デイサービスとデイケアの違いと魅力を解説|選ぶときに大切なこと3選

介護の豆知識

「デイサービスとデイケアの違いがはっきり分からない」
「デイサービスとデイケア、どちらがいいの?」

デイサービスとデイケアの違いが分からないという方や自分に合ったサービスを選びたいと考えている方はこんなお悩みを抱えていませんか?

「デイサービス」と「デイケア」は名前やサービスが似ているので、調べてもすぐにこんがらがってしまいますよね。

この記事では、デイサービスとデイケアの違いを詳しく解説しています。また、実際にデイケアで働いている筆者が働くときに大切にしていることも紹介しています。

デイサービスとデイケアの違いを知りたい方や、デイサービス・デイケアで働いている人はどういったことに気を付けているのか知りたい、自分に合ったサービスを知りたい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

デイサービスとデイケアの違いは「利用目的」

名前の似ている「デイサービス」と「デイケア」ですが、違いは「利用目的」です。

デイサービスとデイケアはともに、施設へ行って受けるサービスとなります。

デイサービス
(通所介護)
利用者の閉じこもり解消心身の機能の維持利用者の家族の身体的および精神的な負担を軽減する
デイケア
(通所リハビリテーション)
利用者の心身の機能の維持・回復
理学療法・作業療法その他の必要なリハビリテーションを受ける

デイサービスの対象者

要介護1〜5の方が対象になります。

虚弱高齢者、寝たきりの方、認知症の方など、利用者の心身機能の状態はさまざまです。生活環境についても、一人暮らしの方や高齢者夫婦、子どもと同居しているなどさまざまな場合が考えられます。

要支援1・2の方は基本的に、デイサービスに通うことができません。予防通所介護の指定を受けているデイサービスに限り通うことが可能です。

デイケアの対象者

要支援1・2、要介護1~5の認定を受けた方で、医師からリハビリが必要と言われた方が対象になります。

デイケアで行うリハビリテーションは生活期(維持期)のリハビリテーションが中心です。

生活期(維持期)のリハビリテーションが必要な方は、以下のような場合が考えられます。

  • 脳血管障害(脳卒中)やリウマチ、変形性膝関節症など、身体機能に障害のある方
  • 起居動作やADL、家事などのIADLの維持・回復をしたい人
  • 社会的交流の少ない人

要支援1・2の方は、介護予防通所リハビリテーションを利用できます。                                  

デイサービス・デイケアにはどのような職種が働いているの?

サービスを提供するときに必要な職員がそれぞれ決められています。

デイサービスの場合

職種人数
生活相談員(社会福祉士等)サービス提供時間に応じて専従で1以上
看護職員(看護師・准看護師)単位ごとに専従で1以上(サービス提供時間帯を通じて専従する必要はない)
介護職員①常勤換算方式:単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で次の数以上ア)利用者の数が15人まで:1以上イ)利用者の数が15人を超す場合:アの数に利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上
②単位ごとに常時1名配置
➂ ①の数及び②の条件を満たす場合は、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することが可
機能訓練指導員 1以上(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師)
※生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤

※※定員10名以下の地域密着型通所介護事業所の場合は看護職員又は介護職員のいずれか1名の配置で可

デイケアの場合

職種人数
医師常勤医師 1 以上
従事者(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員)単位ごとに利用者10人に1以上
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士上の内数として、単位ごとに利用者100人に1以上

デイサービスでは日常生活介護が中心になりますので、介護職員や介護士のほかに生活相談員が配置されています。

デイケアはリハビリテーションなどの医療的ケアを受けることができますので、医師やリハビリ職員が配置されています。

デイサービス・デイケアで提供されるサービスに違いはあるの?

デイサービスとデイケアでは、食事や入浴、トイレなどの介助といったサービスを受けることができます。両者で提供されるサービスの違いは「リハビリが受けられるかどうか」です。

デイケアを利用される方は、医師から「リハビリが必要」と言われた方です。また、職員の基準にもリハビリ職員の配置が義務付けられています。医師の指示のもと、身体機能・ADLの回復を図ることを目的にリハビリテーションを実施しています。

一方、デイサービスでは機能訓練指導員の配置が義務付けられています。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者が「機能訓練指導員」として働いています。日常生活を営むのに必要な機能を保つための運動を行います。

専門職のリハビリテーションを受けたい方にはデイケアがおすすめです。

デイサービス・デイケアの利用料金の違いは?

デイサービス・デイケアそれぞれの利用料金をご紹介していきます。

デイサービスの介護報酬は種類別(通常規模、大型規模Ⅰ・Ⅱ)、所要時間別(6段階)、要介護度別に算定されています。

例)通常規模型の基本報酬(単位数)

3時間以上4時間未満6時間以上7時間未満
要介護 1368581
要介護 2421686
要介護 3477792
要介護 4530897
要介護 55851,003
2023年1月現在

※4時間以上5時間未満、5時間以上6時間未満、7時間以上8時間未満、8時間以上9時間未満は省略

引用:介護報酬の算定構造

デイケアの介護報酬は種類別(通常規模、大型規模Ⅰ・Ⅱ)、所要時間別(7段階)、要介護度別に算定されています。

例)通常規模型(介護老人保健施設の場合)の基本報酬(単位数)

3時間以上4時間未満6時間以上7時間未満
要介護 1483710
要介護 2561844
要介護 3638974
要介護 47381,129
要介護 58361,281
2023年1月現在

※1時間以上2時間未満、2時間以上3時間未満、4時間以上5時間未満、 5時間以上6時間未満、 7時間以上8時間未満は省略

引用:介護報酬の算定構造

デイサービスよりもデイケアの方が基本料金は高く設定されています。

どのような加算があるの?

デイサービス・デイケアには先ほど説明した基本報酬の他に「加算」というものがあります。「加算」とは特定のサービスを提供した場合、基本報酬に単位数が上乗せされる仕組みになっています。

では、どのような加算が設定されているのか一部ご紹介していきますね。

デイサービス

  • 延長加算:8時間以上9時間未満のサービスの前後に日常生活の世話を行い、かかった時間が9時間以上になった場合、5時間の延長を限度に算定できる
  • 入浴介助加算:入浴介助を行うのに必要な人員・施設を有している事業所が入浴介助を行った場合
  • ADL維持加算:要件を満たす利用者が利用を開始した月の評価と6ヵ月目に測定したADLの値が維持または改善した場合  

デイサービスでは上記以外にもさまざまな加算が設定されています。

デイケア

  • 延長加算:7時間以上8時間未満のサービスの前後に日常生活の世話を行い、かかった時間が8時間以上になった場合、6時間の延長を限度に算定できる
  • リハビリテーション提供体制加算:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の合計数が、利用者25人またはその端数を増すごとに1以上の場合
  • 短期集中リハビリテーション実施加算:退院(退所)日または初めて要介護認定を受けた日から3ヵ月以内の期間に個別リハビリテーションを集中的に行った場合

デイケアでは上記以外にもさまざまな加算が設定されています。

デイサービス・デイケアの魅力は多種多様!

デイサービスやデイケアにただ通って、介護を受けたりリハビリを淡々と行ったりするだけでは面白くありませんよね。

デイサービス・デイケアでは、心身機能の維持・回復を目的にするだけではなく、利用者さんに楽しんでもらう工夫や「ここに来れて良かった」と前向きな気持ちになってもらえるような工夫がたくさんされています。

他の事業所との差別化を図るためにも、各事業所の特徴は大切ですよね。

デイサービスの魅力

趣味が充実しているデイサービスでは、一人で作業できるものやみんなで楽しめるものなどを臨機応変に提供しています。趣味といえば、園芸、カラオケ、手芸などさまざまですよね。

一人ではできないこともみんなと一緒に行うことで、充実した時間を過ごすことができます。趣味活動を通じて、身体を動かして生活にメリハリをつけたり、他者との交流を楽しんだりできるよう取り組んでいる事業所が多いです。

利用者が楽しめる工夫がたくさんある娯楽型デイサービスでは、レクリエーションなどが充実している施設が多いです。利用者に楽しくゲームを行ってもらうことで、身体機能・認知機能の向上、脳機能の活性化が期待できます。

送迎者の工夫をしている事業者もあります。介護事業者の送迎車といえば白色の車が多いですが、白色以外の車を利用しています。介護事業者感がないので、近所の方にデイサービスへ行くことを知られたくない方には嬉しいですよね。

デイケアの魅力

デイケアは1日行く、というイメージがありますが、短時間デイケアの取り組みをしている事業所もあります。

短時間デイケアは「デイケアには行きたいけれど長い時間は行きたくない」「運動だけしたい」というような方に向いています。

フィットネスマシンを使用した運動を行っている事業所もあります。

運動やリハビリテーションを中心としたデイケアなので、スポーツジムに行くような感覚に近いかもしれませんね。

デイサービス・デイケアを選ぶときに大切なこと3選

作業療法士としてデイケアで働いている筆者の目線で、デイケアやデイサービスを選ぶときに大切なことをお伝えします。

デイサービス・デイケアでは、先ほどご紹介したように医師や看護士、介護職の方などさまざまな職種の方が働いています。

利用される方にとっても、デイケアやデイサービスで働く方にとっても共通して大切なことかな、と思いますのでぜひ参考にしてみてくださいね。

コミュニケーションがしっかりとれているか

筆者は、利用者・職員とのコミュニケーションを大切にしています。

特に「あいさつ」をしっかりするように心がけています。

あいさつはコミュニケーションのきっかけにもなりますし、笑顔であいさつをされて嫌な気持ちになる人はいませんよね。

また、コミュニケーションをしっかりとれていない場合は、トラブルや命に関わるミスが生じるリスクも高くなる可能性もあります。
見学に行った際、実際に利用する際に、挨拶をしっかりしてもらえるか利用者と職員、職員同士のコミュニケーションがきちんととれているか、確認するようにしましょう。

申し送り(伝達)を分かりやすく伝えてもらえるか

筆者は、専門用語はなるべく使わず誰にでもわかりやすい表現をするように心がけています。

いろいろな方が働いているので、カルテや申し送りで専門用語や分かりにくい表現を使うと相手に意味が伝わらないときがあります。利用者やご家族に手紙や書類を渡すときにも同様に気を付けています。

 実際に働いている時に筆者が体験したことで、こんなことがありました。

リハビリ職員から介護職の方へある利用者の歩行状態をお伝えした時のことです。

「この方は、歩くのが不安定なので見守りをしてください」と伝えました。そうしたところ、職員間で共通の認識ができないということがありました。

介護の現場で「見守り」というと皆さんはどのような解釈をしますか?

  • 本当に見ているだけで大丈夫
  • その方の行動を気にかけながら何かあった時にすぐ動けるようにしておこう

など解釈の仕方が様々です。みんなに同じ意味で伝わらなければ申し送りの意味がありませんよね。

このことから、申し送りなどをするときには具体的な言葉で伝えるように気を付けるようになりました。

利用者側の立場だと、サービスを利用した日には連絡ノートやアプリなどで伝達事項があると思います。そちらに、その日の内容がきちんと書かれているか、難しい言葉で理解できないものはないかなど、利用者(家族)目線で書かれているかという点もチェックのポイントです。

利用者と話すときに相手の目線で話をしているか

私は利用者様と話す時は同じ目線になるように心がけています。

デイケアやデイサービスの利用者の中には、立っている方もいれば車椅子に座っている方もいらっしゃいます。

車椅子に座っている利用者に話しかける時、職員は上から見下ろすようにしてしまう状況が多いと思います。そのような状況だと、職員にその気はなくても、利用者には威圧的に映ったり不快な思いをさせてしまうかもしれません。

そうならないよう、車椅子の利用者や座っている利用者に話しかける時は、なるべく同じ目線になるように自分が腰を落として相手の目線と同じ位置に立って話しかけるようにしています。

こちらも、見学や実際に利用する際に、忙しそうにしていて落ち着いて話してくれない、同じ目線で話してもらえない、などのことがあれば気を付けておいたほうがいいでしょう。

こうした、ちょっとした動作に、その施設の対応が表れているものです。

デイサービスとデイケア、それぞれに違いと魅力がある

日常の介護を中心に行なっているデイサービス、リハビリテーションが行えるデイケア。それぞれに魅力がありますよね。

事業者ごとにも力を入れていることが違ったりします。

違いや特徴を押さえて、デイサービスとデイケアそれぞれを正しく理解し、ご自身(ご家族)に合ったサービス・施設を選びましょう。

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