親が認知症になったらやるべきこと5つを厳選まとめ

認知症

親が認知症と診断されれば、誰もが絶望したり、不安でいっぱいになるものです。

しかし、認知症になったからと言って不幸になるわけではありません。

認知症と上手に付き合いながら幸せに暮らすこともできます。

ここでは、認知症と診断されたらまず何をしたら良いのかを紹介しています。

参考にして頂けると幸いです。

現在の認知症事情は?

高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。

「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、2025年には約675万人(有病率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されています。

内閣府H29年度版高齢者社会白書

なお、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害(MCI ※)の人も加えると4人に1人の割合となりますが、MCIの方がすべて認知症になるわけではありません。また、65歳未満で発症する「若年性認知症」もあり、認知症は、だれもがなりうる病気と考えられています。

MCI=Mild Cognitive Impairment
正常と認知症の中間ともいえる状態のことだが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない。MCIの人のうち年間で10〜15%が認知症に移行するとされている。

「認知症」ってどんな病気?

「認知症」とは、さまざまな脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。

認知症の種類

認知症の種類について以下に簡単に説明します。

種類別にさまざまな症状が表れることを覚えておきましょう。

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多く見られるのが、もの忘れをはじめとしたさまざまな症状が見られるアルツハイマー型認知症です。

有病率は年齢とともに高くなり、男性より女性に多く見られる傾向にあります。

最大の原因は加齢ですが、糖尿病高血圧などの基礎疾患があると、発症のリスクが2倍以上にもなることが報告されています。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって、一部の神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり認知症をきたすものをいいます。

一部の認知機能が保たれる「まだら認知症」が特徴とされており、症状が突然表れたり急に悪化したりするなど、状態が変動することが多い認知症です。

脳血管障害を起こした場所により症状は異なりますが、麻痺などの体の症状を伴うことが少なくありません。

レビー小体型認知症

アルツハイマー型認知症の次に多いレビー小体型認知症は、高齢者の認知症の約20%に見られます。

男性の方が女性より約2倍発症しやすく、ほかの認知症と比べ進行が早いのが特徴です。

加齢による脳の変化が原因と考えられており、記憶障害などの認知機能障害が変動しやすいことのほか、ありありとした幻視(実際にはないものが見える)や転びやすい、歩きにくいなどのパーキンソン症状睡眠中に夢をみて叫んだりするなどの症状を伴うことがあります。

どの症状が先に出てくるかはそれぞれです。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症では、人格や社会性を司る前頭葉や記憶や言語を司る側頭葉前方の萎縮が見られます。

万引きなどの軽犯罪といった社会性欠如症状のほか、感情の抑制ができなくなったり、言葉が出にくくなったりするなどの症状が緩やかに進行し、発症後約6〜8年で寝たきりの状態になることが多くあります。

親が認知症とわかったらやるべきこと5つ

親が認知症と診断されたらとりあえずやっておきたい5つの行動を紹介します。

この行動は速さが重要です。

今だから「親と一緒に相談しながらできること」が大いにあります。

かかりつけ医を見つけよう

認知症とよく似た状態(うつ、せん妄)や、認知症の状態を引き起こす体の病気もいろいろあるため(甲状腺機能低下症など)、早期に適切な診断を受けることは大切です。

わからないことなどをすぐに相談できる専門家として、信頼できるかかりつけ医がいることは、今後の生活のためにとても重要です。

介護保険など多様な制度を利用しよう

これからの生活を考えると、認知症の進行に応じて適切なサポートを受けることが大切になってきます。

まずは、親が住んでいる地域の地域包括支援センターに相談してみてください。

地域包括支援センターは、高齢者の介護・福祉・健康・医療・生活に関して、総合的に高齢者とその家族を支援するための機関です。

家族や周囲の人と相談できる場合は、地域包括支援センターに行く前に話し合って、一緒にセンターを訪れたほうが良いかもしれません。

国や地域には、介護保険サービスをはじめ、認知症をサポートするためのさまざまなサービスがあります。

介護保険を利用するにも、それらを熟知している地域包括支援センターのスタッフに相談して、上手にサービスを利用しましょう。

正しい知識を身に付けよう

医師や自治体からもらった冊子などがあればよく読んで、また、ご自分でもインターネットや書籍などで調べてみてください。

正しい知識は心に余裕を生みます。

認知症を正しく理解することが大切です。

認知症の正しい理解に向けては、下記URLで紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

マンガでわかる!認知症の人が見ている世界2

認知症の人が、どんな目線でものを考えているのか?認知症の不可解な行動原理を、漫画で分かりやすく描かれています。


なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか 


「なぜ、同じことを何度も聞いてくるのか」「なぜ、受診の話をすると怒り出すのか」「なぜ、同じものをいくつも買ってしまうのか」
家族や介護者が抱く認知症の人に対する「なぜ?」「どうして?」はたくさん。
家族や介護者が「なぜ?」と思う認知症の人の行動を、34の事例で取り上げ、その理由を脳科学で説明しています。

経験者から情報収集しよう

同じ悩みを持つ仲間だから通じ合えるということも多いです。

認知症の症状や介護方法は、体験や経験、失敗談や工夫、成功例などの具体例から学べることがたくさんあります。

認知症の人やその家族、地域住民の人たちが気軽に集まって、情報交換できる場所として、自治体や民間団体が運営する「認知症カフェ」という場があります。

また、地域には「認知症の家族会」など、認知症のケアを経験した家族が主体となって運営しているグループがあります。

これらの情報も地域包括支援センターにありますので、ぜひ活用を検討してください。

金融機関の対応を知っておこう

2021年2月、全国銀行協会は認知症家族が本人の預金を引き出しやすくするための金融機関の指針を取りまとめました。

一定の要件を満たしていれば、成年後見人制度を利用しなくても預金の引き出しができることや、家族間で公正証書を用いて財産管理契約を作成した場合、家族による引き出しが認められるなどの内容です。

今後各金融機関で運用される可能性がありますが、全ての金融機関がこの指針に沿うものになるとは限らないため、注意が必要です。

利用している金融機関に確認をしてください。

親のキャッシュカードを利用してお金を引き出しても、銀行側が気付くきっかけがない限り引き出し続けることは可能です。

しかしそのお金を私的な理由で使用していた場合、亡くなったときに相続トラブルになる可能性があります。

相続トラブルを避けるためには、引き出したお金を何に使ったかきちんと記録しておきましょう。

まとめ  これまでの生活を続けるために

認知症になる可能性は誰にでもあります。

認知症を患った本人の心情もそれぞれ違います。

「認知症の本人は自覚がない」という考えも大きな間違いであり、最初に症状に気づき、誰より一番不安になって苦しむのは本人なのです。

認知症の人は理解力が落ちているものの、感情面はとても繊細です。

あたたかく見守り、適切な援助を受ければ、自分でやれることも増えていくでしょう。

家事などできることは自分でする、日課となっていることや趣味もぜひ続けていきましょう。

不安は小さくないかもしれません。

しかし、適切な治療とサポートがあれば、認知症になっても幸せに暮らしていくことができます。

何よりも大切なのは「これまで通りの生活を続けていくこと」です。

あなただけではない、周りのみんなでサポートしていきましょう。

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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