在宅介護で家族を支援してくれるケアマネージャーさんの存在を知ろう

介護の豆知識

在宅介護で家族を支援してくれる存在はとても助かります。
在宅介護はひとりで担っていると心身ともに崩れそうになってしまうことがあります。実際に、介護うつになってしまったり、負担の大きさから会社を退職し、そこから精神的に追い詰められていくという人もたくさんいます。

私は実際に在宅介護を行い、ケアマネージャーさんの存在に本当に助けられました。そんな私の体験談をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

在宅介護がスタートし疲弊した日々

向き合って話をする男性たち

私が30代前半の頃、母が62歳で若年性認知症になり、我々家族の日常生活は突然大きく変化してしまったのです。

当時、父親から、母はが時々ガスコンロの火を止め忘れる・何度も忘れものを取りに帰るといった行動が見られると相談されていましたが、元々おっちょこちょいの性格だっため、たまたまかなと気にしていませんでした。

しかし、半年経った頃からスーパーに行ったまま場所がわからなくなったとパニック状態で電話をかけてきたり、鍋の空焼きが度々起こるようになり、ついに母を病院に連れていくことにしたのです。

いろいろな検査を行った結果、若年性認知症と診断されました。

突然の告知に、私も家族もショックを受けましたが、特に父親はショックが大きかったようで、母のことをまともに見れなくなっていました。しかし、目の前には症状がひどくなっていく母の姿。私は落ち込む時間もないままに、母の介護が始まったのです。

担当ケアマネージャーとの出会い

病院から紹介されたのは、ケアマネージャーさんでした。
それまで「介護」が身近になかった私も家族も、居宅介護支援事業所やケアマネージャーという存在を、聞いたことはあるものの一体何をしてくれるのかまではわかっていませんでした。

突然のことに動揺し、何をしたらいいかわからない私に、介護サービスを受けるための手続きをすぐに手配してくれ、同時に、母の状態を見ながら利用できる介護サービス、自宅内の注意点など、いろいろと教えてくれたのです。

また、事務的なことだけではなく、父の落ち込みに配慮してくださったり、常に私を気遣ってくれるなど、本当に心の支えになっていました。

その後、無事に介護認定を受け、問題だったキッチンもオール電化にし火災のリスクを減らす対策をしました。
私は実家の近くに住んでいたものの、つきっきりで母を看ることができず、父も仕事をしていたため、日中はヘルパーさんが来てくれるようになり、とても助かりました。あの時、ケアマネージャーさんに頼らずにいたら、今の私たちの生活は大変なことになっていたかもしれません。

要介護度が上がった母

それから5年ほどは薬などで状態が落ち着き、介護サービスも利用しながら家族で母を支えてくることができていたのですが、母の姉が病気になり、母の見舞いに顔を出すことができなくなったころから、母の状態が急に悪くなってしまいました。認知症の状態は、何かのきっかけで症状が悪化することがあるとは聞いていましたが、母にとっては仲の良かった姉の存在がないことがひとつの引き金になってしまったのかもしれません。

娘の私に対しても認識できない日が多く、実家に様子を見に行くと泥棒と間違えて奇声を発したり、娘だと認知できた日には、私に赤ちゃんのように甘えたりわがままを言って困らせることもあり、コミュニケーション自体が難しい状態になっていました。

最も問題だったのは、ヘルパーさんがいない夜中に、町内を徘徊することでした。ある日の深夜三時ごろ、警察から電話がかかってきました。母は真冬の極寒のなか何時間も裸足で外をさまよっていたのです。
母は腎臓透析患者でもあり、命の危険もありました。父もそんな母をなんとか支えようと必死でしたが、仕事を辞めるわけにもいかず限界がきていました。

ケアマネージャーさんの勧めで、母に一時的に施設に宿泊をしてもらい、私たちが休息をとることもありました。しかし、戻るとまた、仕事と介護の毎日で、心身の疲労はどんどん溜まっていき、父と私の言い争いも増えてしまったのです。

このままでは母はもちろん、家族も崩壊してしまうと感じ、在宅介護の在り方を見直すことになりました。

家族では支えきれない段階に

ケアマネージャーさんは私たちの状況を理解してくれ、介護施設への入所を検討することにしました。
仲の良かった家族が、若年性認知症という病で離ればなれになってしまう寂しさ、私のことを理解しない日はあるものの、大好きな母を施設に入れるということの苦しさに、気持ちを整理するのにはとても時間がかかりました。

母自身も、介護施設の見学や一時入所に連れて行こうとすると、何かを感じ取ったのか暴れて嫌がり、何度も心が折れそうになりました。

しかし、今の状態では私たち家族にとって負担が大きすぎるというケアマネージャーさんのアドバイスを聞き、介護施設の入所を決めたのです。日々の介護の疲れと、母への想いが錯綜し、自分たちでは冷静な判断ができないまま、家族が崩壊していたかもしれません。第三者の親身な意見や、自分たちでできない部分のサポートが、こういう状態でいかに大切かが身に沁みました。
ケアマネージャーさんは、単に施設やサービスのあっせんやパイプ役になってくれるだけではありません。家族の立場に立ち、親身に熱心に相談に乗ってくださり、本当に感謝しています。

認知症の親を介護している人の心を守る本

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誰かに頼ることは本人も家族も守ること

高齢者を介助する女性

恥ずかしいから、自分でなんとかできるから、と、誰かに相談したり頼ったりできない人も意外と多いそうです。しかし、私自身も経験したように、家族だからと最初はどうしても頑張ってしまいがちです。
そうしているうちに、気づかないまま心身が疲弊し、助けが必要な状態なのにできなくなってしまったり、介護者自身もうつ病になってしまうということがあるのです。

私も父も、本当にギリギリの状態で、ふたりともが介護うつになってしまっていたかもしれません。
こうした最悪の事態にならないためにも、ケアマネージャーさんを含め第三者に相談し、適切な介護サービス・本人や家族の希望に合うサービスを利用できるようにしてもらうことが何よりも大事です。

現在、母は施設で穏やかに暮らしています。私たちを認識することはさらに少なくなっていますが、施設でお世話になり、私たちも自分たちの生活を取り戻せたことで、精神的にも落ち着くことができ、それぞれ離れて暮らしていますが、家族として別の絆でつながっているように思います。

在宅介護をするうえで家族の支援をしてくれる機関は地域包括支援センターなどもあります。私もとても助けられました。心身が壊れてしまう前に、まずは相談してみられることをおすすめします。

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