父親に免許証返納して欲しい!運転をやめて欲しい!どうしたらいいの?

親の介護コラム

父親に免許証返納して欲しい!運転をやめて欲しい!

父は現在74歳。

ほとんどは家で過ごしていますが、月に1度ほど病院や、近場に買い物に行くときは車を運転しています。

父が若い頃は、「ブックキャラバン」といって、車に大量の本を載せ、全国の学校へ本を紹介する仕事をしていたため、「足」は完全に車でした。それこそ1日中運転をしているような人で、運転にはかなりの自信を持っていました。

しかし、定年後は車に乗る機会はぐっと減り、運転の「勘」はかなり鈍ったようです。

また、70歳も越え、まだまだ元気だとは言えども、父の運転する車に同乗したときは、いろいろな場面でヒヤっとすることもあり、判断力も鈍っているんだなと感じました。

ニュースではブレーキとアクセルの踏み間違えによる事故もよく聞きます。

運転に自信を持っていた父、自転車に乗るのが嫌いな父、言いにくいけれど、父のためにも、運転はそろそろ辞めてほしい。免許証を返納して欲しい…。

さて、どうしたもんか。

高齢者の免許保有率が高いのは健康寿命が伸びたから!

「高齢」とひと口に言っても、一般的に「高齢」と呼ばれる年齢と、自分自身が感じる年齢には大きな差があります。特に近年は健康寿命も伸び、見ためもまだまだハツラツとしていて、70代以上でも現役で働いている人も多くいます。

50代や60代で孫を持ち、おじいちゃん・おばあちゃんになる人もいますが、「私がおばあちゃん!?」と気持ちがついていかない人が多いのも事実です。

国連世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上を「高齢」としていますが、皆さんのご両親はおいくつでしょうか?

74歳の私の父は定義通りにいくと高齢者。75歳になると「後期高齢者」とも呼ばれるわけですが、正直、「高齢者」とは呼びづらいな~という感じ。

きっと本人も、まだまだ頭も足腰もしっかりしているし、という思いもあるのでしょう。

毎年車の運転について話をすることはちょこちょこありますが、本人の口から「免許返納」の文字は出たことがありません。

高齢者講習や認知機能検査では正確には測れない!?

満70歳以上で免許の更新を受ける際は、高齢者講習、75歳以上になると、認知機能検査が行われます。

高齢者講習といっても、講習を受ければ皆さんが免許証を交付されるわけなので、判断力の低下や認知機能というところはほとんど関係ないと言っても過言ではありません。

父も、高齢者講習を受けたことがありましたが、「何も問題なかった」と言って帰ってきました。

日常生活には何も問題ないことが多いのですが、車の運転は常に危険と隣り合わせ。突然自転車が飛び込んできたり、小さな子供が横切ったり、年齢問わずヒヤっとすることは多々あります。

75歳以上の免許更新時に受ける認知機能検査は、「今日は何曜日ですか?」「これと同じものを選んでください」といったテストがあり、明らかな認知機能低下などの症状がある場合には意味があるでしょう。

しかし、やはり、とっさの判断力というところでは、実際に運転するときの状況で測るしかなさそうです。

親の運転と思い出を大切にしながら、徐々に車のない生活に慣れてもらう

一概に、年齢だけで判断し、「運転を辞めたほうがいい」と伝えるのは、プライドを傷つけることもあり、注意が必要です。

誰もが老いを認めるのは辛い時期があります。

また、社会人になり、身分証明としても使ってきた大人の証明書のようなものが、ある日突然奪われる寂しさ。車の運転をする人ならこの気持ち、わかる気がしませんか?

あまり車に乗らなくなったとしても、免許証を持っていることは、何か安心感のようなものがあります。あなたも70歳を超えたとき、「じゃあ運転やめるわ」ってすぐにすんなり辞めることができますか?

私はやっぱり、とっても寂しい気持ちになると思います。

父は私たち兄弟が小さい頃、平日はほとんど一緒にいられないぶん、休日はよく車でいろいろなところに連れて行ってくれました。

兄弟3人、後部座席でギュウギュウになりながら、車に極度に弱い兄たちは、交互に横になったり窓を開けたり…それもいい思い出です。

私が夏休みのときには、父が「ブックキャラバン」で熊本に出張しているところに私も旅行がてら付いていき、父の仕事が終わるのを車で待っていたこともありました。父は普段なかなか一緒にいられない娘と出張だなんて、仕事中もわくわくそわそわだったに違いありません。

今では二人きりで車に乗るなんてなんだか照れくさくて困ってしまいますが、あの頃の父と私はいったいどんな会話をしていたんでしょうか。父の記憶には残っているのかも。

父の運転する車には家族全員、語りつくせない思い出があります。

運転免許証を手放すということは、その思い出作りにピリオドを打つ日でもあります。簡単にはできない気持ちがわかります。

「危ないから運転辞めて」の前に、ちょっとだけお父さんとの車の思い出を、思い出してみてください。

そして、少しずつ、どこかに行く用事があるときは、代わりに運転をしてあげるとか、タクシー代を払ってあげるとか(タクシーで往復できるなんてかっこいいじゃん、ホラ!みたいな)免許証は持っているとしても、徐々に「運転しない生活」に慣れてもらうというのもいいかもしれません。

私も少しずつ父に「運転しない生活」に慣れてもらう行動をしていこうと思います。

「今まで運転ありがとう」の気持ちを込めて。

(みほ/39歳)

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