【親の介護】介護休暇と介護休業の違いや介護離職対策を解説

介護の豆知識
  • 親の介護が必要になったら、仕事の休みがもらえるの?
  • 仕事を休んだらせっかく積み上げたキャリアはどうなる?
  • 働けなくなったら収入が無くなって生活が苦しい……

高齢の親がいる場合、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

今はまだ元気に暮らしている親も、いつ介護が必要になるかは誰にもわかりません。

仕事を持ちながらでも急な対応に迫られることもあるでしょう。

この記事では親の介護が必要になった時の介護休暇制度について解説します。

介護と仕事の両立の参考にしてください。

介護休暇と介護休業の違い

介護をするために取得できる休みには、「介護休暇」と「介護休業」があります。

「介護休暇」は介護のために急に休みが必要になった時に便利な休暇制度です。一方「介護休業」は、長期的な休みを取りたい時に適しています。

どちらも似ている言葉で、要介護の家族を介護するために取得できる制度ですが詳細は異なります。詳しく見ていきましょう。

【介護休暇】急に短期的な休みが必要になった時に使える

介護休暇は介護のための休みを取得できる制度で、労働者の権利として育児・介護休業法で定められています。

年間5日間までの休暇が取得できますが、被介護者が2名以上いる場合は10日間休むことができます。令和3年の法改正により、時間単位での取得ができるようになったので、1日休みを取らなくても数時間抜けることも可能になりました。

介護休暇を取得すれば欠勤にはなりませんが、賃金については法的な定めはなく無給の場合もあります。そのため、介護休暇ではなく有給休暇を取得する方も多いようです。

「介護休暇」はこんなときに使うのがオススメ

介護休暇は、被介護者が急な体調不良やケガをしてしまった場合など、突発的な休みが必要なときに助かる制度です。

また、病院への定期通院・役所・銀行・保険などの手続きに付き添いが必要な場合など、単発的な休みにも利用できます。

時間単位で取得できるようになったため、丸一日仕事を休まなくても良い場合にも便利です。

数時間なら有給休暇を使いたくない場合や、有給休暇を使い切ってしまった場合など介護のために有給休暇を取りたくないときには介護休暇を取得するのも一つです。

「介護休暇」介護休暇の取得条件

介護休暇は雇用形態に関係なく、原則全ての方が取得できます。ただし、入社から6ヵ月以上経過している労働者に限られるため、日雇い労働者は対象にはなりません

介護の対象者が「要介護状態」であることが条件で、親や祖父母、義父母、配偶者、兄弟姉妹、子、孫までが対象になります。

「介護休暇」の申請方法

介護休暇を取りたいときは事前の手続きは不要で、当日の申請も可能です。会社は従業員からの休暇の申し出を拒むことができません。ただし、会社によってルールが定められているため確認しておくことが大切です。

休暇取得は権利ですが、職場に穴を開けてしまうのには変わりありません。最低限のルールを守って休暇を取得しましょう。

【介護休業】長期的・計画的な休みに使える

介護休業は、長期的に休みを取りたいときに便利な休業制度です。介護休暇と同じように育児・介護休業法で定められた労働者の権利です。

介護が必要な家族一人につき、93日間の休みが取得でき、連続して休まなくても3回まで分割して休むこともできます。

「介護休業」はこんなときに使うのがオススメ

介護休業は、突発的に休みが必要になったときに取得する休暇ではなく、計画的に長期の介護を続けたいときに適しています。

介護の対象になる家族が遠方に住んでいる場合や、引っ越しや施設入居などの準備が必要な時期に取得するのがおすすめです。また、看取りの時期などしばらくつきっきりの介護が必要な時期にも利用できます。

実際の介護だけでなく今後の環境作りが必要な場合は、長期間休みを取ってじっくり準備すると将来的にも良いでしょう。

「介護休業」の取得条件

介護休業を取得できるのは、雇用形態に関係なく事業主に1年以上雇用されている職員です。また、介護休業の予定日から93日が経過した後、6か月以内に退職する予定がないことも条件とされています。

介護の対象者は、「介護休暇」と同じ条件で、「要介護状態」の親や祖父母、義父母、配偶者、兄弟姉妹、子、孫が対象です。

「介護休業」の申請方法

介護休業は計画的な長期休暇を取得するため、開始日の2週間前までに職場に事前申請が必要です。開始予定日と終了予定日を決め、書面で申請します。

事前に申請の必要な点が、介護休暇と異なります。

「介護休業給付金」の支給が受けられる

介護休業を取得した場合の給料は介護休暇と同様に無給です。ただし、一定の条件を満たしていれば「介護休業給付金」を申請できます。

介護休業給付金は、会社が必要な書類をハローワークに申請することで支給されます。

介護休業給付金の計算式は次の通りです。

介護休業給付金の支給額 = 休業開始時の賃金日額 × 67%

介護休業期間中に会社から賃金が支払われた場合は、給付額が減額されることもあるため注意が必要です。また、給付金が入金されるのは介護休業明けになります。

介護休業中に、給付金が支払われるのは収入面でも非常に助かる制度ですが、受給の要件はしっかり確認しておく必要があります。

休暇を活用してすべきこと

突発的に休みを取得して介護の時間にあてる場合も多くありますが、介護休暇や介護休業を取得するのであれば、有効に活用すべきです。

病状が悪化し、看取りが近い場合は常時の介護が必要になるケースも多いでしょう。終末期の場合それでも構いませんが多くの場合、介護はそのときだけでなくいつまで続くかわかりません。取得できる休みにも限りがあります。休暇を利用して介護体制作りをしておけば、今後の介護も無理なく仕事と介護が継続できます。

制度を活用した介護体制づくり

もし、介護保険を申請していない場合は地域包括支援センターなどに相談し、介護保険の申請をしましょう。介護サービスについてケアマネジャーに相談すれば、介護負担が軽減し職場復帰が可能になるかもしれません。

自宅にヘルパーさんが来てくれる訪問介護サービスや、通いのデイサービス、宿泊ができるショートステイなどの介護サービスをうまく組み合わせて介護体制を構築しておけば安心です。被介護者の心身状況によっては施設入居が必要なケースも考えられます。

介護サービスを利用する際には、施設の体験利用やアセスメント、契約などさまざまな手続きが必要です。介護の体制を整えるために休暇を有効活用すると良いでしょう。

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家族で話し合いの時間を持つ

介護負担が、家族間で偏っている場合は家族間での話し合いの時間を持ちましょう。家族間で親の介護に対する思いを確認しておけばトラブル回避にもなります。

家族によって生活で抱えている背景は異なります。できることやできないことを確認し、役割分担すれば無理なく介護を乗り切れるケースもあるため、じっくり話し合うことが大切です。役割を明確にしておけば、介護により自分の生活を犠牲にすることが避けられます

制度をうまく活用し介護と仕事の両立を

親の介護が必要になった時の休暇制度について解説しました。

親のことは大切に思っていて高齢の親を支えたい気持ちの反面、自らの生活も大切ですよね。介護が原因で職を失ったり、目指していたキャリア、夢を諦めなくてはいけなくなったりするのは不幸なことです。

しかし、制度について理解をしておけばいざという時に役立つはずです。

介護と仕事の両立をし、介護離職を避けるように制度をうまく活用しましょう。

投稿者プロフィール

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。

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