20代で親の介護が必要になった。仕事と介護の両立の仕方

介護の悩み

20代で親の介護が必要になることもあります。
仕事を辞めずに介護と両立するために介護休暇を取得したり働き方をテレワークに変え、20代の入社1年目から15年間仕事と介護を両立したライターさんに匿名にすることを条件に詳細な経験談を教えていただきました。

20代で経験した親の介護

まだ先だと思っていた親の介護を、20代で経験しました。
当時は大学を卒業して間もない社会人1年目で、入社した会社の研修に尽力していた頃でした。青森県から東京へと上京したばかりで、やっとこれから社会に踏み出せると思った矢先、母から、父が倒れたという知らせを受けました。
まだ50歳になったばかりの父親だったので、単に過労で倒れた程度だと思っていましたが、脳梗塞と脳溢血を発症しており、その後、約4か月間も意識がない状態でした。
当時自分は1週間だけ帰郷をし、あとは母親に看病を任せて即仕事に復帰しました。意識が戻ったという知らせを受けて安堵したのもつかの間、半身不随という重い後遺症が残ったことを知ってようやく、親の介護が始まるということに気づきました。

介護と仕事の両立

日常の世話を母だけに任せるのは厳しいだろうと思い、まず会社の上司に事情を説明し、助言を求めました。せっかく努力をして入社した企業だったため、簡単には退職をしたくありませんでした。幸いにも自社は、育児休暇と介護休暇の制度があり、過去にも取得者がいる会社でした。
まだ入社して間もない自分でも、申告をすれば3か月の介護休暇を取得することができるとのことで、上司からこの提案を受けて早速申請をしました。社会人1年目でこの許可を得られたのは本当に有難く、すぐに地元に戻って父親の看病に努めることができました。
母も、40代の若さで介護をすることになるとは思わなかったと言っており、介護サービスを利用すればそれほど体力的には問題なかったかもしれませんが、私がいる3ヶ月間、母と交代で父の世話をすることができ、時には母の話し相手になったことで、母の負担を大きく軽減できたと思っています。

3ヶ月の介護休暇

休暇を取れた3ヶ月の間でまず取り掛かったことが家のリフォームです。
我が家は3階建てで、寝室が3階にあったのですが、父の介護のためにリフォームし、父が1階で寝られるようにしました。リフォームは介護保険が使え、とても助かりました。

問題は入浴介助でした。父は若い頃アメフト選手だったため、身長が190cm・体重が109kgという大きさで、母とふたりの介助でもかなり大変でした。ヘルパーさんの手助けを受けて、毎日介助をしましたが、娘に入浴介助をされる父も恥ずかしく嫌だったと思いますし、私もかなりの抵抗感がありました。

そこで、訪問入浴介護を利用し、父の入浴介助をお願いすることにしたのです。訪問入浴介護は父のような体型でも難なく入浴させてもらうことができ、父も私も恥ずかしさから逃れることができ、とても助かりました。

テレワークと介護

介護サービスのサポートも受け、3か月の介護休暇はあっという間に終わり、一度東京に戻りましたが、このまま母だけで父の介護は無理だと考えた末、実家に戻ることを決心しました。
課長にその旨を伝えたところ、テレワークをしてはどうかと提案されました。そのときは今から15年前のことで、まだ世間ではテレワークという言葉すら認知されていなかった時代です。当時は在宅またはフレックス業務と呼ばれ、内容は現在と同じくインターネット回線を活用した遠隔勤務でした。
給与は20%減少し、部署も開発部から資料部へと転属になるのが条件でしたが、仕事内容が変更になることは仕方がないと思いましたし、仕事を続けられるという点を踏まえるととても有難い提案でした。すぐに郷里へ戻り、実家で仕事を開始しました。昼間は4時間だけ仕事をおこない、あとは親の介護をしつつ電話のアポイントをするという生活でした。時間配分をしっかりと守り、15年間、親の介護と仕事を両立させました。

まとめ

親の介護はまだまだ先だと思っていましたが20代で経験することになり、最初は戸惑いました。

しかし、介護休暇やテレワーク制度があったおかげで介護と仕事の両立を15年間続けることができました。母に介護を任せることもできましたが、自分のためにも、父の介護に携わることができて本当によかったと思っています。
若くして介護が必要になったとき、とても戸惑いますが、いろいろな人に相談し、活用できるものは活用することで、周りも自分自身も後悔ない選択ができると思います。

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