親に介護が必要になったらどうする?介護保険制度を知ろう! 

高齢化の進展に伴って、寝たきりや認知症などで、介護や支援が必要な人が増加したり、介護期間が長期化するなど、介護のニーズは増大しています。

その一方で、核家族化の進行や介護をする家族の高齢化など、介護が必要な人を支えてきた状況も変化してきました。介護が必要な人が尊厳を保ちながら、能力に応じて自立した日常生活を送るには、家族だけでなく周囲の支援が欠かせません。

介護保険サービスを活用することで、本人や家族にかかる身体的・経済的な負担を軽減し、地域や社会全体で介護が必要な人を支えていくことを目的に、2000年からスタートしたのが介護保険制度です。

現在では、約 660万人以上の人が利用し、介護を必要とする人を支える制度として定着しています。

親に介護が必要になったら!これだけは知っておきたい、基本の介護保険制度!

親に介護が必要になったとき、頼りになるのが介護保険制度です。

40歳を迎えると、全ての人が加入し、支払いをしている制度ですが、実際に利用するまではどんな制度なのかわからない人も多いかもしれませんね。

この記事では、介護保険制度の基本について解説しています。

介護保険制度とは?

介護が必要になった高齢者等を社会全体で支えるしくみが、介護保険制度です。介護保険制度は契約方式を採用し、利用者自身が、利用するサービスを選択し、契約を結ぶという利用者本位の制度設計になっています。

サービス提供者も行政だけでなく、民間の事業者にも拡大されて、多様なサービスが選択できるようになりました。

サービスを受けるためには、サービスを受けたい本人、又はその家族(又は、その代理人となりうる者)が、市区町村の窓口にサービスの提供を受けることを申請し、介護認定を受け、認定結果によって、介護保険による適切な介護サービスを受けることができます。

さらに、急激な高齢化社会に対応するために、介護が必要になる前の予防対策を重視し、安定的に制度を支えるように作られています。

介護保険の3つの柱

介護保険は、自立をサポートする「自立支援」、介護を受ける当事者が自由に選択して介護サービスを受けられる「利用者本位」、納めた保険料に応じてサービスや給付金を受けられる「社会保険方式」の3つの柱が基本となっています。

介護保険の仕組みと保険料

介護保険は主に保険者(市町村と特別区、 広域連合を設置している場合は広域連合 )、被保険者(40歳以上の人)、介護サービス事業者の3者から成り立っています。

介護保険の財源

介護保険の財源は、「40歳以上の国民全員が納めた保険料」と「国や市区町村の公費」を1:1の比率で合わせたものを介護の費用に充てるという仕組みです40歳になった月から全ての人が加入し、支払いの義務が生じます。

ただし、全員が同じ保険料では、収入に対して保険料の負担が重くなってしまう人も出てくるため、本人や世帯の合計所得に応じて、負担率を細分化しています。これを所得区分と言います。所得区分は、標準で9段階とされていますが、市区町村の条例によってより細かく設定できるようになっています。

保険の区分

年齢によって保険の区分が分かれており、65歳以上は「第1号被保険者」、40歳〜64歳までは「第2号被保険者」です。

「第1号被保険者」と「第2号被保険者」では、保険料の支払い方法や介護保険の受給要件が異なります。

厚労省の資料を加工

※第2号被保険者の要件

第2号被保険者の受給要件である老化に起因する疾病(特定疾病)は、以下の通りです。

40歳〜64歳までの方で、以下の表の疾病に当たらない場合は、介護保険サービスを利用できません。

厚労省HPより

介護保険を利用するには

介護保険を利用するには、要介護(要支援)の認定を受ける必要があり、認定結果によって利用できるサービスが異なります。

 具体的にみていきましょう。

①要介護認定の申請

介護サービスの利用を希望する方は、市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」の申請をします(地域包括支援センター などで手続きを代行している場合があります)。

※申請の際、第1号被保険者は「介護保険の被保険者証」、 第2号被保険者は、「医療保険の被保険者証」が必要です。 

②要介護認定の調査、判定

認定調査・主治医意見書

市区町村の職員などの認定調査員が、ご自宅を訪問し、心身の状況について本人やご家族から聞き取りなどの調査を行います。調査の内容は全国共通です。また、市区町村から直接、主治医(かかりつけ医)に医学的見地から、心身の状況について意見書を作成してもらいます(市区町村から直接依頼)。

審査・判定

認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、保険・福祉・医療の学識経験者による「介護認定審査会」で審査し、どのくらいの介護が必要か判定します。要介護度は要介護1〜5、または要支援1、2のいずれかとなります。 また、第2号被保険者は、要介護(要支援)状態に該当し、その状態が「特定疾病」によって生じた場合に認定されます。 

③認定結果の通知

原則として申請から 30 日以内に、市区町村から認定結果が通知されます。

④ケアプランを作成

 要介護1~5と認定された方は、在宅で介護サービスを利用する場合、居宅介護支援事業者と契約し、その事業者のケアマネジャーに依頼して、利用するサービスを決め、介護サービス計画 ( ケアプラン ) を作成してもらいます。

施設へ入所を希望する場合は、希望する施設に直接申し込みます。要支援1・2と認定された方は、地域包括支援センター※で担当職員が介護予防サービス計画 ( 介護予防ケアプラン ) を作成します。

地域包括支援センター:地域の高齢者が健康で安心して暮らせるように、保健・医療・福祉の面から総合的に支援するための機関です。市区町村や、市区町村が委託する組織により公的に運営されており、市区町村に1つ以上設置されています。高齢の家族の生活に関することや介護のこと、仕事との両立の悩みや不安などについて、安心して相談することができ、相談・支援は無料です。市区町村のホームページなどで、お住まいの地域の地域包括支援センターをご確認ください。(地域によっては、地域包括支援センターの名称が異なる場合があります)

⑤サービス利用

サービス事業者に「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」を提示して、ケアプランに基づいた居宅サービス や施設サービスを利用します。

介護保険を利用した際の負担額は?

要介護(要支援)の認定を受けると、介護保険サービスを利用したときの自己負担額の割合が記された「介護保険負担割合証」が交付されます。負担割合は所得によって1割〜3割に変動しますが、65歳以上で要介護(要支援)認定を受けている方のうち、約9割が1割負担となっています。

また、介護保険サービスには介護度に応じた支給限度額があり、この範囲内でケアマネジャーが、ケアプランを作成します。

居宅サービスの場合

原則1割の自己負担でさまざまな居宅サービスを利用できますが、要介護(要支援)の区分別に利用できるサービスの限度額が決まっており、超過した分については全額自己負担となります。

施設サービスの場合

施設サービス費の原則1割に加え、食費、居住費、日常生活費が自己負担となります。居住費と食費の金額は施設と利用者の間で決められますが、基準となる金額(基準費用額)が定められています。また、低所得者(住民税非課税世帯)の方に対しては食費と居住費の負担限度額認定制度があります。

居宅サービスや施設サービスの利用料の自己負担額が高額になってしまった場合には、高額サービス費として、市区町村から払い戻しを受けることができます

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まとめ

介護が必要な期間を「平均寿命 ー 健康寿命*」とすると、男性で約9年、女性で約12年となり、現在、その期間が少しずつ延びています。もちろん、これはひとつの目安に過ぎません。それぞれの人達に、介護が必要な期間がどのくらいなのかは、個人差が大きく、予測することは困難です。

*健康寿命とは、日常的・継続的な医療・介護に依存しないで自分の心身で生命維持し自立した生活ができる生存期間のことです。

介護保険は、さまざまなルールや手続き、審査や更新など、初めて利用する人にはちょっと難しいと思われるかもしれません。しかし利用し始めると、本人や家族にとって、とても助けになる制度です。

介護保険サービスの利用を検討する際は、お住まいの地域の自治体の、介護保険ガイドなどをチェックしてみてください。介護保険サービスは、自治体ごとに細かな制度やサービス内容が異なります。介護保険ガイドなどで、サービスの概要や申請方法、利用までの流れを確認することができます。

お住まいの自治体のホームページ、広報や配布されているリーフレットなどで調べてみましょう。

直接、自治体の窓口で介護保険について尋ねることもできます。事前に下調べをしたり、電話で連絡してから出かけると、話がスムーズにできて、時間の節約にもなります。

要介護・要支援に認定されていなくても利用可能な介護予防サービスは多くあります。元気な高齢者に対する、多様なサービスが準備されている自治体も多いです。

「なんだか最近、親の様子が心配…」と感じたら、お住まいの地域の介護サービスについて調べてみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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