「一人暮らしの高齢家族が要介護1になってしまったら、一人暮らしを続けることができるの?」
「何か支援をした方がいいの?」
一人暮らしの高齢家族が要介護1と認定された場合、上記のような心配や疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
離れて暮らしていると一人暮らしの高齢家族に何かあったとき、すぐにかけつけることが難しい場合もありますよね。
この記事では、実際に一人暮らしをしている要介護1の祖母がいる筆者が、要介護1の方の状態像、一人暮らしができるのかを解説します。また、在宅介護に役立つサービスや在宅生活を続けるポイントも紹介しています。万が一、在宅生活を続けていくことが難しいと感じたときの対策もお伝えします。
ぜひ最後まで読んで、要介護1の高齢ご家族の一人暮らしを支えるヒントを見つけてみてくださいね。
要介護1の状態とは?
要介護1の状態とは、日常生活動作を行う能力が低下し、何らかの部分的な介助や見守りが必要な状態です。歩行や両足で立つときなどに何らかの支援が必要な場合もあります。また、現在の能力が低下しないように(維持できるように)何らかの支援が必要となってきます。介護が必要な時間の割合は、要介護2〜5の方よりも少ないです。
ですので、日常生活における大半は自分で行うことが可能な状態といえるでしょう。部分的な介助や見守りを家族の協力やサービスを利用しながら一人暮らしをしている方が多いです。
要介護1〜5の状態像を以下にまとめてみました。
要介護 1 | 日常生活動作を行う能力が低下し、何らかの部分的な介助や見守りが必要な状態。歩行や両足で立つときなどに何らかの支援が必要な場合もある。現在の能力が低下しないように(維持できるように)何らかの支援が必要。理解力の低下や混乱がみられることがある。 |
要介護 2 | 要介護1の状態よりもさらに、日常生活動作に何らかの介助や見守りが必要。歩行や両足で立つときなどに何らかの支援が必要な場合もある。現在の能力が低下しないように(維持できるように)何らかの支援が必要。理解力の低下や混乱がみられることがある。 |
要介護 3 | 日常生活動作に、ほぼ全面的に何らかの介助が必要。一人では動作をすることが困難。全般的な理解力の低下やいくつかの不安行動がみられることがある。 |
要介護 4 | 日常生活動作を一人で行うことがほとんどできず、全般的に介護が必要。介護がないと生活をしていくことが困難。全般的な理解力の低下や多くの不安行動がみられることがある。 |
要介護 5 | 日常生活動作を一人で行うことができず、全般的に介護が必要。介護がないと生活ができない。全般的な理解力の低下や多くの不安行動がみられることがある。 |
「要介護」ときくと「何か介護が必要なのでは?」「つきっきりで介護した方が良いのではないか」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、要介護と認定された方の介護が必要な状態はさまざまです。また、必要な介護の内容も人によって違いますので、要介護者にとって本当に必要な支援を見極めていく必要があります。
要介護1の方が利用できる在宅サービス
では、実際に要介護1の方が利用できるサービスにはどのような種類があるのかをみていきましょう。
介護保険を利用して使えるサービス
要介護認定・要支援認定をされると、介護保険を利用してサービスを受けることができます。介護認定された方が受けられるサービスを以下にまとめました。
自宅に訪問 | 訪問介護(ホームヘルプ)訪問入浴訪問看護訪問リハビリ夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
施設に通う | 通所介護(デイサービス)通所リハビリ地域密着型通所介護療養通所介護認知症対応型通所介護 |
訪問・通い・宿泊を組み合わせる | 小規模多機能型居宅介護看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) |
短期間の宿泊 | 短期入所生活介護(ショートステイ)短期入所療養介護 |
施設等で生活 | 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)介護老人保健施設(老健)介護療養型医療施設特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)介護医療院 |
地域密着型サービス:地域に密着した小規模な施設等 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護地域密着型特定施設入居者生活介護 |
福祉用具を使う | 福祉用具貸与特定福祉用具販売 |
サービスを利用するときは、本人に合ったサービス提供方法と必要なサービスがマッチしているものが良いでしょう。とはいえ、介護保険で利用できるサービスはたくさんありますので、ご本人の意向を踏まえ、ケアマネジャーさんなどに相談することもおすすめです。
筆者の祖母(90歳代)は、要介護1で一人暮らしをしています。そんな筆者の祖母が利用しているサービスは「訪問介護」です。
外へ出て人と会うことや新しい場所が苦手・抵抗感のある祖母には1対1で対応してくれる訪問介護が合っているようです。筆者の祖母の場合は、掃除をお願いしています。家の中を清潔にしてくれると気持ちがいいものですよね。そして、訪問介護の方が来てくれると、話し相手になってくれたり何か異変が起きたときに知らせてくれたりします。家族としても、一人暮らしをしている高齢者のことはとても心配ですので、訪問介護の方が来てくれるととても心強いです。
介護保険外サービス
介護保険では提供できないサービスを提供してくれるのが、介護保険外サービスです。
介護認定を受けていない方でもサービスを受けられるのが特徴です。自治体が主体となって実施しているサービスや民間企業の介護サービス・高齢者支援サービスなど内容はさまざまです。
例えば、髪を切りたいけれどケガや病気で出かけるのが困難な方などにおすすめなのが「訪問理美容」です。介護事業所と理美容室が連携している場合や自治体が助成している場合もあります。
他にも、病院・外出付き添いサービスや健康生活サポートなどさまざまなサービスを会員制で行ってくれるサービスもあります。
しかし、介護保険外サービスは自費になりますので、割高だと感じてしまうかもしれません。介護にかかる費用を見直し、必要なサービスを見極める必要があるでしょう。
在宅生活を続けるポイント
次に、在宅生活を続けるポイントを解説していきます。
住み慣れた家で、安全に生活していくための参考にしてみてくださいね。
親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること
道具を使えば介護はもっとラクになる!
★こんな方にオススメ★
□自分が外出中の親の様子が心配。
□災害時や体調急変時に対応できない
□時間やお金、体への負担を改善したい
すでに介護が始まっている場合も、仕事や子育てと両立が難しい、お金や体への負担が大きいなど、悩みは尽きません。そんなときにヒントとなるのが「道具」です。介護保険サービスでは解消できないような、日常に潜む困りごとを解決します。
ポイントその1:すべてをひとりでやろうとしない
介護者も要介護者も、すべてをひとりでやろうとしないことが大切です。介護者・要介護者ともに頑張りすぎて倒れてしまっては、元も子もありません。元気で安全な生活を送るためにも適切なサービスを利用しましょう。
【介護者の場合】
離れて暮らす要介護者のことが心配になるのは当然ですよね。ですが、あれもこれもと要介護者ができることまで手伝ってしまうのは要注意です。介護の一切をあなたが抱え込む必要はありません。
要介護者にとってどのような介護が必要なのか、あなたが介護できるのはどのような介護なのかしっかりと線引きをすると良いでしょう。そして、出来ないことは介護のプロやサービスに頼ってくださいね。
【要介護者の場合】
「介護者に迷惑をかけないように自分でやろう」と思い、自分の能力以上のことをするのは危険です。疲れてしまったり、ケガや転倒につながる可能性もあります。
出来ないことを他の人やサービスに頼ることに対して、抵抗感や恥を感じる方もいるかもしれません。ですが、頼ることは悪いことではありません。要介護者の負担を軽くしてくれるものです。ご自宅の環境を整えたりサービスを利用したりして、安全な日常生活を送ってくださいね。
ポイントその2:体調管理に気を付ける
当然かもしれませんが、体調管理には気をつけましょう。
一人暮らしの場合、体調が悪くなっても介護者がすぐに来れるとは限りません。食事や(必要のある場合は)服薬の管理を適切に行うようにしましょう。万が一、体調が悪くなってしまった場合の連絡手段等を事前に決めておくと安心ですよ。
また近年、夏の暑さが話題になりますよね。「最高気温の更新」や「記録的猛暑」など耳にしたことはないでしょうか。筆者の祖母をはじめ高齢者の方と「昔はこんなに暑くなかった」「エアコンなんて必要なかった」と会話することがあります。なかには「家の窓を空けておけば風が通るから涼しいよ」と話す方もいらっしゃいます。ですが、高齢になると体温調節機能が低下し、暑さや寒さを感じにくくなりますので、適切なエアコンの使用、気温計や天気予報などのチェック、水分補給などが大切です。
筆者も過去に関わった一人暮らしの方で、夏バテになってしまった方がいました。その方はご家族が頻繁に来ていた方でしたので、異変に早く気付くことができました。ニュースでも熱中症で搬送されるケースが度々報道されていますので、体調不良や熱中症にならないよう対策をしましょう。
ポイントその3:適度に身体を動かす
高齢になると、心身機能が衰えてきますよね。要介護1と認定された方の場合、身体に不調を感じている方も多いのではないでしょうか。肩や膝、腰など身体に痛みがあるからといってずっと寝ていると残存している機能まで衰えてしまいます。
筋力が低下すると、これまで以上に転倒のリスクが高まりますし、一人暮らしを続けていくことが難しくなる場合もあります。ですので、適度に身体を動かす機会を設けることが大切です。
筆者の祖母も自宅で体操を行っています。毎日一人で体操を続けていくことは大変ですよね。祖母は、筆者をはじめ家族が祖母宅へ行ったときに「体操を頑張っているよ」と話すことが祖母の体操を続けるモチベーションになっているようです。現在も祖母のペースで毎日体操に取り組んでおり、段差のある家の中や散歩などで転倒することなく過ごせています。
在宅生活を続けていくことが難しいと感じたら
在宅生活を続けていくことが難しいと感じたら、施設や同居などの選択肢も視野に入れていきましょう。
認知機能の低下や栄養状態の悪化、身体機能の低下などで家の中での移動が出来ないなど、一人で暮らしていくことが困難な場合は、介護サービス・医療的ケアが受けられる施設などを検討していく必要があるでしょう。施設などは入所したいと思ってもすぐに入所できるとは限りませんので、日頃から情報収集をしておくことも大切です。
まとめ
日常生活において部分的な介助や見守りが必要な要介護1の方は、適切な介護サービスなどを利用することで一人暮らしが可能です。
要介護者ができること・できないことを知り、どのような介護を誰が行うのか、またはサービスを利用するのかを決めることが大切です。住み慣れた家で安全に生活できるよう、要介護者も介護者もお互い無理をしないようにしてくださいね。
投稿者プロフィール
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複業中のママライター。
作業療法士として介護施設で働いています。
Twitterで介護に関する情報を発信したり、脳梗塞で倒れた父の介護をメインで行っている母の体験談を電子書籍にし出版しています。
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