家族を介護をして、ストレスが限界までくるとすべて悲観するようになってしまいます。
明るい気持ちにはなれなくなりますよね。なかなか立て直しが出来ないんです。私もそうでした。
今回は、今まで誰にも打ち明けたことのなかった体験を綴ります。
「もう限界だ」そう思った時の自分とどう向き合ったのか?
少しでも辛いストレスの矛先を変えられたら楽になるかもしれません。
誰にも打ち明けたことのない想い

私は30代半ばまで、東京でバリバリ働く人間でした。
仕事もして、友人も多く、趣味もある、独身を謳歌するOLそのものです。
それが、父の住む地方に引っ越し、仕事の拠点もそちらに移して、
介護と仕事の2足のわらじをこなす毎日が始まりました。
父は脳内出血による後遺症があり、言語障害や身体の麻痺だけでなく、
怒鳴る、暴れる、殴る蹴るなどの症状もあったのです。
高次脳機能障害が大きなストレスに
父は、若いころに糖尿病を患い、40代から60代の間に脳内出血を2回、
他にも、大腸がんや腸閉塞など、病気のオンパレードでした。
中でも、脳内出血による後遺症の「高次脳機能障害」が日常生活に大きな影響を与えています。
高次脳機能障害とは?
交通事故や頭部のけが、脳卒中などで脳が部分的に損傷を受けたため、言語や記憶などの機能に障害が起きた状態を言います。注意力や集中力の低下、比較的古い記憶は保たれているのに新しいことは覚えられない、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの精神・心理的症状が現れ、周囲の状況にあった適切な行動が選べなくなり、生活に支障をきたすようになります。
引用:東京都心身障害者福祉センター
脳梗塞などの脳卒中の介護をされている方はご存じかと思いますが、
脳の損傷した部分により、後遺症も人によって様々です。父の主だった症状としては、
- 言語障害
- 記憶
- 行動と感情
- 右半身麻痺
これらが顕著に表れています。
その為、歩く時には右側を誰かに掴まりながら歩きます。
食事やお薬の補助も必要なので、誰かがいないと生活ができません。
呂律が回らないので、ほとんどの会話に通訳が必要となります。
病院の送迎の運転から通訳、支払いもしかり。
これを仕事の片手間にこなさなければならないのです。
仕事はろくに進まず、イライラが募りました。
そんな時に父が感情のコントロールを失い、怒鳴りながらの罵声が日常茶飯事。
「もう嫌だ、そばにもよりたくない」
自分のやることを後回しにしなければならない、終わりの見えない介護と仕事で心が荒んでいき、
「私は幸せになれない」
「介護で人生が変わってしまった」
と思い詰めるようになりました。
包丁を自分に向けた夜
そんなことを思い始めてから、毎日が憂鬱な日々。
夜になり、ポロリと涙が出始めると、止まらなくなり、明日が来るのが嫌になりました。
「あの怒鳴りは聞きたくない、世話もしたくない」
そばにいたくないのに、世話をやらなければならない、その時間がとても苦痛だったのです。
そして、我慢が限界になり、
「明日なんて来なければいいのに」
「死んだらこのつらい毎日がなくなる」
そんな思考にのまれたある夜に、キッチンでひとり包丁を握りしめていました。
「死にたくない」と思わせた愛犬の存在

包丁を握りしめながら「痛いんだろうな、でも楽になれるかもしれない」
そう思って力を込めた時に、頭に浮かんだのは愛犬の笑顔でした。
元気がないときには、寄り添ってきてくれる。鬱な朝もモフモフ起こしに来てくれる。
東京から連れてきた、10年近く苦楽を共にしてきたわが子のような愛犬です。
「死んだら、触れなくなる。キスもできなくなる。それだけは絶対に嫌っ!」
一気に思考が変わりました。不思議ですよね。
「楽になりたい」と思ってたのが「絶対に嫌だ!」に180度変わりました。
「(愛犬に)触れなくなるより、重要なことなのか?死ぬなんていつでもできる。
だったら嫌なこと手放してしまえ。地球が終わる訳でもないしなんとかなるだろう」
そう、この瞬間に開き直ったのです。
「逃げること」は悪いことじゃない

それからというものの、父への接し方が変わっていきました。
むかつくこと、わからないことはどんどん口に出すようになり、
何がわからないのか?違うならどうしてほしいのか?
それでだめなら素直に降参しました。
「うーん、それじゃ分からないから、分かったら呼んでねー」
そういって仕事に戻り、割り切って目の前の溜まっている仕事を進めました。
それでも父が興奮して暴れだし、イライラの限界に来たら、家を飛び出しました。
目の前の「介護」から一時避難です。
どうなったと思いますか?何度か逃げ出すうちに、
父の暴力がうんと少なくなったのです!
これはお互いが「家族だから」できる技だと思います。
ヘルパーさんやケアマネさんだったらこうもいきませんよね。
十人十色と言いますが、介護も十家十色。
それぞれのカタチがあっていいのではないでしょうか?
口げんかも増えましたが、言いたいことを言えるようになって
思いつめることがなくなりました。今は全くありません。
人間ですから、我慢を続けるにも限度があります。
「そろそろ限界かもな」そう感じていたら、ケアマネさんに相談したりショートステイを利用したり、
自宅と家族以外の可能性も考えてみてください。
家族以外の人からの言葉が救いになることもありますよね。
キャッチアンドリリースの大切さ

言いたいことを言えるようになったときに、自分の気持ちにも向き合いました。
トイレ介助に呼ばれたときにイライラ。薬飲ませる時もイライラ。
「あ、私はすっごいイライラしてる、でも何でだろう?」
そんな風に自分の感情をそのまま素直に受け入れるようになりました。
そうすることで、心の余裕も生まれてきたのです。そうして
「その日のうちにストレスを解消できたら楽になる!」
ということに気づきました。
自分の感情を受け止めてみる (キャッチ)
イライラ・ムカムカ感情はその日のうちに手放す(リリース)
それから、すぐに行動に移しました。
すぐにできることで、すっきりすること、これを軸にいろいろと試してみました。
〇大声を出す
〇体を動かす
〇涙を流す
藁にも縋る思いで、癒される言葉や、ストレス発散に役立つ書籍もたくさん読みました。
必死でしたから。
辛い毎日の私にとって本は先生と言っても過言ではありません。
この時の多読が後になって、「辛い」から笑いが増える介護生活へと変化をもらたしました。

「 脳からストレスを消す技術 」
著: 有田秀穂
この本を読んでから、ストレス解消には「涙」も有効だと知りました。
楽しい涙、感動の涙……
なぜ涙がストレスを消すのか?脳科学にも触れながら根拠も説明してくれるので「これなら心が軽くなるかも」と思わせてくれます。
分かりやすい文章でスラスラ読めます。
親の介護で限界の方へ、自信をもっておすすめします!
これらをするようになってから、イライラした日も、父と口論した日も、
翌日にはすっきりした気分でお世話できるようになりました。
さらに、相乗効果で「物事を俯瞰(ふかん)して考える」思考の癖ができました。
これは、私の毎日に大きな影響を与えます。
仕事にも、介護にも大いに役立つ「俯瞰力」(メタ認知とも言います)で、
我が家の介護は辛く暗い日々から、コントのようなやりとなって、笑いが増えるようになったのです。
まとめ

介護されるほうも、思いどおりにいかない身体や行動でイライラしています。
私たち家族も、そのストレスと上手に付き合っていかなければいけません。
・自分の感情を受け止めてみる (キャッチ)
・イライラ・ムカムカ感情はその日のうちに手放す(リリース)
何でもない様に思えますが、少しのことで心も軽くなります。
読書は本当におすすめします。
たくさん読めば読むほど、知識が増える分、考え方もとらえ方も変わってきます。
今の自分に「ピンッ」ときたら、息抜きに1冊手に取ってみてください。
それでも、介護のストレスで辛いときは、吐き出してください。
キャプスには匿名の掲示板があります。ストレスはためこむのが一番良くないんです。
辛い思いをしているかもしれない、そんな貴方のために作りました。
遠慮せず是非ともご利用くださいね。
投稿者プロフィール

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元銀行員。40代副業ライター。
仕事と介護で毎日が戦場。介護戦士です。
脳卒中による半身麻痺、大腸がん、腸閉そくその他、
病気のオンパレードで認知症状も増えてきた父親の介護を10年以上やっています。
最近は、骨折をした父の24時間介護を経験。(しんどかったぁー)
モットーは「毎日明るく」
得意分野は介護と相続、時々犬。愛犬家です。
マンガと小説好き。介護ストレスと上手に付き合っています。
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