家族が若年性認知症になって働けなくなった場合、住宅ローンの免除はあるのでしょうか。
一般的に認知症といえば高齢者の病気と思われがちですが、65歳未満で発症することもあり「若年性認知症」と呼ばれます。多くは40~50代の働き盛りの世代が占め、住宅ローンを抱えている人も少なくありません。
認知症が進行して働けなくなり、経済的に苦しくなって住宅ローンの返済ができなかったら?住む家が無くなってしまうの?本人や家族にとって大きな不安につながる住宅ローンの返済について解説します。
若年性認知症とは
認知症の中でも、18歳から65歳未満で発症した場合は「若年性認知症」と診断されます。若年性認知症の原因で最も多いのはアルツハイマー病で、約半数を占めています。次いで脳卒中のあとに起こる血管性認知症、脳の前方部分(前頭葉や側頭葉)が縮むことにより起こる前頭側頭型認知症、交通事故など外傷による認知症、脳内に「レビー小体」ができパーキンソン病のような症状がでるレビー小体型認知症による認知症が続きます。
発症年齢は平均で51.3歳。働き盛りの世代で発症するため、本人だけでなく家族の生活にも大きな影響を及ぼすのが特徴です。病気のため仕事が続けられなくなり、経済的に困窮するケースが多くみられます。(参考:「若年性認知症の有病率・生活実態把握と多元的データ共有システム」)
若年性認知症になったら住宅ローンはどうなるの
若年性認知症と診断される世代には、家族を持ちローンを組んで住宅を購入している人も多いのではないでしょうか。若年性認知症と診断され、これまで通りに働けなくなり給料が減額したり、最悪の場合は失業してしまう可能性もあります。そうなるとローンの返済が大きな負担になることも。「家を手放さなければいけない」と思い詰めてしまうこともあるかもしれません。
一般的に金融機関で住宅ローンを組むときは、融資に関する保証機関である「団体信用生命保険(以下団信)」への加入を条件にしています。これは返済期間中に債務者に「万が一」があった場合、住宅ローンの残金を保険金で一括返済するものです。団信に「高度障害」の特約がある場合、認知症の症状が高度障害と認められることもあります。保険が適用され、返済が免除になれば、そのまま自宅に住み続けることができます。
保険会社や契約内容により高度障害の範囲も異なるので、住宅ローンを組んだ金融機関の窓口で相談してみましょう。手続きできる期間が設定されている場合もあるので、診断を受けたらすぐに相談して契約を確認しておきましょう。
若年性認知症にはさまざまな経済的な支援がある
住宅ローンの返済免除以外にも生命保険にも援助してくれる制度があります。多くの場合、生命保険の特約には「高度障害特約」が付けられています。その契約内容によっては、保険料の支払い免除や保険金の受け取りが可能な場合があります。また「払済」や「延長保険」などの制度を利用すれば、保険料納付は終了(または減額)し、契約だけ残しておくことも可能です。若年性認知症と診断され保険を一度解約してしまうと再加入は難しいので、簡単に解約せずに契約を生かす方法を保険会社の担当者に相談してみましょう。
ほかにも通院にかかる費用を軽減する「自立支援医療」や、医療費や介護費が高額になった場合に利用できる「高額療養費制度」や「高額介護サービス費の制度」、障害者と認定されれば「障害年金」も申請できます。
まとめ
若年性認知症が少しずつ知られるようになり、さまざまな支援も充実してきました。本人や家族の暮らしを守るためにも、制度を上手に活用してくださいね。
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投稿者プロフィール
- 独身時代は生活雑貨の販売の仕事を経て、現在はフリーランスとして取材ライティングを主とするライター業をしています。
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