親の介護で働けない|仕事を辞めずに介護を続けるコツは制度活用!

介護とお金

親の介護で働けないと考えて、離職を選ぶ人は少なくありません。
少子高齢化社会において、介護をする人が現役で働いているというのも、珍しい話ではありません。

しかし、介護度が高くなれば介護にかかる時間も増えますし、平日の通院付き添いや行政手続きなど、フルタイムでの仕事をしながら両立するのは簡単なことではありません。

仕事と介護、どちらも大切なことではありますが、両立が大変という理由から働き慣れた職場を辞めると、年金も退職金も少なくなり、親の介護が終わった後の生活が成り立たなくなります

親の介護を理由に離職をする人は年間10万人にも達すると言われている今、いかに介護と仕事を両立していくかが、私たちの暮らしを左右する課題となっています。

この記事では、介護離職についてと、介護離職を防止する制度について解説します。

介護離職とは?

介護離職とは、家族の介護をする必要から、仕事を辞めることを言います。

介護の必要性が高まると、食事や排せつといった日常の動作すべてに介助を求められます。ところが、仕事をしていると早朝と夜間以外の介護ができません。また、仕事で疲れて帰ってきた後で介護をするのは、心身に多大な負荷がかかります。とはいえ、介護をせずに放置するわけにもいきません。

このような理由で、やむを得ず仕事を辞めて介護に専念するしかないとあきらめてしまうことが多いのです。

介護離職の実態とは?

介護離職が実際にどの程度起こっているのか、また、介護離職をした後の暮らしがどうなるのか、お伝えします。

働きながら介護をする人は意外に多い

働きながら介護をしている人の割合について見てみましょう。

総務省の2018年「就業構造基本調査」によると、2017年10月時点で、介護中の人で、有業者は59.7%(男性65.3%、女性49.3%)です。

特に、40歳〜59歳の男性は87%以上が有業者と高い割合となっています。また、女性では、40〜49歳が68.2%と高いです。

男女別の内訳を見ると、女性の方が男性よりも圧倒的に多く、2011年10月から2012年9月では全体の約8割が女性であることも明らかになっています。

夫婦間で収入の低いケースが多い女性の方が男性の代わりに親の介護を担うことが多いことから、こうした男女間での差が出ているのではないでしょうか。

介護離職後の再就職率は低い

介護離職後の再就職について、離職後に再就職できた人の割合は、介護離職者全体の3割ほどという結果がでています。

再就職が難しい理由としては、主に下記の点がネックとなることが多いとされています。

  • 年齢的な問題
  • 職歴の空白期間
  • 介護と就職活動の両立の難しさ

収入は離職前より下がるケースも珍しくありません。

介護離職の先には、無職状態になり収入源を絶たれるリスクがつきまといます。
転職ができても収入減につながる可能性が高いことから、経済的負担が増すかもしれません。
それだけでなく、介護生活によって社会から孤立し、精神的な負担も増してしまいます

介護離職防止のための支援制度

介護離職を避けるためには、さまざまな支援制度を知り、有効活用することが大切です。

介護休暇や介護休業は法律で認められた権利ですので、介護の就業規則に記載がなくても取得することができます。ただし、同一事業者に1年以上雇用されていること など、取得の条件はありますのでご注意ください。

ここからは、介護と仕事の両立で悩んだときに利用できる制度について解説します。

介護休業制度

介護休業は、介護を受ける対象家族1人につき3回合計93日まで休業できる制度です。連続して93日間取ることもできますし、30日ずつ2回と33日など、分割して取ることもできます。

対象となる家族は、配偶者(事実婚も含む)・父母(配偶者の父母、養父母も含む)・子・祖父母・兄弟姉妹・孫です。同居、扶養の有無は問いません

介護休業を利用するには、休業開始の2週間前までに書面(事業主が適当と認めれば、ファックスまたは電子メールでも可能)で申し出る必要があります。

介護休業は、介護に専念するための期間としてだけではなく、仕事と介護を両立するための準備期間(社内の両立支援制度の確認、介護認定の申請、ケアマネージャーとの打ち合わせ、介護施設の見学など)として利用してみるというのも一つの手段です。 また、介護休業中は、介護休業給付金を受け取ることができる場合があります(下記参照)ので、活用しましょう。

介護休暇

デイサービス等への送り迎えや通院など付き添いが必要なときに、休暇が取れる制度です。対象家族(介護休業と同じ)1人につき年に5日まで(対象家族が2人以上であれば10日まで)取得でき、1日単位ではなく、時間単位で休むことも可能です。

当日に口頭で申請ができ、申請書は後日でも構わないので、急病時の通院等の付き添いなどの緊急時にも利用できます。

介護休暇の際に給与が支払われるかどうかは、会社の規定次第です。支払われるところもあれば、支払われないところもあります。

勤務時間の短縮等

所定外労働の制限(残業免除)では、労働者の請求により、対象家族1人について、介護の必要がなくなるまで残業の免除が受けられます。

深夜業の制限では、請求すれば午後10時〜午前5時の深夜労働が免除されます。

所定労働時間の短縮措置では、①所定労働時間(勤務時間)の短縮、②フレックスタイム制度、③始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、④労働者が利用する介護サービスの費用助成その他これに準ずる制度のいずれかの措置をとることを義務付けられています。

介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能です。

介護休業給付金

介護休業中の給与を支払うかどうかは、事業主の任意です。

家計が心配で介護休業の取得をためらう人がいるかもしれませんが、介護休業中は介護休業給付という経済支援があります。

2週間以上にわたって常時介護が必要な配偶者や親、子、祖父母などがいる場合に利用できます。原則として在職中の事業所を管轄するハローワークに事業所を経由して申請する必要があります。

なお、介護休業給付金は、原則として介護休業を開始した日の前2年間に、11日以上働いたことがある月が12ヶ月以上ある人(雇用保険に加入していた人)が対象です。

介護休業給付金は休業日数分、給与の67%が支給されます。

休業中も社会保険料や住民税の支払いは必要です。

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まとめ 制度をうまく活用するために

介護は、ある日突然ターニングポイントを迎えます。

突然、介護休業などの長期の休みを取ると周囲の負担が増します。会社に迷惑をかけないためにも、調整が大事です。

親が要介護になった時には、一人で悩まず上司や同僚に相談し協力してもらいましょう。

会社と緊密に連携を取るのと同時に、地域の相談窓口とも連携を取りましょう。

例えば、住所地の地域包括支援センターでは、介護に関する総合的な相談に乗ってもらえるほか、将来受けられる公的サービスの種類、どこに相談にいけばよいかわからない場合の案内など、多くのことを教えてもらえます。担当のケアマネージャーも親身になって相談に乗ってくれるでしょう。自治体の窓口も公的な支援制度について助言をしてくれるはずです。

介護保険のサービスと介護休業などの両立支援策を組み合わせることで、介護をしながら仕事を続けることは十分可能です。

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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