精神病院の入院費用ってどのくらい?内訳から払えないときの対処法まで

精神疾患

精神病院の入院費用が思いのほか高額になりやすいことをご存知ですか?精神科への入院は、病棟や入院の種類によっても費用が変わるため、退院時にいくら請求されるのかよく分からない…という方も少なくないことでしょう。
今回は精神科の入院費用の目安や、払えない場合の対処法を解説しました。精神病院の入院費用に不安のある方は、参考にしてください。

精神科の入院費、目安はどれくらい?

精神病院は、どの病棟に入院したかで費用が異なります。精神科救急病棟の入院費用は1か月で106万円前後、精神科急性期治療病棟の場合は65万円前後が目安です。健康保険を利用すれば、負担割合は3割のため、精神科救急病棟の自己負担金額の目安は約32万円程度ということになります。

ただし、措置入院、緊急措置入院の場合は行政の権限で入院をさせるため、医療費と食事代は全額行政が支払ってくれます。最初の7日間が措置入院、8日目から医療保護入院に変更された場合、措置入院中の7日間は行政の支払です。したがって、入院費と食費が発生するのは実質8日目からという認識で入院費用を計算すると良いでしょう。

医療費の内訳は?

入院をすれば、上記で説明した療養費以外にかかるお金も発生します。ここから説明する主な費用は健康保険が適応されないため実費で必要です。ではどのような項目があるのかチェックしていきましょう。

室料や差額ベッド代の目安

精神科には、保護室(隔離室)、個室、大部屋の3種類があります。

保護室は、患者本人を外的刺激から守ること、ほか患者へ迷惑がかからないようにすることを目的に使用される特殊な部屋です。外側から鍵がかけられるようになっているため、部屋の外に出ることはできません。患者さん自身が冷静になり、落ち着いた生活ができると判断されるまではこの部屋を使用することになります。保護室の室料は総合病院で1日1,000~3,000円、個人病院の場合は2,000~7,000円が目安です。

一般的な病棟にもあるような個室の使用料は保護室と同じ金額が相場となっています。2~6人程度で利用する大部屋の室料は総合病院で1日200~300円程度、個人病院も300~600円程度と安価に利用できるケースが多いです。
3人以上の大部屋の場合は室料が発生しない精神科もある ので、入院時に確認しておくと安心でしょう。

食事代の目安

住民税非課税や低所得者の区分に当てはまらない場合、1食の負担金は460円です。詳しい標準負担額は以下の通りなので、参考にしてください。

所得区分標準負担額(1食につき)
一般(下記に当てはまらない方)460円
住民税非課税(70歳未満) 低所得者Ⅱ (70歳以上)90日以下の入院(過去12か月)210円
90日超の入院(過去12か月)160円
低所得者Ⅰ(70歳以上)100円

住民税非課税、低所得者Ⅱに該当する方の負担額は、過去12か月間の入院日数が考慮されます。1回の入院が短期間でも、過去12か月間に90日を超えて入院していれば負担額は160円に。1日の食事代は160×3で480円、31日分なら14,880円ということになります。
1食460円の場合は31日分で42,780円のため、所得区分により大きな差がでることを認識しておきましょう。

日用品などそのほかの費用

入院中は、療養費、食費だけでなく、小遣い費も必要です。主に日用品代(洗濯洗剤など)や、テレビカード代、雑誌や新聞、おやつの購入代などに使用する費用になります。
精神科ではトラブルを防ぐため、小遣い金を病院側が一括して管理するのが一般的です。その場合、お金の管理費用として1日50~200円程度を請求されます。1日50円の管理費なら31日で1,550円です。10,000円預けても、実質の小遣い金は8,450円ということになります。小遣い金は利用しなくても1日ずつ管理料が徴収されるため、減っていくものと認識して預け入れるようにしましょう。

そのほか、家族が面会に行くための交通費や駐車場代、必要であれば面会中の子どものシッター代など医療費以外にかかるお金が多いです。入院費用ばかりに目が行きがちですが、トータルで考えると大きな金額になるため、心づもりが肝心です。

入院費が払えない場合はどうしたらいい?

高額な医療費を請求された場合、すぐには払えないという事態に陥ることも。では、入院費が払えない場合の対処法をご紹介していきます。

早めに病院や役所に相談する

入院時は、入院費を確実に支払うため、事前に保証金を入れ、連帯保証人を立てるよう病院にお願いされるケースがほとんどです。入院費の催促を放置すれば、連帯保証人に連絡が入り、最悪の場合は民事訴訟に移行したりなど、より多くの費用が必要になるケースも。支払いが困難な場合は、病院や市区町村の相談窓口に早めに相談しましょう。

公的制度を利用する

精神科へ入院する際は、予め病院の担当者(事務員や精神保健福祉士など)が入院費用について説明をする場合が多いです。緊急入院の場合は、入院日当日に説明を受けることになります。その時点で支払いが難しいと予想される場合も、市区町村へ相談が先決です。利用できる公的制度を教えてもらえるため、退院時の窓口で支払う金額が減額する、のちにお金が戻ってくる可能性があります。主には、以下の公的制度が利用できるため相談時に活用してみてください。

【医療費に利用できる主な制度】

・高額療養費制度

・限度額適用認定証

・医療費控除

・生活保護制度

そのほか、医療保険に加入している人が利用できる「高額療養費貸付制度」や、保険者と医療機関が協定している場合のみ利用できる「高額療養費受領委任払い」などもあります。利用できるかどうかは病院へ問い合わせしてみてください。

まとめ

精神病院の入院費用の目安について解説しました。一般的な病棟への入院とは費用面で異なる部分があることを理解していただけたでしょうか。支払わなければならない入院費用への対処は、できるだけ早いに越したことはありません。病院には制度に詳しい職員、市区町村には相談に乗ってくれる窓口が必ずあります。1人で抱えこまずに、まずは相談から始めてみましょう。


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