親や家族の介護が必要になったとき、「できるだけ住み慣れた自宅で過ごしてほしい」と考える方は多いでしょう。しかし、在宅介護を始めるには、生活空間の安全性や利便性を見直す必要があります。
この記事では、「在宅介護 環境」を整えるために必要な住宅改修のポイントや、介護保険を活用した支援制度、専門家との連携方法まで詳しく解説します。
在宅介護における“環境整備”とは?

在宅介護の環境整備とは、介護を受ける人が自宅で安全・快適に暮らせるよう、住まいの構造や設備を見直すことです。具体的には以下のような要素が含まれます。
- 段差の解消や手すりの設置
- トイレや浴室の改修
- 車いすや歩行器が使いやすい動線の確保
- 介護者が介助しやすいスペースの確保
高齢になると、今まで気にならなかった段差や狭い通路が転倒や事故の原因になります。環境整備は、本人の安全だけでなく、介護者の負担軽減にもつながります。
よくある在宅介護の“困りごと”と改修ポイント
介護が必要になると、日常の動作に支障が出てきます。以下は、在宅介護でよく挙がる困りごとと、それに対応する改修例です。
困りごと | 改修ポイント |
---|---|
玄関の段差が高くて出入りが困難 | スロープの設置、手すりの追加 |
トイレで立ち上がれない | 手すりの設置、洋式トイレへの変更 |
浴室で滑ってしまう | 滑り止め床材、浴槽のまたぎ高さの調整 |
階段の昇降が不安 | 階段昇降機の設置、手すりの強化 |
和室の畳でつまずく | フローリング化、段差の解消 |
「たった一段の段差」「つかまる場所がない」——その“わずか”が、介護生活では“たくさん”の不安につながります。
介護保険を活用した住宅改修支援制度

在宅介護の環境整備には費用がかかりますが、介護保険制度を活用することで、一定の補助が受けられます。
住宅改修費の支給制度
- 要介護・要支援認定を受けた人が対象
- 改修費用のうち最大20万円までが支給対象
- 自己負担は1〜3割(所得に応じて)
- 支給対象となる改修例:
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止の床材変更
- 引き戸などへの扉交換
- 洋式トイレへの変更
申請には、ケアマネジャーが作成する理由書や見積書が必要です。改修前に申請することが原則なので、事前の相談が重要です。
誰に相談すればいい?専門家との連携がカギ
在宅介護の環境整備は、建築の知識だけでなく、介護の視点も必要です。以下のような専門家と連携することで、より安心な改修が可能になります。
ケアマネジャー
- 本人の介護度や生活状況を把握している
- 改修の必要性を判断し、理由書を作成
- 介護保険申請のサポートもしてくれる
福祉住環境コーディネーター
- 介護と建築の両方に精通した資格者
- 住まいの課題を多角的に分析し、改修プランを提案
地域包括支援センター
- 介護保険制度や補助金制度の情報提供
- 地元の信頼できる施工業者の紹介も可能
「どこに相談すればいいかわからない」ときは、まず地域包括支援センターに連絡するのがおすすめです。段の段差』ではありますが、外出を阻む巨大な壁になるのです。
環境整備は“生活の質”を高めるための一歩

住宅改修は、単にバリアを取り除くだけではありません。本人が「自分らしく暮らせる」ことを支えるための工夫でもあります。
- 外出しやすくなることで趣味や交流が増える
- トイレや入浴が自立できることで自尊心が保たれる
- 家族との関係が穏やかになる
「環境が整ったことで、笑顔が増えた」「趣味の会にまた通えるようになった」——そんな声も多く聞かれます。
住宅改修や福祉用具は、もともと失われた機能を補助するため・補うためという考えで発達してきました。
ところが、今日では、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や、人としての尊厳を守るという面でも大きな働きをみせています。住宅改修は、単純に自宅をリフォームする、というだけでなく、本人や家族の日々に幸せや潤いや楽しみを運ぶものという側面も持っているのです。
まとめ|在宅介護の環境整備は“家族の安心”をつくる
「在宅介護 環境」と検索する方は、きっと家族の安全と快適さを願っているはずです。住宅改修は、介護の負担を軽減するだけでなく、本人の生活の質を守る大切な手段です。
まずは、今の住まいの“困りごと”を見つめ直すことから始めましょう。そして、制度や専門家の力を借りながら、無理なくできることから整えていく。それが、在宅介護を続けるための第一歩です。
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投稿者プロフィール

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エレベーターメーカー勤務の経験を持つ。ホームエレベーターや段差解消機の設置の観点から、住宅改修についても学ぶ。
趣味は、着物・和紙あつめ。日本酒、アンティーク家具も好き。
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