遠距離介護でお金がない!でも、離れて暮らす親が急に倒れたらどうしよう…そんな不安や心配を抱えている人は多いのではないでしょうか。
現在、65歳以上で一人暮らしをしている人の数は562万6千人まで増加し、女性が383万人と男性の2倍以上となっています。
それでも、「病気の時や、1人ではできない日常生活に必要な作業の手伝いなどについて頼れる人は?」という問いには「別居の家族・親族」と、約70%の高齢者が答えたということです。
頼りにされている家族・親族としては、できるだけのことはしたいとは思うけれど、自分の生活や人生も大切です。
ここでは、遠距離介護の注意点と負担を軽減できる様々なサービスについて解説します。いざというときに役立てて頂ければ幸いです。
遠距離介護のメリット
親に介護が必要となったとき、遠距離介護を選択することは、悪いことばかりではありません。
遠く離れて暮らすご高齢の親を子どもがサポートする場合のメリットを、まずお伝えしましょう。
環境の変化がない
子どもが親を近くに呼び寄せる方法もありますが、ご本人が「住み慣れた家や土地を離れたくない」「これまで築いてきた人間関係を失いたくない」と望んでいる場合も多いはずです。
転居による環境の変化は、ご高齢の方にとって大きなストレスとなります。環境の変化がきっかけで、認知症やうつ病を発症したり、状態が悪化したりすることも珍しくありません。
また、子どもがUターンをする場合も、同様のストレスに加え、介護離職(ご家族の介護のためにやむを得ず仕事を辞める)などのリスクを伴います。
遠距離介護なら親も子も転居をせずにすむため、今まで通りの生活や仕事をできるだけ維持することができます。
身体的・心理的負担が軽くなる
最近は育児と介護が同時進行する「ダブルケア」に直面するケースも増えており、同居や近居となると、介護するご家族の身体的・精神的負担が大きくなっています。
また、介護をされる本人が「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、心理的ストレスをため込んでしまうことも少なくありません。
遠距離介護は適度な距離を保つことで、心身ともに余裕が生まれ、良好な親子関係を築ける場合もあります。
遠距離介護でお金がない!費用負担を軽くするためには
離れて暮らす親が遠距離介護を行う場合は、帰省するための交通費や通信費の負担が重くのしかかります。
割引サービスなどを上手に活用して、経済的負担をできるだけ減らしましょう。
遠距離介護の費用をサポートするサービス
遠距離介護をする人の増加に伴い、さまざまな支援サービスが増えています。自分たちの状況に合わせて最適なサービスを組み合わせて使ってみましょう。
遠距離介護の金銭的な負担を減らすためには、いかに交通費を抑えるかということがポイントになります。
交通費の割引サービス
負担の大きい交通費は、運賃の割引サービスの利用をおすすめします。
たとえば飛行機の場合は、日本航空(JAL)の「介護帰省割引」や全日空(ANA)の「介護割引」などがあります。(適用条件や必要書類は各社によって異なる場合がありますので、詳しくは各社の公式サイト等でご確認ください。)
飛行機
- 日本航空(JAL)「介護帰省割引」
- 全日空(ANA)「介護割引」
- ソラシドエア「介護特別割引」
- スターフライヤー「介護割引」
JR・新幹線
介護割引はありませんが「早期予約割引」インターネットサイトでチケット購入すると割引が受けられます。
- ジパング倶楽部
- エクスプレス予約
- e5489
見守り・情報共有サービス
「見守りサービス」には、訪問型やセンサー型、カメラ型など多様な種類があり、安否の確認から緊急時の駆けつけまで幅広く対応しています。郵便局や電気・水道会社、セキュリティ会社、家電メーカー等がサービスを提供しています。
別途サービス利用料はかかりますが、見守りサービスを利用し帰省の間隔をあけることで、交通費軽減につながります。
独自の見守りサービスや緊急通報サービスを提供している自治体も増えていますので、確認してみましょう。
その他|民間のサービス
仕事や育児をしながら遠距離介護を続けるためには、ご家族だけで全てを行おうとせず、訪問介護など公的な介護サービスのほか、民間の介護サービスを上手に活用することも大切です。
介護保険等で不足する時間帯やサービスなどに短時間で効率的に利用できる民間のサービスもあります。
自分たちが費用を使って動くのとどちらが効果的か考えてみましょう。
遠距離で在宅介護を続けていて負担が重いと感じたら、施設への入居という選択肢もあります。
親の状態が変化し、頻回で帰省する必要が出てきた場合には、施設へ入居し介助をプロに任せることで安心感を得ることができます。介護の専門知識をもったプロに任せることは、家族だけではなく本人のためにもなります。
介護はプロに任せ、ご家族は介護に関する情報収集や手続き、話し相手になり精神的にサポートするなど役割分担をしても良いでしょう。
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諸費用の負担を家族で考えよう
介護費用の問題は、兄弟・姉妹間のトラブルに発展してしまう可能性もあるため、事前に家族の間でよく話し合っておくことが重要です。
兄弟・姉妹がいるのなら、介護と金銭的負担をお互いに負担し、誰かに負担が偏らないようにしましょう。
遠距離介護のポイント
このように、遠距離介護の金銭的負担を軽減させる支援サービスはいくつかありますが、遠距離介護を成功させるポイントがいくつかあります。
緊急時の連絡先の順番は、事前にきちんと決めておきましょう。入院や治療の判断は家族・親族でないとできません。特に人生最期の決断については、やはり本人・家族・親族全員で決定しておくべきでしょう。
また、お互いに安心して暮らすためには、普段からコミュニケーションを密にとり、もしもの時への備えや体制を整えておく必要があるでしょう。
緊急時への備えと対策が必要
主治医やケアマネジャーなどの専門職、隣近所の人とまったく面識がないと、いざというときの対応に時間がかかってしまうことがあります。
本人の心身状態を把握するためにも、主治医には遠距離介護であることや緊急時の連絡先などを、伝えておきます。
介護保険サービスを利用する場合は、ケアマネジャーなどの専門職と顔を合わせて信頼関係を築いておくこと、自治体や地域包括支援センターにも相談し、介護保険サービス以外の支援制度等に関する情報を事前に集めることも対策のひとつです。
今は、自治体や地域包括支援センター、サービス事業者などもHPからメールなどで質問や相談を受け付けてくれます。
また、帰省の際に親の友人や隣近所の人に何かあったときは連絡してもらえるようお願いしておくと安心でしょう。
まとめ|負担を減らして無理のない介護を
困りごと、悩みごとがあるときはケアマネジャーや相談員、地域包括支援センター、友人、同僚など、一人でも多くの人に相談し、一人で抱え込まないようにしてください。
事前にさまざまな情報を集めてご家族でよく話し合い、リスクに備えておくことが遠距離介護を乗り切るポイントです。
また、介護をする家族が頑張り過ぎないことも「遠距離介護」の成功につながります。
心身の疲れと経済的な負担を少しでも減らし、自身の健康と生活を守りながら無理をしないようにしましょう。
投稿者プロフィール
- 介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。
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