要介護5の母親、家で介護するのは難しい?

介護の豆知識

要介護5の母親の介護ですが、結論からいうと家で介護をするのは難しいです。これは、親が在宅介護になった時の私の体験談です。

なぜ、家で介護は難しいのか。

要介護5の母親を家で介護するのが難しい理由、それはやはり四六時中介護をしなければいけないこと、目を離せない為に、自分の生活が成り立たなくなる、ということがあります。

生活は買い物や食事に掃除といったものが中心ですが、そこに介護が加わると一気に大変になります。当然ながら仕事は続けられないので辞める必要がありますし、在宅による短時間の仕事も困難です。

介護度が5にもなると、流石に介護中心の生活になりますし、他のことに使える時間は激減して優先度も一気に低下します。要介護5の母親は排泄どころか食事もままならず、1つ1つの日常的な活動にとても時間が掛かります。

入浴させるのも重労働で、歩行や立ち上がりは勿論、自分で寝返りを打つのも難しいですから、床ずれを防ぐための定期的な体位交換が必要です。

つまり、毎日一人で介護をするのは不可能に近く、誰かのサポートを受けて休憩を挟みながらでないと、自分の身体が壊れて、それこそ介護が必要になってしまいます。

親のことなので、可能な限り自分で面倒を見たいと思いましたし、介護が始まったころは、自分で面倒を見るという意気込みでしたが、理想と現実には大きなギャップがあり、家で介護をするのは難しいとの結論に至りました。

想像以上に体力が求められることもそうですが、意思疎通が上手くいかず、イライラしてしまいストレスが溜まることも、思った以上に大変でした。当時は誰かに愚痴を聞いてもらうのも難しく、共感してもらう場もなく、本当に自分一人で抱え込んでしまっていました。

要介護4と5の違い

要介護4のお世話も経験しましたが、4と5では数字が1つ違うだけなのに、実際にはかなり異なると思いました。

4の時は部分的なお世話で済みましたが、5の状態になるとほぼ全部お世話をすることになります。

ほとんど寝たきりな上に、自分でできることがほぼ皆無ですから、介護する側には大変だと感じている余裕すらないのです。

1日が終わるとドッと疲れが身体に押し寄せますが、いつ起きたりトイレの時間になるか分からないので、心から休める時間がなくなります。例えるなら大きな赤ちゃんのお世話をする感じで、疲れて眠りについても気になって目が覚めてしまいます。

できるところまで自分で介護をと思っていましたが、このまま続けるのは現実的ではなく、自分が倒れてしまったら誰が面倒を見るのかと考え、自治体の窓口に相談することに決めました。それからはソーシャルワーカーが相談に乗ってくれ、利用できる介護サービスや施設の入所という選択肢を提示してもらえました。

施設に入所への心理的な抵抗感

母親を施設に預けるのは自分の責任を放棄している感じがして抵抗感がありましたが、相談しながら母親のことを考えると、やはり施設に入所するのが無難だと思うようになりました。

私の場合、介護を親戚に頼むわけにはいかず、兄弟姉妹でお世話をするのも難しかったため、結論として施設に預けるに至ったのは自然だったと思います。

ソーシャルワーカーと相談しながら選択肢を絞り込み、施設について詳しく情報を確認して、入所する施設を決めました。見学をさせてもらいましたが、立派な建物で清掃が行き届いていて、優しさが伝わるスタッフの対応に安心感を覚えました。

入所後の、それから

最初は母親も寂しそうでしたが、今ではスタッフや他の入居者とも仲良くなっているようで、安心して過ごせていることが伝わります。

介護は特定のイベントごとではなく日々続く日常です。
だからこそ、母にも幸せに過ごしてもらいたい、という想いが強すぎて、自分も追いつめられていたと今になって感じます。
母親も、「子供に迷惑をかけたくない」そんな思いでいたようです。
つまりこの施設入所は、お互いにとって新たな関係性の構築に一役買いました。


私は母が大好きなので、正直なところ、もっと一緒に過ごしたかった。胸がチクりと痛む日もあります。
ただ、たくさん悩んで、たくさん調べて、正しい選択ができたと感じています。
自分も負担が大幅に減って気持ちに余裕が持てるようになりました。

こちらもおすすめ

医者が教える非まじめ介護のすすめ
大塚宣夫 (著)

社会のため、親のため。世間の、あるいは自分の中の「~すべき」といった、「介護の常識」に縛られていませんか?
「介護はかくあらねばならぬ」という常識を一度、捨てましょう。看る側と看られる側、互いの思いを理解し、前向きに“老い”を受け入れたうえで、肩の力を抜いて介護と向き合いませんか。
阿川佐和子さん推薦!!「この本を読んだらきっと心が軽くなるでしょう!」
よみうりランド慶友病院・大塚宣夫先生の上手に気楽に介護を乗り切る50のヒント!


「家族介護」のきほん
アラジン(著)

「介護する人」に寄り添う、在宅介護の実用書!
20年以上にわたり、介護をしている家族の相談やサポートを続けているNPO法人の「アラジン」の蓄積された経験や豊富な相談事例をもとに、介護者の暮らしや人生に寄り添った、リアルな介護の乗り切り方を伝授します。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP