在宅介護は工夫次第で負担軽減できる!在宅介護体験談

介護の豆知識

在宅介護であらかじめ知っておくと役立つ工夫とはなんでしょうか。
これは、匿名であることを条件に自身の介護体験を語ってもらうコラムです。

施設ではなく在宅という選択

私は以前、在宅介護をしており、工夫をすることで助かったことがいろいろとあります。

在宅介護は文字通り、自宅で介護をすることで、つまりは老人ホームなどの施設に入居しない選択のことです。

当然ながら家族の負担が増えるため、家族で話し合った時には反対意見も出ましたが、本人が施設への入居を嫌がり、自宅で過ごすことを希望したため、在宅介護を選択しました。すべて家族だけでお世話をするのは大変ですが、在宅で利用できるサービスや、負担軽減の工夫を知り、難色を示していた家族もホッとしました。

もちろん在宅介護が大変なのには変わりありませんでしたが、介護サービスの利用により、実際のところかなり楽になりました。

食事や着替えなど身の回りの介助だけでも負担ですが、特に入浴は大仕事だったので、それをプロにやってもらえる訪問入浴介護はとても助かりました。本人にとっては、家族以外の他人を家に入れたり、入浴のお世話になることに少なからず抵抗感があったようですが、それも次第に慣れました。

本人の心境の変化

家族がスケジュールを調整したり自分の時間を減らしたりしながらお世話をしている様子を見ているので、色々と思うところはあったようですし、少しでも負担を軽くしたいという気持ちが大きくなっていたことがこちらもわかりました。そうした本人の心境の変化があることも、これから在宅でお世話を始める人に知ってもらいたいポイントです。

初めは自分自身の希望で在宅を選んだものの、家族の負担が増えているということで、萎縮してしまったり、いろいろと我慢してしまうところもあったようです。

家族だからこそイライラをぶつけてしまったり、優しい言葉をかけられないこともあります。
我慢をしてしまって、体調が悪くなったり、失敗をしてしまうこともあります。

在宅介護の負担を少しでも減らす工夫のひとつは、介護サービスを利用し、家族が介護を担いすぎないということです。介護サービスを利用することで、家族の負担が減り、そのことで、介護される側の心の負担も減ることがあります。誰かに頼ったり力を借りたりすることは決して恥ずかしくはありませんし、折角利用できるサービスがあるわけですから、活用しながら、上手く負担を減らす工夫が必要です。

在宅介護の負担を軽減する工夫

では、実際に在宅介護でおこなっていた負担を軽減する工夫についてお伝えします。

在宅介護サービスを利用する

在宅介護サービスは訪問型・通所型などいろいろあります。「在宅」とあるので、家にきてもらうサービスと思いがちですが、「在宅介護を続けるためのサービス」と考えると良いと思います。
在宅介護をできるだけ負担を減らしながら続けるためには、ヘルパーさんにきてもらう訪問介護や、本人が週に数回通う通所介護などのサービスが必須です。
レスパイトケアといって、日常的に介護を担っている家族が休むために一時的に宿泊ができるサービスもあります。

本人が健康で外出できる程度の体力があるなら、定期的に通所サービスを利用することで、レクリエーションやリハビリなど、脳や体を動かす良い刺激が得られ、介護状態のキープや改善にもつながります。
本人やケアマネージャーさんと相談しながら、上手に介護サービスを利用することが在宅介護を続ける工夫のひとつです。

体の負担を軽減する道具を利用する

自分の力だけで体を持ち上げたり着替えさせたりしようとすると非常に体力を使います。動かし方によっては介助する側が体を痛めてしまうというリスクもあります。毎日のことなので、いかに介助する側の体の負担を減らすかも、大きなポイントです。
介護ロボットというと大げさですが、体の負担を最大限に減らして、軽々と持ち上げることができる補助ロボットがあります。わざわざ…と思うかもしれませんが、毎日のベッドからトイレ、ベッドから車椅子の移動など、介助している側の腰の負担が大きくなるため、とても便利です。

マッスルスーツEvery

人や重い物を持ち上げる、中腰姿勢を保つ、といった作業の負担を大幅に軽減するマッスルスーツ。介護の現場でも多く使われ、累計販売数20万台を突破しています。
電気不要、空気の力で動くため、稼働時間に制限はなく、最大補助力25.5kgfで動作をアシストします。
※重量物を持ったまま移動するのには向きません。


介助用手袋

ベッド上での体位変換や、着替えの際など、服とシーツの摩擦でなかなかうまくいかないことがあります。介助用手袋は、ナイロン製ですべりやすく、体とベッドの間にスッと手が入ります。そのまま体を動かしたり、褥瘡対策、シーツのシワのばし、ベッド上での体位変換等、介護の現場では必需品の手袋です。
脱げにくいよう、袖部分にゴムが入っています。

使い捨てのグッズを利用する

汚れる可能性があるものについては、防水で洗い流せるシートを敷く、洗うのが大変なものは状況に合わせて使い捨てのグッズを活用するとラクになります。

また汚した!さっき洗ったのに…となると、どうしてもイライラしがちです。もったいないと思うものもありますが、心に余裕を作るためには諦めて捨てる!ということも大切です。これも負担軽減のポイントのひとつです。

食事用エプロン

使い捨てタイプのため、衛生的で、食事が衣服にこぼれるのを防いでくれます。
首元にスリット加工を施しており、容易に着脱可能です。


からだふきシート

入浴できない時や、肌の汚れが気になる時にさっと拭くだけですっきりするシートです。毎日の入浴介助は大変ですが、こういったシートを利用することで、清潔を保て、使い終わったら捨てることができるので負担も軽減できます。

話をきいてもらう

このように工夫できることは沢山ありますが、なんといっても「共感」してもらったり、「愚痴」を聞いてもらえる相手がいるということも大きな負担軽減のひとつです。疲れたら休む、不満を吐き出すといったことも大切だと思います。

つぶやきたい画面

試行錯誤の日々のち施設入所へ

介護サービスを利用し試行錯誤しながら在宅介護を続けていましたが、最終的には本人が施設への入所を希望するようになりました。家族の負担を考えてのことだと思います。

今は、施設でお友達が出来るなどして、穏やかに過ごすことができています。
私たち家族も正直なところ、在宅介護が終わり、安心しているところもあります。身体的な負担も軽減されました。

しかし、家族で取り組んだ試行錯誤の日々は、決して無駄ではなかったと感じますし、本人・家族みんなにとって最適な道を模索することの大切さも学んだ期間でした。

読んでくださっている方も、在宅介護をできる限り負担を減らしていってほしいと思いますし、施設入所を選択されたとしても決して間違いではないと思います。お役に立てれば幸いです。

こちらもおすすめ

医者が教える非まじめ介護のすすめ
大塚宣夫 (著)

社会のため、親のため。世間の、あるいは自分の中の「~すべき」といった、「介護の常識」に縛られていませんか?
「介護はかくあらねばならぬ」という常識を一度、捨てましょう。看る側と看られる側、互いの思いを理解し、前向きに“老い”を受け入れたうえで、肩の力を抜いて介護と向き合いませんか。
阿川佐和子さん推薦!!「この本を読んだらきっと心が軽くなるでしょう!」
よみうりランド慶友病院・大塚宣夫先生の上手に気楽に介護を乗り切る50のヒント!


「家族介護」のきほん
アラジン(著)

「介護する人」に寄り添う、在宅介護の実用書!
20年以上にわたり、介護をしている家族の相談やサポートを続けているNPO法人の「アラジン」の蓄積された経験や豊富な相談事例をもとに、介護者の暮らしや人生に寄り添った、リアルな介護の乗り切り方を伝授します。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP