在宅介護で眠れない方へ|睡眠不足を解消する対応策を紹介

介護の悩み

在宅介護が続くと夜間介助などが原因で眠れない状態になってしまう人が多くいます。

介護者がきちんと睡眠をとれないと疲れやすくなり、自身の心身を壊してしまうことにもなりかねません。介護者の睡眠確保は優先度の高い問題です。

この記事では、在宅介護7年を経験している筆者の母の「眠れない」問題への打開策と、寝不足解消法について解説します。夜にきちんと眠れずにイライラしている方は、現状を変えるためにもぜひ最後までお読みください。

在宅介護で眠れない実態

ベッドに座り込み手を覆う人

厚生労働省の「市町村・地域包括支援センターによる家族介護者支援マニュアル」では、介護者の睡眠不足について結果をまとめています。

家族介護者3,000人へのアンケート結果を基に、家族介護者の介護による負担度をみると、精神的な負担を感じている人、身体的な負担を感じている人、経済的な負担を感じている人が、いずれも4~6割強と、非常に高い割合です。また、日頃の状態でも、「睡眠が十分でない」(41.8%)など疲労を感じている介護者が4割以上にのぼっており、心身の健康や経済的な問題を抱える家族介護者が多いことがわかります。

厚生労働省の「市町村・地域包括支援センターによる家族介護者支援マニュアル」

さらに、介護者の睡眠が十分でない理由として以下の3つの項目が挙げられます。

  • 夜間頻尿
  • トイレ介助
  • オムツ交換

その他、認知症により夜間の徘徊がある、何度も呼ばれるなどもあるかもしれません。こうした対応を繰り返していると、呼ばれていないのに気になって目が覚めてしまう。呼ばれているような気になり何度も起きてしまうということが起こるようになります。

筆者の家族が在宅介護で眠れなくなった原因

机にうつ伏せになる人

父の在宅介護を行っていた我が家の場合、家族が眠れなくなった原因は父の夜間頻尿でした。

夜間頻尿とは3つの理由により、夜に1回以上排尿のために起きることを指します。

  • 多尿・夜間多尿
  • 膀胱容量の低下
  • 睡眠障害

父の場合は睡眠障害があり、病気になってから2時間おきに目が覚めてしまい、失禁を恐れてか、その都度トイレへ行くようになりました。

寝室が同じ母は物音がするたびに起きてしまい、父が転倒しないか、ベッドまで自力で戻れるか、布団をかぶっているかなどが気になり、戻ってくるのを確認してから再び眠りにつくという状態でした。そういった状況から、母は深い眠りが取れなくなっていき、寝不足の状態が続くようになったのです。

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在宅介護で眠れないときの要介護者の対応策

睡眠障害からくる夜間頻尿により、まとまった睡眠をとれずにいた父は、代わりに日中にウトウトするようになりました。デイケア中も居眠りしていることが発覚しました。
夜に起きてしまうから日中に寝てしまう、日中に寝てしまうから夜に起きてしまうという悪循環に陥ってしまっていたのです。そこで家族でいろいろと対策を講じることにしました。

かかりつけ医に相談

聴診器とハートマークとキーボード

まずは、睡眠障害・夜間頻尿について、かかりつけ医に相談し、夜間だけ飲むよう軽い睡眠薬を処方してもらいました。

睡眠薬は強いものだと朝がきてもなかなか目覚められないということもあります。量を調整しながら、父の睡眠の時間をコントロールしていきました。

また、同時に、頻尿を抑える薬も処方していただきました。父の場合、夜間起きてしまうのは失禁の不安からくるものでもあったので、頻尿を抑える薬の処方により、安心することができたようです。

適度な散歩を促す

散歩する老人

デイケア以外は座ってばかりなので、デイケアのない日や昼寝の後は、散歩を提案しています。
筋肉に刺激を与えることはもちろんですが、外の世界にも目を向けてほしくて、父に散歩を促しています。

メリハリのない生活は、日中に眠くなってしまったり、体がほどよく疲れないということもあります。
適度な散歩を行うことで、生活にメリハリをつけ、夜の睡眠導入に効果的なのだそうです。

また、軽い散歩は脚のむくみを解消し、夜の尿量を減らす効果があります。
父も面倒に思うようで散歩に出るかは日によりますが、声かけは続けていきます。

ポータブルトイレの導入

ポータブルトイレ

睡眠をできるだけ長くとれるように工夫すると同時に、トイレに立った時の転倒のリスクや、間に合わず失禁してしまうことの不安の解消のため、ポータブルトイレを導入しました。

はじめは、寝室に置くことを拒否していた父ですが、だんだんと失禁する回数も増えてきたことから、受け入れてくれました。部屋からの移動をせず用を足せるので、母も安心できるようになったようです。

ただし、夜間の尿をトイレに流し、容器を洗う作業は母が担っています。夫婦といえど、他人の尿の処理は気が進みませんよね。たまに文句を言ってはいますが、毎日掃除・セッティングする母には頭が上がりません。

家族に対しオムツを提案するのはとてもハードルが高いことではありますが、睡眠の質を確保するには、夜間だけオムツの着用をお願いするのもひとつです。
「生活の質」の観点では、できる限りトイレへ行く、ポータブルトイレを使用するなどが望ましいですが、特に尿が溜まっているわけではないのに不安でトイレに何度も行ってしまうということもあるので、安心のためにオムツを着用することで安心して眠れるようになることもあります。

使い捨てトイレパック ユニパック

ポータブルトイレにかぶせるだけの簡単セット、交換目安は1日1枚の大容量吸水力なので、夜間も安心。
吸水シートが、特に気になる夜間での排泄時の音を軽減します。


在宅介護で眠れないときの介護者の対応策

一方、介護をする側の母が、寝不足を解消するために、実行した対応策を紹介します。

ウォーキングをする

ウォーキングする女性

もともと夫婦ふたりでウォーキングをしていましたが、介護が始まって一定期間ののち、ウォーキングを再開した母。父と少しの時間離れ、ウォーキングする時間は、程よい疲れとストレス解消に効果があり、睡眠の質も改善したようです。

ウォーキングのような有酸素運動は、疲労や緊張を和らげるβエンドルフィンという脳内ホルモンが放出されるそうで、睡眠の質が上がっただけでなく、介護で溜まったストレスを解消してくれる効果もあったそうです。

寝室を別にする

ベッドで目覚めた女性

それまで夫婦同室で、父が動くたびに目が覚めてしまうという状況でしたが、母の安定した睡眠を確保するため、ポータブルトイレを置いたことをきっかけに、寝室を分けることにしました。

父のためとはいえ、母が我慢し続けることで夫婦共倒れになってしまう可能性もありました。父とも話し合いをし、両者合意のうえ父の寝室を新たに設けました。

ベッドサイドにトイレがあることで転倒などの不安が解消され、母もゆっくりと睡眠をとれるようになりました。睡眠がよくとれるようになると、精神も安定し、いいことづくめです。

眠れる在宅介護に転換!介護者の負担を減らし、介護を継続する

晴れ渡る空に太陽が光り輝く

在宅介護で眠れずに悩んでいても、打開策や対応策によって現状を変えられることがあります。私場合、特に、寝室を分けたことで、介護者の睡眠に大きな効果がありました。介護を継続するためには、介護者の人生の質を向上する必要があります。また。要介護者自身も改善のために、対応できることはあります。

この機会に、眠れる在宅介護を実現するため、生活や環境を見直してみてください。

キャプスは、介護・看護従事者が多数所属しており、ご相談にできる限りお答えいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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つぶやきたい画面


投稿者プロフィール

冨田 裕子(とみたひろこ)
冨田 裕子(とみたひろこ)
父が脳卒中により、介護生活がスタート。
メインの介護者である母をサポートしながら、2人の子育てに奮闘しています!孫育てをリハビリ代わりにして、今日も家族で力を合わせて過ごしてます。

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