介護認定はやり直しできる!区分変更の理由や認定調査のポイントを解説

介護の豆知識

介護認定の結果が、状況に合っていないためやり直しをしてほしいと思っていませんか?認定結果により希望する介護サービスが受けられなければ困ってしまいますよね。

  • 介護認定調査の認定結果に納得できない
  • 急に動けなくなって困っている
  • 家族が介護に疲れてきた

介護認定の結果を変更したい理由はさまざまですが、介護認定は「区分変更」の手続きを踏めば、認定調査をやり直しをしてもらえるケースがあります。

今回の記事では、介護認定調査の区分変更について解説します。区分変更する時の理由や手順、納得いく結果を得るためのポイントも解説するのでぜひ参考にしてください。

介護認定の区分変更とは

認定調査票の上にボールペンが乗っている写真

介護認定の区分変更とは、要介護認定や要支援認定を受けた方が、決定した介護度を変更してもらいたいときに再度認定調査を依頼することをいいます。

介護保険証にはその介護度の有効期間が記載されていますが、その終了の時期を待たずして申請が可能です。

有効期間中にあっても、何らかの理由で介護度を変更してもらいたいときに行う手続きです。

区分変更を申請する時の理由

パジャマ姿で杖を片手に持ち、足を痛そうにさすりながらベッドサイドに座っている高齢女性。その横にエプロン姿でバインダーを持ってひざまずく女性。

介護度を変更してもらいたい理由はそれぞれですが、以下のような理由が挙げられます。

  • 介護度が軽くなってサービスが受けられなくなった
  • 入院などで状態が変わり介護の必要度が増えた
  • 介護度を軽くしてほしい

それぞれの理由について詳しく確認してみましょう。

介護度が軽くなってサービスが受けられなくなった

1つ目の理由は、今までの介護度より介護度が軽くなり、希望する介護サービスが受けられなくなるケースです。

区分支給限度額いっぱいに介護サービスを受けていた方であれば、介護度が軽くなることにより、限度額がオーバーしてしまいます。その場合はサービスを削るか、オーバーした分の費用を自費で支払わなくてはなりません。

また、介護保険サービスには介護度により制限されているサービスがあります。例えば、施設入居を検討している場合には、介護度により受け入れてもらえない施設があります。在宅サービスでは「夜間対応型訪問介護」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」などは要支援の方は利用できません。福祉用具のレンタル品の中にも、車いすやベッドなど要支援1・2、要介護1の人が原則対象外になっている品目があります。

今まで受けられていたサービスが受けられない、減らさなければならないといった事態に困ってしまう方も多いでしょう。

入院などで状態が変わり介護の必要度が増えた

介護の必要度が増えたときは、今までの介護度によるサービスでは対応しきれないケースがあります。

ケガや病気などが原因で入院していた場合に、介護の必要度が急激に上がることがあります。認知症の進行で介護の手間が増えるケースもあるでしょう。高齢者の場合、何かきっかけがなくても徐々に身体機能の低下により介護の必要度が増えてくるのは当然です。

介護者の負担が大きくなり、介護サービスのサポートがなければ介護疲れを起こしてしまうリスクも考えられます。

介護度を軽くしてほしい

介護度を軽く認定してほしいケースもたまにあります。介護度が低いほうが、費用が安い介護サービスがあるからです。

例えば、デイサービスやデイケアなどの通いのサービスや特別養護老人ホームなどの施設サービスでは、介護度が重いほうが料金が高く設定されています

在宅介護では、介護度が上がれば限度額が増えるだけのように感じますが、利用するサービスによっては今まで支払っていた料金よりも高くなってしまうケースがあります。

そのため、思っている心身の状況よりも介護度が重く出ていると感じる場合には、費用を安くするために、介護度を軽くしたいと考える方もいるでしょう。

介護認定の区分変更を行う手順

バインダーにボールペンで書き込む様子の向こうに女性が座っている

介護保険の区分変更の手続きを行う手順は以下の通りです。

  1. ケアマネジャーに相談する
  2. 介護保険要介護認定・要支援認定等申請書を提出する
  3. 主治医意見書を記入してもらう
  4. 介護認定調査を受ける

ケアマネジャーに相談する

区分変更の手続きは利用者や家族が行うこともできますが、まずは担当のケアマネジャーに相談するのが通常です。

区分変更をして介護認定結果が決定したら、そのあと利用する介護サービスを計画してくれるのはケアマネジャーになります。ケアマネジャーがご利用者の心身の状況を確認し、その方に必要だと判断するサービスがケアプランに組み込まれるため相談は必須です。

区分変更の申請をしても、必ずしも希望の要介護度に認定されるわけではありません。介護度が自分の心身状況に見合っていないと思っても、プロの目から見るとその介護度が妥当だと考える場合もあります。まずは、区分変更の必要性をケアマネジャーに見極めてもらいましょう

そのうえで、新しい介護度が決定するまでは、現在の介護度で受けられるサービスを提案してもらえます。

介護保険要介護認定・要支援認定等申請書を提出する

区分変更の申請をすることが決定したら、市町村の介護保険担当窓口に申請書を提出します。

区分変更申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 介護保険要介護・要支援認定申請書
  • 介護保険証
  • 第2号被保険者は医療保険
  • マイナンバーカード
  • 代理申請する方の本人確認書類
  • 場合により委任状

申請書は自治体の窓口で取得するか、ホームページからダウンロードできます。

自治体により異なりますが、代理申請を依頼する場合は本人確認書類や委任状が必要です。

また、マイナンバー法により、介護保険の申請にもマイナンバーの提出や申請書への記載欄が設けられています。しかし現状では書類に不備がなければ、空欄のままでも申請を受け付けてもらえるようです。自治体で確認してみましょう。

これらの申請は、担当のケアマネジャーに代行してもらえるので手続きの際に相談してみましょう。

主治医意見書を記入してもらう

主治医の意見書は申請書を提出したら自治体から主治医へ依頼されます。申請書に主治医の連絡先を記載する欄があるのでかかりつけ医を記載しておいてください。

かかりつけ医がない場合は過去に受診したことのある医師に依頼するか、市区町に紹介してもらい、指定の医療機関を受診する方法があります。

普段からかかっていない医療機関であれば、一度診察にいかなければなりません。主治医の意見書には費用はかかりませんが、診察に行った際の受診代は支払う必要があります。

介護認定調査を受ける

介護認定調査を担当する、市区町村の担当者やケアマネージャーが自宅や入院先を訪問して聞き取り調査を行います。

調査で聞き取られる内容は以下の通りです。

身体機能・起居動作麻痺の有無
関節が動く範囲
寝返り・起き上がりができるか
座位が保てるか
両足での立位・片足での立位が保てるか
立ち上がり・歩行ができるか
洗身・つめ切りの介助について
視力・聴力について
生活機能移乗・移動について
食事・嚥下の状況について
排尿・排便について
口腔ケア・洗顔・整髪などの整容について
上着・スボンの着脱について
外出の頻度について
認知機能意思が伝達できるか
日課を理解しているか
生年月日・年齢が言えるか
今まで何をしていたか思い出せるか
自分の名前・今の季節・自分のいる場所が答えられるか
徘徊や外出して戻れないことはあるか
精神・行動障害物を取られたなどの被害的な言動があるか
作り話をすることがあるか
感情が不安定になることがあるか
昼夜の逆転があるか
しつこく同じ話をすることがあるか
大声を出すことがあるか
介護に抵抗することがあるか
落ち着きがなくなることがあるか
一人で出たがり目が離せなくなることがあるか
物を収集したり、無断で持ってくることがあるか
物や衣類を壊すことがあるか
ひどい物忘れがあるか
意味のない独り言や独り笑いがあるか
自分勝手な行動があるか
話がまとまらず会話にならないことがあるか
社会生活への適応薬の服薬ができるか
金銭管理ができるか
日常の意思決定ができるか
集団への不適応があるか
買い物ができるか
簡単な調理ができるか
その他過去14日間に受けた医療について

どんなことが聞かれるかを少しでも頭に入れておくと、当日の心の準備になるかもしれません。

介護保険の認定調査を受ける時のポイント

高齢女性の自宅にポロシャツの男性が訪ねてきている様子

ここからは、認定調査を受ける時のポイントを解説します。現在の身体状況がしっかり伝わらなければ、希望する介護度が判定されません。

状況にあった介護認定結果が下りるようにポイントをチェックしておきましょう!

認定調査日以外の状態を伝える

認定調査での聞き取りでは、認定調査当日以外の状況もしっかり伝えるようにしましょう。

認定調査日の状態が普段の状態と異なる場合はよくあるので、普段はどうかという点を正確に伝えなければなりません。動作確認をしていても、普段できない動作が当日にはできてしまうのはよくあることです。

体調や認知症の症状などは、その日により波が激しい場合もあります。普段の状況をメモしておき、データでまとめておくと良いでしょう。伝えておきたいことを忘れてしまうこともあるので、事前に整理しておくと安心です。

家族が普段の様子や介護の状況を伝える

認定調査には可能であれば、普段の様子が分かっている家族が立ち会うのがベストです。

高齢者の場合、認定調査の場面で自分はできるとアピールしてしまう方がいます。また、認知症の方などで、違った返答をしてしまった場合に調査員に真実が伝わらないケースもあります。

本人ができると思っていることでも、実際にはできていなかったり実は介助が必要だったりするケースはよくあることです。介護保険は家族の介護負担を助ける制度でもあります。介護の状況で大変なこと、困っていることをしっかり伝えておくことが大切です。

家族が立ち会えない、普段の様子が分からないといった場合は、担当のケアマネジャーに同席してもらうのも一つです。

本人の前で言いにくいことは別で伝える

家族が普段の様子をしっかり伝えなければいけないと分かっていても、本人を目の前にして言いにくい場合もあります。

普段困っていることなど、本人の前で言いにくいことは認定調査の前後などの本人がいない時に伝えると良いでしょう。タイミングが難しい場合はメモで渡すのも一つです。

本人を傷つけず、調査員に正確な情報を伝えられるよう工夫することが大切です。

主治医に相談して意見書に書いてもらう

認定調査の結果は、主治医の意見書も反映します。診察時に主治医に普段の困り事を伝え、現状を踏まえたうえでの意見書を記載してもらうことが大切です。

主治医は患者さんの診察時の状況しか知りません。普段の家での様子はこちらから相談しなければ伝わらないため、普段から主治医とコミュニケーションが取れるようにしておきましょう。

状態に合った介護度で適切なサービスを受けよう

今回の記事では、介護認定の区分変更について解説しました。

介護認定はやり直しができます。今の介護度で希望する介護サービスが受けられずにお困りの方は、ケアマネジャーに相談してみると良いでしょう。

この記事を参考に、今の心身の状況に合った適切なサービスが受けられるようにしてください。

投稿者プロフィール

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。

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