訪問介護の夜間の見守りは、ご家族にとって昼間と違う負担が掛かってきます。時間帯によって頼めるサービスも様々です。
今回は、介護保険適用のサービスだけでなく、保険を利用しない見守りサービスまで解説します。
介護される人と、する側の状況に応じて「何が必要なのか」を一度考えてみましょう。
訪問介護の夜間の見守りサービスはどんなもの?
訪問介護の夜間の見守りサービスには、特徴や違いがあります。
サービスの範囲は広範囲にわたり、おむつ交換、健康状態のチェック、夜間に増す孤独感や不安感への心のケア、緊急時の対応など、夜間だからこそ生まれる支援も必要となります。
【おすすめの人】
・夜間の介護の負担を軽くしたい
・夜一人になってしまう親が心配
・緊急時にすぐに駆け付けてもらいたい
介護保険を利用した場合、どの時間帯に依頼するのかで異なります。日中と夜間を24時間体制で訪問してくれるか、夜限定で訪問するかの違いです。
夜間限定のサービスに「夜間対応型訪問介護」があります。このサービスの特徴は3タイプに分かれており、ご家庭に必要なサービスを選びましょう。
また、日中も夜間も24時間を通して訪問介護、訪問看護をしてくれるものに定期巡回・随時対応型訪問介護看護があります。事業所から夜も定期的もしくは必要な時に訪問し介護や看護をしてくれます。
それぞれ見ていきましょう。
夜だけの時間に限定「夜間対応型訪問介護」
画像引用:厚生労働省 社保審 介護給付費分科会 夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護とは、夜の時間帯に特化した夜間の訪問介護です。長時間の夜の時間のため3種類ほどのサービスがあります。
・「定期巡回」夜間に介護スタッフが定期巡回し、見守りや介護をしてくれる
・「随時訪問」緊急ではないものの必要に応じて随時訪問してくれるがあります。
・「オペレーションサービス」緊急事態の際、必要に応じて緊急医療サービスへの連絡や応急処置を行ってくれる
時間は18時から翌朝の8時と決められています。また、利用できる人も要介護の認定を取っている人が対象の為、要支援は対象外となります。
また、訪問介護であって、看護ではない為、医療行為が必要な訪問看護は対象外となります。
利用するには、ケアマネージャーの介護計画に入れてもらいます。
【対応時間】
18時から朝の8時までの限定
【条件】
要介護1~5の認定を受けている人
事業所と同じ市町村に住んでいる人
【料金】(1割負担の場合)
・オペレーション設置の場合 固定費1,009円 / 月
・オペレーション設置しない場合 固定費 2,751円 / 月
・378円~775円/ 回
※住んでいる地域によって金額は異なります。
参照:厚生労働省 介護サービス情報公表システム
【注意点】料金は、毎月の固定費にプラス訪問する都度発生します。
医療行為はできないので、訪問看護はできません。
①定期巡回
定期的に、自宅を訪問し、身体の介助や見守り、おむつの交換、体位の変更などを行います。
看護の医療行為は必要ではないけれど、見守りをしてほしい、夜間におむつ交換をしてほしい人などにはピッタリなサービスとなっています。
また、離れて暮らす高齢の親御さんが夜だけが心配、そんな方にも適切なサービスです。
②随時訪問
夜中に具合が悪くなったり、転んで補助が欲しいときなど、その都度ヘルパーに訪問してもらうサービスです。場合によっては、救急車の手配なども行います。
定期巡回との違いは必要な時だけの訪問か、定期的に訪問かということですね。
長い見守りは必要ないけれど、体調不良や一人で対応できそうもない場合に来てほしい方には向いているサービスと言えます。
③緊急時に駆けつける「オペレーションサービス」
介事業所の地域にあるコールセンターに繋がり、常駐しているオペレーターが、指示やヘルパーなどを派遣してくれます。
そのため利用する場合は、呼び出し用のコール端末を設置する必要があります。
費用も、毎月定額がかかり、利用するたびにその都度料金も発生します。
24時間体制は「定期巡回・随時対応型訪問介護(看護)」
こちらは訪問看護にも適用される訪問介護です。
日中から夜間にかけての24時間体制の訪問介護・看護サービスなので、日中だけでなく夜間にも介護をしてもらえる訪問介護です。
【対応時間】
24時間
【条件】
要介護1~5の認定を受けている人
事業所と同じ市町村に住んでいる人
【料金】1カ月間の料金
看護サービスあり 1割負担の場合 8,267 円から29,441 円(介護度・地域によって異なります)
看護サービスなし 1割負担の場合 5,666 円から25,690 円(介護度・地域によって異なります)
参照:厚生労働省 介護サービス情報公表システム
介護保険適用とそれ以外は何が違うの?
そもそも「介護保険って何?」「保険とそれ以外はどう違うのか」違いがよく分からない方もおられると思います。
国が定めた高齢者の介護のための保険制度が「介護保険制度」です。
普段利用している健康保険証の介護バージョンです。
介護のための保険制度なので、決められたサービス内であれば、費用の1割から3割ほどでサービス利用が可能です。
例えば、食事の介助などは自費だと1時間3000円以上かかりますが、介護保険を使うと1時間数百円でヘルパーさんに依頼できます。
介護保険を利用したい場合、担当のケアマネージャーがいればケアマネさんに、ケアマネさんが付いていない場合はまずは、お住いの市役所などの役所か包括センターに相談してください。
介護保険を利用しない夜間の訪問介護
では、介護保険を利用しない場合は、どんな見守りサービスがあるのでしょうか?その場合、保険適用ではないので、全額実費での支払いとなります。
一般的に「自費」といわれていおり、柔軟に対応してくれる分、費用も高額になります。
保険は比較的リーズナブルですが、介護の範囲も決められています。自費利用は、保険適用ではない部分もカバーしてくれます。
自費で依頼する訪問介護
自費サービスは介護保険でもカバーできないことも依頼が可能です。
例えば、おむつ交換から排泄の介助をして、寝付けない利用者様に付き添い、お話し相手をする。朝まで見守り介護をして朝食の準備までを依頼する。
事業所によっては30分からの利用や、夜間の見守りに特化したコースなどもあります。
利用したい場合は、自宅近くの介護サービス施設をインターネットや電話帳などで自力で探すか、ケアマネージャーにも聞いてみましょう。自費サービスの情報も持っているはずです。
具体的な料金などはコチラをご覧ください。
民間企業の見守りサービス
民間企業の見守りサービスも様々なものがあります。人感センサーをつかって人の動きを感知するものや、ボタン一つで自宅に駆けつけてくれるものなど、緊急時や普段の見守りには嬉しいサービスです。
料金も高額に思われがちですが、上記にご紹介したオペレーションサービスと、さほど違いはありません。
こういった見守りサービスなら、一人暮らしの高齢の親にも利用してもらえれば、離れていても安心できます。
訪問介護はなく、見守りサービスに特化していますが、夜間の緊急時には頼れるサービスなので、各ご家庭で利用できそうなものは、積極的に使ってみましょう。
介護グッズを活用
また、夜の間だけでもご本人に介護に協力してもらう方法もあります。
おむつを長時間用に変えれば、排泄の不快感が軽減されるかもしれません。
シーツ上の漏れ防止シートも使って夜の時間が変わるかもしれません。
寝室を分けて、家族を呼ぶ時はブザーを活用してみるのもいいですよね。
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夜間の見守りで休息時間の確保を
筆者の父は、脳卒中の後遺症があり、右半身麻痺と、2時間おきの頻尿があります。トイレまでの見守りが必要なので夜も気を抜けません。
そんな生活を20年以上やってきた母は、60代で身体を壊しました。また、認知症を発症しているご家庭では、夜の徘徊や、食べ物をあさったりなど、予想外の行動で睡眠も十分とれない方も多いかと思います。
「自分しかいないから」
「仕方ないから」
とあきらめず、対処できることから改善してみましょう。
AIを搭載した見守りカメラの設置や、頻尿を減らす方法を医師と相談するなど、「何を変えられそうか」を探してみましょう。是非こちらもお読みください。
まとめ
訪問介護の夜間の見守りサービスには、いくつかの種類があり、どんな介護が必要なのか?介護する時間によって選択も変わってきます。
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・自費の夜間見守りサービス
・民間企業の見守りサービス
・介護グッズを利用した見守り
朝までの長時間なのか、必要な時だけなのか、24時間体制か。各ご家庭に合った見守り介護ができれば、その数時間だけでも家族の睡眠に当てることができます。
毎日介護するためにきちんと睡眠を取るのです。たった数時間でも、見守りを頼むだけで、介護するひとの心も体も休まる大切な時間です。
使えるものを上手に使って、長い介護生活を少しでも快適にお過ごし下さい。
投稿者プロフィール
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元銀行員。40代副業ライター。
得意分野は介護と金融
時々犬(愛犬家・証券外務員2種保有)
脳卒中による半身麻痺、
大腸がんなど病気のオンパレードで
認知症状も増えてきた父親の介護を
10年以上やっています。
モットーは「毎日明るく」マンガと小説好き。
介護ストレスと上手に付き合っています。
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