在宅介護で家族を支援してくれるケアマネージャーさんの存在を知ろう

介護の豆知識

在宅介護で家族を支援してくれる存在はとても助かります。これは匿名であることを条件に自身の介護体験を語ってもらうコラムです。

家族の混乱の相談役

私の母は若年性認知症になり、家族はその事実を知って非常に困惑しました。年齢はまだ62歳と若いのに、我々の日常生活は突然大きく変化してしまったのです。

初期のころは、時々ガスコンロの火を止めるのを忘れる・何度も忘れものを取りに帰るといった行動が見られた程度で、それほど重篤ではなく安心していました。ところが年数を重ねるごとに、ガスコンロの火を止め忘れるどころか、フライパンから燃え盛る火が出ていても、母は感知しなくなりました。

これは危険な状態だと娘の私は認識し、ケアマネージャーに相談することにしたのです。
すぐに要介護認定を受ける手続きをしてもらいました。担当のケアマネージャーさんは、どのような点に注意して認定を受けるべきかを教えてくださり、非常に助かりました。
無事に認定を受け、介護保険を利用して室内に手すりを付けたり、段差をなくしスロープにしたり、最も問題だったキッチンもオール電化にして火が燃え上がらないようにしました。
私は実家の近くに住んでいたものの、ずっとつきっきりで母を見守ることが出来なかったので、介護保険サービス内でヘルパーさんが来てくれるようになり、その存在も非常にありがたかったです。ケアマネージャーさんやヘルパーさんのおかげで認知症の母がいても、私は仕事に行くことが出来ていました。

さらにすすむ要介護度

ところが70代に突入すると、ますます母の状態がひどくなっていきヘルパーさんの支援だけでは在宅介護では難しい状況に陥っていったのです。

娘の私に対しても認識できない日が多く、実家に様子を見に行くと泥棒と間違えて奇声を発したり、娘だと認知できた日には、私に赤ちゃんのように甘えたりわがままを言って困らせることもあり、コミュニケーション自体が難しい状態になっていました。

最も問題だったのは、ヘルパーさんがいない夜中に、街中を徘徊することでした。ある日の深夜三時ごろ、警察から電話がかかってきました。母は真冬の極寒のなか何時間も街をさまよっていたのです。
母は腎臓透析患者でもあり、命の危険もありました。そんなことがあってから、このままではいけないと、在宅介護の在り方を見直すことになったのです。

家族では支えきれない段階に

そこで以前にもお世話になったケアマネージャーさんに相談し、介護施設への入所を検討することにしました。
最初は介護施設に連れて行こうとすると、駄々をこねて嫌がっていましたが、ケアマネージャーさんが私と母の間に立って母を説得してくれ、無事に介護施設への入所が決まったのです。

ケアマネージャーさんは、単に施設やサービスのあっせんやパイプ役になってくれるだけではありません。家族の立場に立ち、親身に熱心に相談に乗ってくださり、本当に感謝しています。

ケアマネージャーさんにためらわずに相談する

ケアマネージャーさんに相談することができることを知らない人が意外と多くいらっしゃいます。他人にあまり迷惑をかけられないとの思いから、相談することをためらっている人が多いように思うのです。

もちろん、ケアマネージャーさんは「なんでもかんでも相談できる人」ではありません。要介護者とその家族の状況を把握したうえで、介護のプランを作成し、各所につなげるのが仕事です。
聞いてくれるからといって、なんでもかんでもお願いしていいというわけではありません。
しかし、家族が認知症の両親を抱え込み、次第に介護者の家族も心身の状態がおかしくなってしまったという情報を見聞きすることも多々あります。要介護者、介護者が共倒れになっては、元も子もありません。
こうした最悪の事態にならないためにも、ケアマネージャーさんを含め第三者に相談し、適切な介護サービス・本人や家族の希望に合うサービスを利用できるようにしてもらうことが何よりも大事です。

また、在宅介護で家族の支援をしてくれる機関は地域包括支援センターなどもあります。私もとても助けられました。心身が壊れてしまう前に、まずは相談してみられることをおすすめします。

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