親の介護が私ばかり!放棄したらどうなる?限界になる前の対処法を解説

介護の悩み

親の介護はどこまで責任を追わなくてはいけないのでしょうか。

  • 兄弟がいるが遠くに住んでいて手伝ってもらえない
  • 長男だから、長女だからという理由で自分だけが介護をしている
  • 女性が介護をするものという決めつけがある

さまざまな理由で、「私ばかり!」と不安・不満に思ったり、限界を感じてしまっている方は多くいます。

この記事では「親の介護が私ばかり!放棄したらどうなる?限界になる前の対処法を解説」と題して解説します。

この記事を読むことで、少しでも介護の負担を軽くしてください!

親の介護は子どもの義務?

そもそも親の介護は子供の義務なのでしょうか。

急に介護が必要になってしまうと今までの自分の生活が成り立たなくなったり、金銭的に余裕がなくなったりして戸惑ってしまいます。

昔から親と仲が良かった方であっても、負担に感じてしまう親の介護。

親との関係が悪い場合は介護をしたくない場合も考えられます。

自分の生活を犠牲にしてまで親の介護をしなくてはいけないのでしょうか。

できる範囲で金銭的な扶養が必要

​​日本の民法では、「直系血族」と「兄弟姉妹」には、その人の支援をしなければならない、という扶養義務を定めています。そのため、法律上は親の扶養は必要で放棄ができません

夫婦間にも扶養義務はありますが、介護が必要な年齢になれば、介護が必要な親の配偶者や兄弟も高齢になっているため、実質は直系家族である「子」や「孫」が扶養義務を負うことになるでしょう。

扶養の具体的な内容は、「身上の面倒をみる扶養」・「経済的な支援をする扶養」です。

ただし、扶養義務を負う人が「社会的地位や収入に応じた生活ができる範囲で、親族を支援する」とされています。

つまり、自分の生活や金銭的な問題を犠牲にしてまで支援をする必要はないということです。

扶養義務者は当事者間で協議して決める

扶養義務者が複数いる場合は、どうしたら良いのでしょうか。

うまく分担できれば心強いですが、複数いることが「私ばかり!」と不満のもとになってしまう原因ですよね。

基本は血縁の近い者が優先的に義務を負いますが、扶養義務者は、当事者間で協議して決めるとされています。協議がまとまらない場合や、そもそも協議の場も設定できない場合は家庭裁判所に申し立てて、決めてもらうことができます。

親の介護を放棄したらどうなる?

「昔から親との関係が悪くて扶養義務を負いたくない」「経済的に苦しいから支援できない」とさまざまな事情があるかもしれませんが、親の介護は放棄できません。

親が介護が必要な状態であると知りながら放置した場合は、保護責任者遺棄罪に該当します。放置により親が死亡してしまった場合は「保護責任者遺棄致死罪」、怪我をしてしまった場合は「保護責任者遺棄致傷罪」にあたり、実際に実刑判決が下った例もあります。

介護が出来ないからといって放棄してしまうと、罪になってしまう可能性もあるため、扶養義務についてはしっかり理解しておかなくてはいけません。

【限界】親の介護が私ばかりになってしまう時の対処法

親の介護が、義務であり放棄できないことは理解できました。

でも、どうしても介護できない場合や、自分にばかり負担がかかってしまい限界を感じることもありますよね。

ここからは、実際にやってみてほしい対処法をご紹介します。

1.親の気持ちを聞く・考える

親がそもそも、自身の介護についてどのような希望があるのか聞いてみてはいかがでしょう。

最期まで家で生活したいのでしょうか。安心して介護を任せられる施設での生活を望んでいる場合も考えられます。

平成29年高齢者の健康に関する調査(全体版)」によると、将来介護が必要になった場合、介護を依頼したい相手の1位は「配偶者」(36.7%)、2位は「ヘルパーなど介護サービスの人」 (31.5%)、3位は「子」(22.7%)という結果です。

男女別に見ると、男性の1位が「配偶者」で 56.9%ですが、「子」と答えた人は12.2%。子どもに介護を望む人は少ないようです。また、女性の1位が「ヘルパーなど介護サービスの人」で39.5%、「子」が31.7%と、介護サービスをお願いしたいと考えている人の方がやや多いのがわかります。意外と子供に介護してほしいと望む親は少ないのかもしれません

あくまでも調査結果であり、一人ひとりの気持ちは違うので、実際に聞いてみないとわかりません。

「最期まで住みなれた家で生活したいはず」「子どもに介護してほしいと思っているはず」という固定概念を取り払って、じっくり話を聞いてみるのも一つです。

2.分担できないかとことん話し合う

もし、扶養義務者間で話し合いができる状況であれば、納得できるまでとことん話し合いましょう。

扶養義務者が複数人いるのに、何らかの理由で自分にばかり負担がかかっている場合は分担するべきです。

長男・長女がみるという決まりはありません。兄弟姉妹が、親を介護する義務は平等です。

また、古い風習で長男の嫁がみるべきと考える方もいますが、「直系血族」ではない嫁には、義理の両親を介護する義務はありません。

話し合いをしても分担できず、日々の介護に協力できないなら、金銭的な負担をしてもらうなどで折り合いをつけるのも一つです。

不利にならないように、扶養義務についてや介護サービスについてなどしっかりと下調べをして話し合いに臨むと良いでしょう。

3.介護サービスの情報収集・活用する

2016年度の「国民生活基礎調査」によると、同居の介護者について悩みやストレスがあると答えた人は68.9%と7割近くに上ります。

他に介護を分担すべき人がいる状況なのに自分ばかりが介護して、協力者してもらえない状況であればさらにストレスに感じてしまいます。

ストレスがピークに達する前に、介護サービスを活用し介護負担を軽減することを考えましょう。

在宅介護に限界を感じたら、施設入所を考えるのも一つです。

すぐに、入居しなくても選択肢の一つとして施設を探しておき、いざという時に利用できると考えるだけでも気持ちの負担が軽くなる場合もあります。

4.公的支援も活用する

経済的な支援に悩んでいる場合は、公的支援もうまく活用しましょう。

自治体では、おむつの助成外出支援宅食サービスなど独自のサービスを提供しています。各自治体で助成内容は異なるので問い合わせてみてください。

また、介護や医療のサービス費が高額になってしまった場合には、「高額介護サービス費」や「高額介護合算療養費制度」で費用負担を軽減することもできます。

親の支援に必要なのは介護や医療にかかる費用だけではありません。

生活にかかる費用もまかなえない場合は、親に生活保護を受けてもらう方法もあります。

生活保護を受給できれば、介護や医療にかかる費用も援助してもらえます。

生活保護は不正受給の事例もあるため審査が厳しいですが、どうしても援助ができず生活が成り立たない場合は選択肢の一つです。

5.相談先を知っておく

介護に悩んだ時の相談先も知っておいてください。

地域の高齢者の総合相談窓口に、「地域包括支援センター」があります。

地域包括支援センターには、ケアマネージャー、社会福祉士、保健師(看護師)が常駐し、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者やその家族に対してさまざまな支援をしています。

適切なサービスにつなげてくれるので、どこに相談すれば良いかわからない場合でも、まず相談してみると良いでしょう。

6.冷静に対応し頑張りすぎない

まじめな性格の方であれば、「子どもが親の介護をするのは当たり前」と頑張りすぎてしまう方もいます。

他に介護を手伝ってもらえない場合であれば、自分が頑張るしかない状況もあるかもしれません。しかし、介護の疲れが限界に達してしまうと、介護うつ虐待に発展してしまうことも。

自分の生活を犠牲にするのはよくありません。相談したり、介護サービスを使ったり、負担を軽減する方法を考えましょう。介護サービスでデイサービスやショートステイを利用し、レスパイトケアをすることもできます。

程よい距離を保ちながら、冷静に対応するようにしましょう。

7.どうしても解決しない時は扶養請求調停を申し立てる

冒頭で、扶養義務者は当事者間の協議がまとまらなければ家庭裁判所に申し立てて、決めてもらうことができると説明しました。

さまざまな対応策を講じてもどうしても解決しない場合は、扶養請求調停を申し立てるのも一つです。

申し立てができるのは、扶養される人と、扶養する義務がある人です。扶養義務者の順位扶養の方法や、扶養料などを定めてもらうことができます。

調停の手続きでは、それぞれの経済状況や生活状況・意向などを聞き取り、合意に向けた話し合いが進められ、それでもまとまらない場合は裁判官が審判をします。

なかなか、家庭裁判所に申し立てるまでは行動に移しにくい方も多いと思いますが、限界になる前に扶養請求調停を申し立てる手段もあることを知っておいてください。

複数の扶養義務者がいるのであれば分担するべき!

この記事では、「親の介護が私ばかり!」とストレスに感じてしまっている方に、「放棄したらどうなるのか」や「限界になる前の対処法」を解説しました。

子どもには親に対して扶養義務があり、決して避けて通ることができません。

しかし、自分だけが犠牲になって責任を負う必要はなく、複数の扶養義務者がいるのであれば分担するべきだと考えるのは当然のことです。

この記事を参考に、親の介護をストレスに感じてしまう自分を責めずに、状況改善に向けて一歩進んでみてください。

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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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