ動作などの練習を行いたい方
  • 家からスーパーまでの買い物の練習をしたい方

家でしか練習できないことをリハビリで行いたい方は訪問リハビリがおすすめです。

実際に動作ができるようになった後は、訪問リハビリを卒業することもあります。事業所選びの際は、卒業後のことも考えてくれる事業所をおすすめします。

デイケア(通所リハビリ)がおすすめなのはこんな方

デイケアがおすすめな方(例)

  • 他者と交流したい方
  • 運動をしたい方
  • 嚥下障害のある方

詳しく解説していきますね。

他者と交流したい方

デイケアにはさまざまな利用者や職員がいますので、たくさんの方と交流することができます。実際に筆者の勤めているデイケアにも「家族以外とお話がした」「お友達が利用しているから一緒に行きたい」という方がいらっしゃいます。お話が好きな方もそうでない方も、みなさんご自分なりに他者との交流を楽しまれていますよ。

運動をしたい方

リハビリはもちろん、リハビリのない時間に自主トレを促したり、マシンを使用できたりする事業所もあります。積極的に運動をしたい方家では運動をしないからデイケアで運動をしたい、という方はデイケアで身体を動かすことをおすすめします。

嚥下障害のある方

嚥下に障害のある方は、言語聴覚士によるリハビリテーションで嚥下機能の改善が期待できます。また、食事の形態や食べるときの姿勢などの注意点もアドバイスしていただけます。しかし、事業所によっては言語聴覚士が在籍していない場合もありますので、事前に確認をしてみましょう。

訪問リハビリとデイケア(通所リハビリ)を併用することは可能なの?

ズバリ可能です。

ただし、条件付きで併用が可能となりますので、注意が必要です。

詳しく解説していきますね。

デイケアだけでは家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況を含めた訪問リハビリの提供は可能となっています。また、ケアマネジメントの結果、必要であると判断される必要があります。

前提として、訪問リハビリもデイケアも主治医が必要だと判断することが必要となりますので、ご注意ください。

現役作業療法士がデイケア(通所リハビリ)で実際に行われているリハビリの内容をご紹介!

実際にどんなリハビリが行われているのか、デイケアで働いている筆者の体験をもとにお伝えしていきます!

筆者が働いているデイケアにはさまざまな方がご利用されています。脳梗塞の後遺症のある方や骨折をされた方、認知症の方‥‥。要介護度もさまざまで、身体機能・家屋状況・家族関係もひとりひとり違うのは当然です。

ですので、必ず事前にいただく情報をもとに改めて、お体のことや家屋状況などの確認をしています。また、おうちでの生活で困っていることやこうなりたいと望んでいることもお聞きし、利用者と一緒に目標に向かってリハビリを楽しく行うことが大切だと考えています。

腰痛などお体に痛みがあって、日常生活に支障が出ている方に対しては疼痛緩和を目的としたリハビリや痛みの出にくい動作の提案をしています。

筋力が落ちて大好きだったお散歩に行けていない、という方に対しては筋トレや自主トレの提案をしたり、実際に外を歩いたりすることもありますよ。

筆者は、分かった【つもり】で失敗したことがあります。

人の身体は思った以上に重く、父を支えきれず、一緒にベットに倒れこんだことがあります。過信は禁物ですね。

介護に役立つ人体力学
力任せに持ち上げたりすると相手にも大きな負担となります。相手との距離や、ねじりなどを連動させ、負担が少なく、楽に移動させる方法などを解説。誤嚥防止の運動まで説明してくれています。文字よりも写真が多く、初心者さんでもすぐできます。
介護する人、される人がラクになるのを助ける教科書のような一冊。おすすめです。

訪問リハビリとデイケア(通所介護)それぞれの特性を知って、合ったほうを選びましょう

訪問リハビリとデイケア、どちらを選んだらよいか悩んでいる方はそれぞれの特性を知って、合う方を選びましょう。

事業所によって、配置されているリハビリ職員は違いますので、自分の受けたいリハビリが受けられるのか事前に確認することをおすすめします。また、事業所の雰囲気や整備されている体制なども確認しておきましょう。

投稿者プロフィール

山田 あきこ
山田 あきこ
複業中のママライター。
作業療法士として介護施設で働いています。
Twitterで介護に関する情報を発信したり、脳梗塞で倒れた父の介護をメインで行っている母の体験談を電子書籍にし出版しています。

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