離れている親のケアをするときに大切なことを解説!気を付けたいことやあると便利なものもご紹介! 

介護の豆知識

久しぶりに帰省したときに「あれ?親が小さく感じる」「年をとったな」と感じることはありませんか?

離れて暮らしていると、こういった親の変化に「介護」を意識することが多くなると思います。介護とまではいかなくても何らかのケアが必要になる場合も出てきます。そのような時「離れて暮らしていて親のケアができるのか」と心配になる方もいらっしゃると思います。

この記事では、離れて暮らす親のケアをするときに大切なことを解説していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

また、気を付けたいことやあると便利なものもご紹介していますので、参考になれば幸いです。

遠距離介護とは

遠距離介護とは、病気やケガで介護が必要な親を離れて介護することをいいます。

「親の介護」というと、昔は親と同居をして介護をしている人が多かったそうです。しかし、近年では親と子が離れて暮らすことも多く、同居をして介護をしている人ばかりではありません。

「厚生労働省2019年国民生活基礎調査」によると、65 歳以上の者のいる世帯は 2558 万 4 千世帯(全世帯の 49.4%)となっています。

世帯構造では、下記のようになっています。

  • 「夫婦のみの世帯」が 827 万世帯(65 歳以上の者のいる世帯の32.3%)
  • 「単独世帯」が 736 万 9 千世帯(同 28.8%)
  • 「親と未婚の子のみの世帯」が 511 万 8 千世帯(同 20.0%)

遠距離介護の割合は介護者全体の13.6%になるそうです。

メリット

離れて暮らしている親の介護をしていると心配な反面、メリットもあります。

【遠距離介護のメリット】

  • 離れて暮らしている親を、自分の住んでいるところへ呼ぶ必要はないため、親は住み慣れた地域に住み続けることができる
  • 介護者が仕事をしている場合、仕事を辞めなくて済む

親と子どもが離れて暮らしている場合、同居となるとどちらかが移動をすることになりますよね。引っ越しにともなって、住環境が変わるので、どちらかあるいは両方に負担がかかります

ですが、遠距離介護の場合はそのままの住居に住むことができるので生活環境がガラリと変わることは少ないということが大きなメリットでしょう。

デメリット

【遠距離介護のデメリット】

  • 親の異変を感じにくい
  • 親の住んでいる家と自分の住んでいる家が遠いほど、交通費や宿泊費などの費用がかかる

遠距離介護で一番のデメリットは費用の問題でしょう。介護にはお金がかかりますが、遠方に住んでいるとどうしても交通費や場合によっては宿泊費がかかってきますよね。

感染症が流行している時期や交通の混雑している時期などには、何かあってもすぐに親のところへ駆けつけられないというデメリットもあります。

離れている親のケアをするときに準備をした方がよいこと

離れて暮らす親の介護が始まったときに何があったら、慌てることなく介護をスタートできるでしょうか。

次は、親のケアをはじめるときに準備をした方がよいことをご紹介していきますね。

介護保険の申請

社会全体で介護が必要な高齢者を支えていく仕組みが「介護保険制度」です。

親と離れて暮らしている場合「手伝ってあげられないことが多い」「ごはんはちゃんと食べているのか心配」こういった心配事はありませんか?

こんな時は、介護保険のサービスを利用すると安心です。

〈介護保険で受けられるサービス〉

  • 介護サービスの利用についてなどの相談、ケアプランの作成
  • 買い物などの家事援助サービス(自宅で受けられるサービス)
  • 施設などに出かけて、入浴をしたり食事を食べたりなど日帰りで行うサービス
  • 施設などで生活したり宿泊したりしながら受けられるサービス
  • 訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
  • 手すりなどの福祉用具にかかるサービス

さまざまなサービスを受けることができますので、親と離れて暮らしていても介護保険のサービスが利用できると安心ですよね。

ですが、介護保険のサービスを利用するには事前に要介護認定の申請が必要です。介護度によって受けられるサービスが変わってきますので、ご注意ください。

お住いの市区町村の窓口で申請ができます。

親の意向を聞いておく

親が元気なうちに、親の意向を確認しておくことは大切です。

介護保険サービスや民間のサービス、医療の発達などにより、介護の選択肢は昔に比べ広がりました。自宅だけではなく、施設や高齢者向け住宅などさまざまな場所で介護を受けることができます。

また、内閣府の調査で「万一,あなたが治る見込みがない病気になった場合,最期はどこで迎えたいですか。」と全国の55歳以上の男女に質問したところ、「自宅」と答えた方が半数以上という結果になりました。他にも、65歳を超えても働きたいと考えている人が多いという調査結果もあります。

介護が必要になっても自宅で暮らし続けたいのか、施設への入居も検討しているのか、親の意向をあらかじめ聞いておくことによって、介護が必要になった場合の選択がスムーズですよ。

お金のことを把握しておこう

介護と聞いてお金のことを心配する人は少なくありません。

サービスを受ける費用であったり、通院にかかる交通費や病院の受診代などさまざまです。

介護をしていると「こんなに費用がかかるとは思わなかった」「思っていたよりも費用がかかってしまい支払いができない」といった事態になりかねません。このような事態にならないためにも、事前に使えるお金や親の資産などを把握しておきましょう。

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また、親の銀行の預貯金は親子であっても勝手に引き出すことはできません。もし親が認知症になってしまったり、病気などでコミュニケーションがとれなくなってしまった場合は預貯金を引き出すことが困難になってしまいますので注意が必要です。

自分はどうしたいのか考えておく

親の介護が始まったとき、自分はどうしたいのか考えておくことも大切になってきます。

親の介護が始まる年齢は人それぞれです。親の介護をしている人のなかには、働いている人もいれば子育て中の人もいます。

あらかじめ自分はどうしたいのか決めておくと、親の介護で必要なサービスを選ぶときのポイントになります。また、親の介護で疲労しないためにも、自分の考えをまとめておくと良いでしょう。

親の住んでいる地域の情報を集めておく

親に何かあったときにスムーズに動けるように、親の住んでいる地域の情報を事前に集めておきましょう。

親が急に病気やケガで入院をすることになってしまった場合は、入院手続きや準備などで忙しくなってしまいます。一般病床を有する病院の平均約18日との報告もありますが、想像しているよりも早く退院することもあります。親が入院しているうちに、介護について考えておこう」という余裕はありません。

親が住んでいる地域の地域包括支援センターや市区町村の窓口などで、介護に関する情報をもらうことができます。

ですが、親が元気なうちから介護の相談へ行くことに抵抗のある方は、親が住んでいる地域の市町村のホームページをのぞいてみましょう。「医療・福祉」に関するページがありますよ。インターネット環境があれば、家にいながらスマホやパソコンで情報を集めることができるのでハードルが低いです。

離れて暮らす親のケアをするときに気を付けたいこと

「無沙汰は無事の便り」ということわざがありますが、親と離れて暮らしている場合は要注意です。こまめに連絡を取ったほうがよいでしょう。連絡を取り合うことで、親の異変にも気づきやすくなります。

遠距離介護の場合は「介護予防」が重要です。親には普段の生活を楽しんでもらえるよう、介護予防に重点をおいて、身体機能を維持してもらいましょう。親が「今」の生活を長く続けられるよう、こまめに連絡をとったり、具合が悪そうなときは受診をすすめるなどして、適切なタイミングで親の生活をサポートすることが大切です。

また、あなたがムリをしないよう行動していくことも忘れないようにしましょう。

離れて暮らす親のケアをするときにあると便利なもの

現代はインターネットやスマートフォンの普及にともなって、高齢者でも携帯電話を持っている人も少なくありません。

筆者の働いている介護施設でもご家族との連絡手段として携帯電話を持っている人が何名かいらっしゃいます。また、介護が必要な筆者の父や遠方に住む90代の祖母も携帯電話を持っています。90代の祖母はメールを打ったり、インターネットで何かを検索することはできませんが「電話をかける」「電話を受ける」といった簡単なことはできますので、体調が悪い時や何か買い物へ行きたい時には電話でやり取りをすることがありますよ。

スマートフォンが使える高齢者の場合は、その日の体調を登録したり歩いた歩数の入力をしたりできる介護系のアプリ薬の管理や服用のサポートをしてくれるアプリを利用するのも便利です。離れて暮らしていても親の体調や服薬状況がアプリを通じて分かりますので、安心です。

携帯電話やスマートフォンが使えない方の場合は、見守りサービスなど民間のサービスを利用してみてはいかがでしょうか。介護保険外のことも対応してくれたり、家庭に合った介護支援をしてくれるところもありますよ。

民間サービスでは、下記もおすすめです。

まとめ

高齢の親と離れて暮らしていると介護のことが心配になりますよね。

離れて暮らしている場合、介護が必要になる前の事前準備と親の介護予防がとても大切になってきます。

親の住んでいる地域の介護情報を集めつつ、介護アプリや民間サービスの利用などをしてムリをしないように親のケアをしていきましょう。

投稿者プロフィール

山田 あきこ
山田 あきこ
複業中のママライター。
作業療法士として介護施設で働いています。
Twitterで介護に関する情報を発信したり、脳梗塞で倒れた父の介護をメインで行っている母の体験談を電子書籍にし出版しています。

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