要介護の親のヘアカットどうする?訪問理美容で何ができるの?

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要介護の親のヘアカットどうする問題。

「おしゃれが好きだったお母さんに変わらずいてほしい」、「清潔できちんとした身だしなみを整えたい」という気持ちは大切です。なかなか外出がままならない要介護のお父さんお母さん達にとっても、へアカットや髭剃り、カラーは大きな気分転換にもなります。                              

さて、訪問理美容サービスをご存知でしょうか?自宅や老人ホーム、介護施設まで理美容師が訪問し、へアカットやカラーリングなどを行ってくれるサービスです。

今回の記事では、要介護状態でもおしゃれができる訪問理美容についてご紹介します。サービス内容はもちろん、介護保険は利用できるのかといった疑問や体験者の声もお伝えします。

ほかにも生活に潤いや彩りを加えてくれるサービスも紹介しています。

参考にしてみてください。

介護が必要な高齢の人に適したヘアスタイルはあるの?

80歳、90歳近くのご高齢になられると、何もしなくてもキレイで、髪が伸びても清潔感が保たれる髪型がいいですよね。

介護をしてもらう人にとっても介護をする人にとっても、簡単に洗えて乾かしやすく、またブラシで梳くだけでかっこよくなる、そんな髪型です。

以前は「パッツン髪」と呼ばれるような、ただの短い髪型が要介護の高齢の人には多かったのですが、最近はずいぶんおしゃれな髪形になりました。

私の知り合いのおばあちゃん達です。

なかなか素敵なショートカットでしょ。

もちろん形を整えるだけならおうちでトライしてみてもいいですね。

セルフ用散髪セット

自宅でのセルフカットに適したストレート刃とスキ刃のサンパツハサミセットです。
美容師監修マニュアル付き。
安心の日本製です。

しかし、かなり伸びてしまっていたり、寝たきりの状態からでは難しいことがあります。
そんなときに頼りになるのが訪問理美容サービスです。

訪問理美容ってどんなサービス?

訪問理美容は寝たきり・歩行困難・認知症などで理容室・美容室に行って散髪することが難しい人向けのサービスです。自宅または居住している施設へ理美容師が訪問して散髪やカラーリング、シャンプーなどを行ってくれます。

まだまだ知られていませんが、介護が必要な高齢者とその家族が利用するためのサービスとして広まりつつあります。高齢者向け出張理美容サービスと呼ばれる場合もあります。

訪問理美容のサービス内容

訪問理美容のサービス内容は以下のようなものになります。事業者によってサービス内容が異なる場合がありますので、何ができるかを確認してくださいね。

  • ヘアカット
  • カラーリング
  • パーマ
  • ひげそり・顔剃り
  • ヘッドマッサージ

また、利用する人の体調や状況によっても、サービスの内容は変わります

訪問理美容を利用できる人は?

衛生上の理由で、理美容室以外で髪を切ってお金を貰うことは基本的に禁じられています。(理容師法6条の2、美容師法7条)ただし、次のような人は理容室・美容室に行くことが難しいため訪問理美容が認められています。

(1) 疾病の状態にある場合のほか、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態にある者であって、その状態の程度や生活環境に鑑み、社会通念上、理容所又は美容所に来ることが困難であると認められるもの

(2) 自宅等において、常時、家族である乳幼児の育児又は重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者であって、その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難になると認められるもの

出典:理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号に基づく出張理容・出張美容の対象について(抜粋)

簡単にまとめると、ケガや病気で理美容室に行くのが困難な人、または家族の介護や育児などで家を離れると家族の安全が保てなくなる人であれば訪問理美容が利用できます。

訪問理美容室はどうやって探す?

ホームページなどを検索して訪問理美容を行っている店舗を探して、電話などで問い合わせてみましょう。この方法が一番確実です。

こちらからも検索してみてください。

親御さんが介護サービスを使っていれば、介護事業所と訪問理美容室が提携している場合があります。事業所に問い合わせることで、提携している業者を紹介してもらえるかもしれません。または担当のケアマネージャーに問い合わせるのも有効です。

行きつけの理美容室に問い合わせてみて、訪問してもらえないかと頼んでみるのも一つの方法です。

また、費用助成を行っている自治体なら、訪問理美容室を紹介してもらえる可能性もあります。

訪問理美容の利用料金は?

訪問出張費がかかりますので、普通に理美容室でサービスを受けるときにくらべて高い料金となります。また、訪問理美容の料金はそれぞれ異なります。一般的には、カット料金にプラスして出張費で、カット料金は3,000円〜6,000円程度、出張費は距離などにもよりますが、500円〜2,000円程度が多いようです。

訪問理美容は介護保険を利用できる?

訪問理美容は、介護保険が適用されるサービスではありません。

しかし、自治体によっては独自の助成を行っているところもあります。例えば、自己負担額が決まっているケースや、補助券やチケットという形で理美容サービスを手軽に利用できるケースなどです。

助成が利用できるのは高齢者であること、要介護度が一定以上であること、といった条件を満たしたときであることが多いです。またパーマや髪染めまで助成してくれるわけではなく、散髪のみの助成としていることが一般的です。

助成があるかどうか、使えるかどうかを調べるには、お住まいの自治体ホームページを検索するか高齢者支援等の窓口に問い合わせてみましょう。

「使ってよかった!」体験談

実際に理美容サービスを利用した人や、そのご家族に話を聞いてみました。

Eさん:母親(84歳)

めまいがあって外出しづらく、美容室に長時間いることが難しい状態でカットのみを利用しました。長時間イスに座ることがつらいため、カットする時間を出来る限り短くしてもらいました。本人は髪の毛が伸びきっており、外出したくないと感じていましたが、カット後は「これで散歩や買い物に行くことができるね」と話していました。

Fさん:父親(86歳)

言語と身体に不自由なため、自分の意思を伝えるのが難しく、歩くことはできるけど右足に麻痺があります。

元々は母が行きつけの床屋に連れて行ってくれていたけど、外出自粛の影響で歩行が困難になり、訪問理容を利用することにしました。髪の毛がかなり伸びており、本人もとても気にしていたので、さっぱりするように短くお願いしました。髭も剃ってもらって「とてもすっきりした」と喜んでいました。

Mさん:母親(81歳)

定期的に年4回ほどヘアカットのサービスを利用しています。寝たきりで娘さんと同居し、家のなかを移動するときには、娘さんが補助をすることでようやく動くことができます。

症状が重いため座って排尿することができません。そのため排尿のパックを身体につけて生活しており、カット時にもパックをつけたまま対応してもらいました。出来る限り本人がラクな態勢を取れるよう、気を付けながらカットをして頂き、疲れることもなく本人もとても喜んでいます。

介護では、健康と生活の支援が中心となります。介護保険が適用されるのは、生きるうえで必要不可欠な支援です。でも必要不可欠な支援以外に、心地よく暮らすために必要なことはたくさんあります。

楽しく食事をする、映画を見たり、読書をしたり、好きな音楽を聴いたり歌ったり楽しむことなどは、必要不可欠ではないけど大切なことです。

同じように、身だしなみも整えることも気持ちに張り合いが生まれます。

気分転換になるそのほかのサービス

訪問理美容の中には、眉毛を整えるとか、産毛剃り、ネイルカラーやフェイシャルエステをしてくれるところもあります。お化粧やアロマテラピーもできる「介護美容」というサービスもあります。

訪問医療マッサージ」などのように自宅で療養をしている寝たきりの人、麻痺があるヒト、関節周辺が固まってしまい可動域が狭くなっている人に対して医療保険を使うサービスもあります。

充実した暮らしの実現に向けて、生活を支える支援だけでなく「心を豊かにするサービス」もぜひ利用してみたいですね。

まとめ

歩くことや立ち上がることも大変になり、病気や障害のためにできることが減っていき、次第に諦めがふくらんで気持ちも沈みがちになってしまうことは、決して珍しいことではありません。

でも、体験談にもあったように「ヘアカットをすることで、またおしゃれに興味がでてきた」「見た目を気にするようになり、いきいきとしてきた」など、心も安定し、積極的に前向きになれる訪問理美容のメリットはとても大きなものです。

訪問理美容を利用して、鏡を見る回数が増えて明るくなったという声がたくさんありました。

たとえ、体が不自由になっても、いろいろな楽しみをあきらめる必要はありません。

介護が必要な親が笑顔になれる、そんなサービスを利用してみませんか。

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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