高齢者の食欲不振やだるさなど夏バテや夏カゼ症状を東洋医学で改善!

介護の豆知識

毎日暑い日が続き、食欲が出ない、胃腸の具合が悪い、とにかくだるいなど、様々な不調にお悩みではありませんか?

こういった分かりやすい不調だけでなく、クーラーの冷風に負けて自律神経が乱れ「暑いのか寒いのかよく分からない/自分の適温がかなり狭いと感じる」など、不快な感覚変化も起きやすい季節です。

高齢者にとってもこの季節は体にダメージを受けてしまいやすい時期。

こういった夏の不調を緩和し、元気に乗り切れるよう様々な養生をお伝えしますので、ケアする方も、される方も、ぜひ取り組んでみてくださいね!

夏バテの原因

そもそもなぜ「夏バテ」が起こるのか…

夏バテは私たちの身の回りの「温度」と摂取する「飲食物」によって引き起こされると言われています。

それらを大きく3つに分け、順にわかりやすくお伝えしますね。

外気温の高さにより熱がこもり、睡眠の質が落ちる

まずは「外気温の高さ」です。

以前の介護の豆知識・養生情報でもお伝えしましたが、人の体というのは外の環境と交通し合っています。

外が寒ければ体が冷えるし、湿気が多いと体にも水が溜まりやすい。

ですので、外気温が高い時期は体も熱されて、その熱が体内にこもってしまいやすいのです。

体に熱がこもると様々な不調が出ますが、この時期特に夏バテに繋がりやすいのは「夜寝付けない、夜中に何度も起きてしまう」といった状態。

熱のせいで体の深部を冷ますことができず、入眠が難しくなったり、眠りの質にも問題が出て、その結果免疫力が低下したり自律神経の調整能力が下がってしまうのです。

また、人は普段、呼吸を体温調整に利用し外気を取り込むことで体を内側から冷ましています。ですので、外気温が高くなればなるほど取り込む空気も熱くなり、この機能の効率は低下して「外に出ると息苦しい」などの感覚が起こるように。体の内側には更に熱が篭り、不調に繋がりやすくなります。

熱の影響で「冷たい飲食物」の摂取が増え、胃腸に負担がかかる

西洋医学でも東洋医学でも「胃腸(東洋医学でいうと’脾胃’)」は人が生きるための最重要器官とされています。

どれほど栄養豊富な点滴をしても、胃に飲食物が入らなければ人は人として長くは生き続けられません。

「胃腸に食べ物を取り入れ、それらをうまく消化吸収できる」というのは、人間の健康において全ての始まりなのです。

しかし、夏の暑い時期は体に入った熱の影響で喉が渇き

・冷たいものを一気に摂ってしまう
・体を冷やすためでなく「美味しいから」必要以上に摂る

などでつい胃腸をいじめがちに。

その結果、胃腸の消化吸収能力がダウン。
胃壁が荒れたり、下痢が起こったり、胃腸の動き自体が弱ったりして食欲も落ちるなど、消化器系の症状が出始めます。

そして下痢や軟便等で栄養がうまく吸収できなくなったり、食欲が落ちて必要な食事量が取れなくなれば、体に必要なエネルギーやホルモン、筋肉なども作れず、更に体や消化能力が弱るという負の夏バテサイクルに

クーラーとうまく付き合えず自律神経が乱れる

最後に、「クーラー負け」も夏バテの大きな原因となります。

筋肉量が多い方は自身で熱を生みやすいので、「暑がるけれどクーラーの冷風自体には負けにくいタイプ」です。

しかし特に痩せ型の方や、太り気味でも脂肪の多いタイプの方は、「部屋でクーラーの冷風に当たる⇆外がすごく暑い」、この温度変化の繰り返しがその都度ダイレクトに体に響きます。

その結果、自律神経の調整機能が疲労&混乱。「暑いのに腕だけ異様に冷感がある」「暑くないのに汗が垂れる」「少し暑くても少し寒くてもしんどくなる」など、困った不調に陥ることがあります。

更にこういった自律神経失調症状だけでなく、冷風でダイレクトに夏カゼをひいてしまうこともありますよね。夏に熱が出るとさらに体温や室温調整が難しく、苦しいものです…

このようなつらい夏の不調に悩まされている方、また「今のところ大丈夫だけどどうしても夏バテは嫌!」という方に向けて、後半は沢山の対処法や改善策をお伝えしていきます!

夏バテ予防 & 夏バテへの対処法

早く寝ることで熱を冷ましやすい体にする

まず、手っ取り早くできるのにかなり効果が高いのは「いつも以上に早く寝る」という事です。

体や脳は夏の暑さと冷房、冷たい飲食物等で想像以上に疲れています。まだ睡眠に異常が出ていないなら、とにかく1時間でも早く寝ること。

東洋医学的には、よく眠ると「腎陰」と言われる’生きるためのエネルギー’が増え、気血が増して体が潤い、それがラジエーターのように体の余分な熱を冷ましてくれるので、根本的に熱の不調に強い体になっていくとされています。

西洋医学的にも、眠ることで脳や体の熱が冷まされ、心身がしっかりと休まります。

体のためには0時までには眠るようにしたいですね。

しっかりとお風呂に浸かる(=自律神経の調整)

夏は簡単にシャワーですませる方も多いかもしれませんが、夏バテ予防や解消のためにはきちんと湯船に浸かることが大切

特に自律神経が狂ってきた感覚のある方は湯船に浸かることで温度の感知機能をリセットし、脳と体の感覚の混乱を整えることができるので更におすすめです。

湯温は高すぎず40~41度、時間は10分ほどで大丈夫。

湯温が高すぎたり長湯してしまうと汗をかいて血を消耗し(汗の元は血ですので)、余計に体力を使ってしまいます。無理せず行いましょう。

加えて、湯船から出た後に足元だけでも冷水をかけて冷温浴をするとさらに自律神経が整いやすいです。一度冷やして⇆また湯船に戻る、を繰り返すのも効果的。(こちらも疲れすぎない程度で!)

入浴後は、入浴前に冷蔵庫から出しておいた飲み物を飲むと胃腸が冷えすぎずおすすめです!

ツボ刺激

すでに胃腸が弱っている、もしくはまだ大丈夫だけど絶対夏バテしたくない!という方は、両膝の外側指3本分下にある「足三里」というツボがおすすめ。

そのツボが周りより少し凹んでいる、冷たい、皮膚にハリがないなど弱々しい方はすでに胃腸(脾胃)にパワーが足りていない状態です。

1日1回でよいのでお灸をしたり、より手軽なものだと ‘マグカップ灸’もおすすめ。

マグカップ灸

マグカップに熱湯を注ぎしばらく待つ。その後お湯を捨て、熱くなったカップの底をツボに「優しく当てて⇆離す」を繰り返すというもの。火を使わず手軽にお灸と同等の効果を得られます。じんわりと熱さがしみ込んでいるのを自覚するまで行ってください。あまりに熱すぎると逆にエネルギーを奪うので、3秒間はギリギリ当てたままにできるくらいの温度で。数回トントンしてみましょう。

毎日少しずつ体に元気を補充できるので、夏バテ予防&対策にうってつけの方法です。

ブロススープを飲む

飲む万能薬と言われる「ブロススープ」をご存じですか?

作り方は簡単、骨つき肉をいろいろな野菜と一緒に水で長く煮込み、ビタミンやミネラル、タンパク質などがいっぱいに詰まった栄養豊富なスープにするというものです。(具は食べてもいいですが、基本的には塩胡椒などで味を整えスープをいただきます。)

食欲が落ちている時はお肉や油物も摂りにくく余計弱りがちに。しかしこのブロススープでは、タンパク質が熱で小さく分解されペプチド化してスープに溶け出すので、体にかかる消化や吸収の負担がかなり少なくなり、飲むだけで手軽にしっかりと栄養補給が可能になります。

胃腸の力が落ちている夏バテ中の方だけでなく、食が細くなりがちな高齢者にもとてもおすすめですので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

夏バテがひどい & 夏風邪をひいてしまった人におすすめの漢方

夏バテ

「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」…夏バテしそう、もしくはすでに夏バテが進行してしまった方におすすめ。

体にこもる熱を払い、胃腸のパワーを高めてくれる、夏バテにおすすめの漢方です。

保険適応の処方薬なので、漢方を扱っているかかりつけ医であれば「夏バテでつらい」と伝えると処方してくれることが多いです。

※同じく「補中益気湯」も疲れた時にまず勧められやすい漢方なのですが、本当に体が弱っていたり、体内に滞りの多い方の場合は飲むと余計に重だるくなることがあります。その際は量を減らすか使用を中止し、体調に合った別の漢方等に変更されることをおすすめします。

夏風邪

「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」…ついに夏風邪をひいてしまった…という時はこちらがおすすめ。

クーラーでやられて調子を崩し発熱が始まったり、冷たいもので胃腸がやられて倦怠感や下痢などが起こった時によく効きます。

また実はこの漢方、コロナ感染が疑われた際のおすすめ漢方でもあります。

「夏風邪なのかコロナなのか分からない!」と不安になった場合にも使いやすい漢方だと思いますので、季節的にも時節的にも、ご家庭にひとつあると安心ですよ。

まとめ

夏バテや夏カゼの原因とその対策をお伝えしてきました。

対策としてはどれも難しいことではなく、「日々少しだけ気をつける」という習慣を持つことが大切です。

小さな心がけの積み重ねで、大きな健康が望めますので、消耗しやすいこの時期だけでも「早く寝たほうがいいな」「このお茶冷たすぎるかな?」など気づきを持って過ごしていただきたいと思います。

私も暑いとついついアイスを食べたくなりますが、「半分でやめておこう」など少しだけでも自制するよう心がけています!(笑)

お互い元気に夏を乗り切りましょう!

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