親の介護が必要になったとき、最も大きな不安のひとつが「費用の負担」です。 施設入所や在宅介護、医療費、福祉用具の購入など、思った以上にお金がかかることもあり、「親の介護 お金がない」と悩む方は少なくありません。
この記事では、介護費用を抑えるための公的制度や支援の受け方、相談窓口の活用法までを詳しく解説します。
介護にかかる費用の目安

まずは、介護にかかる費用の平均を知っておきましょう。
在宅介護の場合
- 月額平均:約4〜6万円
- 主な内訳:訪問介護、デイサービス、福祉用具レンタル、食費・おむつ代など
施設介護の場合
- 月額平均:約10〜15万円
- 主な内訳:施設利用料、食費、医療費、雑費など
これに加えて、住宅改修費や入居一時金などの初期費用がかかる場合もあります。
親の介護でお金がないときはどうやって賄うの?
介護が必要になったとき、「貯金がない」「年金だけでは足りない」「子ども世代も余裕がない」といった状況は珍しくありません。そんなとき、無理に自己負担を続けるのではなく、使える制度や支援を組み合わせて賄うことが大切です。
1. 公的制度を最大限活用する
- 介護保険制度:要介護認定を受けることで、訪問介護やデイサービスなどの費用が1〜3割負担に軽減されます。
- 高額介護サービス費制度:月額の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が払い戻されます。
- 生活保護制度:収入や資産が一定以下の場合、介護費用も含めて支援を受けられる可能性があります。
- 高額療養費制度(医療費):医療費が高額になった場合、一定額を超えた分が後から返金されます。
2. 地域の支援サービスを活用する
- 自治体によっては、おむつ支給、配食サービス、訪問理美容などの支援があります。
- 地域包括支援センターに相談することで、利用できるサービスを案内してもらえます。
3. 家族間で費用を分担する
- 兄弟姉妹がいる場合は、介護費用の分担ルールを話し合っておくことが重要です。
- 「近くに住んでいる人が介護を担当」「遠方の人が費用を支援」など、役割分担を明確にすることでトラブルを防げます。
4. 親の資産を活用する
- 親に預貯金や不動産がある場合は、成年後見制度や家族信託を使って、介護費用に充てることができます。
- 相続を見据えた資産管理も含めて、専門家に相談するのがおすすめです。
5. 一時的な貸付制度を利用する
- 社会福祉協議会などでは、介護用品購入費や生活費の一時貸付制度を設けている場合があります。
- 無利子または低利で借りられることもあるため、緊急時の選択肢として検討できます。
「親の介護 お金がない」ときに使える公的制度
介護保険制度をはじめ、費用負担を軽減できる制度が複数あります。知らないまま自己負担してしまうケースも多いため、早めに確認しておきましょう。
介護保険制度
- 要介護認定を受けることで、介護サービスの利用料が原則1割(所得に応じて2〜3割)に軽減されます。
- 利用限度額を超えた分は自己負担になるため、ケアマネジャーと相談しながらプランを立てましょう。
高額介護サービス費制度
- 月額の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
- 所得に応じて上限額が設定されており、申請は市区町村の窓口で行います。
高額療養費制度(医療費)
- 医療費が高額になった場合、一定額を超えた分が後から払い戻されます。
- 介護と医療が同時に必要な場合は、両方の制度を併用できます。
福祉用具のレンタル・購入補助
- 介護ベッド、手すり、歩行器などの福祉用具は、介護保険を使ってレンタルや購入が可能です。
- 必要な用具はケアマネジャーが判断し、プランに組み込んでくれます。
住宅改修費の助成
事前申請が必要なので、工事前に市区町村に相談しましょう。
手すりの設置、段差の解消、トイレの改修など、最大20万円までの工事費が補助されます。
収入が少ない世帯向けの支援制度

親の年金だけでは足りない、子ども世代も余裕がないという場合は、以下のような支援制度も検討できます。
生活保護制度
- 介護が必要な高齢者でも、生活保護の対象になる場合があります。
- 介護サービス費用も含めて支援されるため、条件に該当するか市役所で相談してみましょう。
障害者控除・医療費控除
- 要介護認定を受けた場合、税制上の控除対象になることがあります。
- 所得税や住民税の軽減につながるため、確定申告時に忘れずに申請しましょう。
成年後見制度・家族信託
親の資産管理が難しい場合は、法的な制度を活用することで、介護費用の支払いをスムーズに行えます。

マンガで解決 親の介護とお金が不安です
「お母さんとお父さん、なんか老けた?」と思ったら、今すぐ読むべき1冊。
「いま、親に何かあったら、どうしよう?」超高齢社会で長生きしても、最期の数年は不健康である場合が多い。
今何をしたらいいのかわからないけれど、漠然と不安を持っている方に、「親の介護とお金」の超入門編。
費用を抑えるための生活の工夫
制度だけでなく、日常の中でできる工夫もあります。
デイサービスの活用
- 施設入所よりも費用が安く、日中だけの利用で介護者の負担も軽減できます。
- 地域によっては、送迎・食事・入浴込みで1日数百円〜数千円で利用可能です。
地域の支援サービス
- 自治体によっては、おむつ支給、配食サービス、訪問理美容などの支援があります。
- 広島市の場合、地域包括支援センターを通じて申請できます。
介護者の働き方を見直す
離職せずに収入を維持することで、家計への影響を最小限に抑えられます。
介護離職を避けるために、介護休業制度や時短勤務制度を活用しましょう。
こちらもおすすめ
相談窓口の活用方法

「親の介護 お金がない」と感じたら、まずは相談することが大切です。 一人で悩まず、専門機関に相談することで、思わぬ支援につながることもあります。
地域包括支援センター
- 介護保険の申請、サービスの紹介、費用の相談など、幅広く対応してくれる公的窓口です。
- 電話相談・来所相談どちらも可能で、家族だけでも相談できます。
社会福祉協議会
- 生活困窮者向けの貸付制度や、介護者支援の情報提供を行っています。
市区町村の高齢福祉課・介護保険課
各種制度の申請窓口。まずは代表番号に電話して「介護費用の相談をしたい」と伝えるだけでもOKです。
よくある質問(FAQ)
Q:親の年金だけでは介護費用が足りません。どうすれば?
A:介護保険制度や高額介護サービス費制度を活用することで、自己負担を大きく減らせます。まずは地域包括支援センターに相談しましょう。
Q:生活保護を受けながら介護サービスは使えますか?
A:可能です。生活保護の中に介護扶助が含まれており、必要なサービスを受けることができます。
Q:相談は無料ですか?
A:地域包括支援センターや市役所の相談窓口はすべて無料です。予約が必要な場合もあるので、事前に電話で確認しましょう。
こちらもおすすめ

身近な人に介護が必要になったときの手続きのすべて
親が倒れた! どうする?
どこに相談すればいいの?お金は?申請はどうしたらいいの?在宅介護をするには?
そんな介護の不安を一気に解消してくれる1冊です。
見やすく、読みやすい大判サイズ。
親の介護 手続きと対処まるわかりQ&A
最低限知っておきたい介護保険制度の申請から、施設選び、高齢期の親との付き合い方など、多くの人が直面する悩みを、相談の多い64テーマに絞って紹介しています。
介護のお金がラクになる方法/症状別・介護サービスの選び方と対処法など

まとめ:親の介護でお金がないときこそ、制度と支援を活用しよう
「親の介護 お金がない」と感じたとき、まず知っておきたいのは「使える制度がたくさんある」ということ。 介護保険、高額介護サービス費制度、生活保護、福祉用具の補助など、状況に応じた支援を受けることで、費用負担を大きく減らすことができます。
一人で悩まず、地域包括支援センターや市役所に相談することで、安心して介護に向き合える環境が整います。
「知らなかった」ではなく、「知っていてよかった」と思えるよう、今からできる準備をしておきましょう。
投稿者プロフィール

-
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
最新の投稿
おすすめグッズ・サービス2023年10月6日【介護の臭い対策】トイレや排泄物の臭いを防ぐコツを解説
介護の豆知識2023年9月21日介護認定はやり直しできる!区分変更の理由や認定調査のポイントを解説
介護の豆知識2023年8月18日ヘルパーに調理支援を頼みたい!介護保険でできる範囲を解説
介護の豆知識2023年7月25日かかりつけ医がいない人必見!そもそもかかりつけ医って?どう選ぶの?
コメント