その1 「置けてしまう」というワナ

「収納棚を買ってきたから、置き場所をつくりたい」

ある日、実家でのこと。父の一言から大掃除が始まりました。
とりあえずと置いていた部屋のすみの書類のタワーが、どんどん高くなっていました。

そこで父はキャビネットを購入。大容量です。
置き場所は書類を積み重ねていた場所に決定。書類を移動させ、断捨離も進めていきました。新品のキャビネットを置いて、「きれいに収まったね」「これからはたっぷり収納できるわ」とみんなで満足、満足。



一息ついたところで父、「キャビネットに入れるモノがない」。書類をだいぶん処分しちゃったのです。つまり、必要だと思っていたモノの中に、不必要なものが混ざっていたということです。

どうしてこんなことが起こったのでしょうか。父に残していた理由を聞くと、「いつか使うかも」「目を通して捨てようと思った」、そして、「頑張った仕事の成果だから」。

少し話はそれますが、モノにはこうした個人の思いが強く反映された「メモリアル品」があります。自分の大切なものを、他人が勝手に触ったり処分したりするといやですよね。現在、私は義父母と同居しているのですが、 私たちのスペースにあった義父の持ち物を整理しているところを見られて、驚くほど怒られました。忘れられない思い出です(笑)。

メモリアル品は、持ち主だけが知るストーリーがあって大切なものなので、要不要の判断は持ち主に一度聞いてみる、円満片付けの鉄則です!

もう一つ、父が残してしまっていた理由があります。

それは、「だって置けるし」。これ、よくあります!

家族が巣立った実家は、モノを置いておけるスペースがある場合が多いです。歩くのに邪魔になるような大きなモノなら、すぐに処分をしようと考えますが、空き部屋に置いてあるモノは視界に入ってこないし、邪魔になることもありません。そこにあることさえも忘れて、放置。イアリングの片方のような小さなモノも、邪魔にならないので引き出しにありませんか?

父の書類もタワーになるまではあまり気にならず、そのままにできていました。実家にある私の学生時代の教科書がそのまま残されているのも同じ経緯です。実家に帰るたびに母に「片づけて」と言われますが、「うん、そうだね~」とのらりくらりとかわしても怒られたことはありません。


「置けてしまう」というワナは家族にとても優しくて、気が付くと家中にはびこっていくのです!!

置けるスペースがあって困らないならそのままでもいいのでは?でも、そのままにして消えてなくなることはありません。

いつかは実家を片付けなければならない日がやってくるはず。親にとって大切なものは大事に残してあげたいし、せっかく片付けるなら今のうちに快適な空間をつくってあげたいな。そう思って、実家に帰ったら1箇所ずつ整理を始めました。「これ必要ないでしょ」と言いたくなるのをこらえて、「なんでこれ持ってるの?」と努めて優しくと自分に言い聞かせて、「モノは残したい、でもスッキリしたい」という母と静かに闘ってます。

片付けようとして片付かないとき、なぜそのモノを持っているのかを考えてみると手放す方法やきっかけが見えてくることがあります。あなたが持っているモノにも問いかけてみてくださいね。

次回は、 「母、使わないけどたくさんほしい」についてです。



***次回更新予定***
7月第5週目【7月27~31日】

 
登場人物
梶津さん
フリーの編集者の傍ら、整理収納アドバイザー資格を取得。家族を巻き込みながらシニアの生活にもやさしい実家の片付けを目指す。
定年退職後、同じ職場でアルバイト。カープとビール、横になれる畳一枚あれば幸せ。とにかく子煩悩、さらに孫煩悩。
近所のスーパーでパート勤務。若いころは陶器の置物や食器を集めるのが趣味。片付けが苦手。好きなものは、アップルパイ、サスペンスドラマ、孫。
サラリーマン。何よりもカープ最優先。毎年、宮崎にキャンプイン。使ったものを置きっぱなしにする。急にスイッチが入って断捨離する。
息子
高校2年生。明るく人当たりがいい。マイペースな妹が大好き。整理上手、普段から机の上にモノがない状態をキープ。
中学2年生。ファッション、メイクに興味しんしん。整理が苦手。ほしいものがたくさんある。

profile


梶津 利江(かじつ りえ)
 
フリー編集者&整理収納アドバイザー。
自宅で編集の仕事をするようになって、どんどん増える資料やどんどん増える紙モノに頭を悩ませていました。すぐに仕事を再開できるように途中のままにしておきたいし、でもスッキリと見せたいという気持ちの折り合いをつけるヒントを求めて、整理収納アドバイザー1級を取得。
学ぶ中で、編集と片付けは「全体から大事なものを見つけて分かりやすくする」という共通点があることを発見。大事なものを大切にする「編集&片付け」をモットーとしています。
夫の両親となんとか2世帯同居中、夫と子供2人、愛犬と暮らしています。
 

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