介護保険サービスと言えば代表的なものに訪問介護サービスがあるのはご存知でしょう。
ヘルパーさんが自宅に来てくれて身の回りのことを手伝ってくれるのは大体知っているけれど、そのサービス内容やルールを詳しく分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自宅で食事の準備が大変になってきた方に向けて、介護保険の調理支援について解説します。
食事の準備に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
ヘルパーに調理の支援を頼むには
訪問介護サービスは介護保険を使うサービスです。ヘルパーに調理支援を依頼したい方で、まだ介護保険を使っていない方は、まず介護保険を申請することが必要です。
介護保険の申請は、住んでいる自治体の窓口や近くの地域包括支援センターで相談してみましょう。
まずはケアマネジャーに相談する
介護保険を利用して様々なサービスを受ける場合は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて実施されなければなりません。ケアマネジャーにサービス利用の必要性を認めてもらった上でケアプランに組み込まれます。
ケアマネジャーは自分で選択することが可能です。どうやって選べば良いかわからない場合は、介護保険の申請時にケアマネジャーの紹介もあわせてお願いしておきましょう。
すでに介護保険サービスを利用している方であれば、担当のケアマネジャーに調理支援をサービスに組み込んでもらいたい旨を相談します。
介護保険サービスは介護度によりサービスを使える量が決められています。ご利用者の状況により使えるサービスも異なるため、利用できるかをケアマネジャーに相談してみましょう。
訪問介護サービス事業者と契約する
調理支援は、介護保険の中の訪問介護サービスにあたります。
訪問介護サービスとは、ヘルパーが自宅に訪問し、調理や掃除などの家事援助や入浴や排泄介助などの身体介護を依頼できるサービスです。
ケアマネジャーにより訪問介護サービスの利用をケアプランに組み込んでもらったら、訪問介護サービス事業者と契約することになります。
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ヘルパーができる調理支援の範囲
訪問介護サービス事業者と契約すると、条件に合うヘルパーさんを派遣してもらえます。
ただし、頼めば何でもしてもらえる訳ではありません。介護保険を使った調理支援は、どのようなルールのもとに利用できるのかを確認しておきましょう。
訪問介護の生活援助サービスとして利用できる
調理の支援は訪問介護の「生活援助サービス」として利用できます。直接身体に触れて行う身体介護とは違い、主に調理・洗濯・掃除などの家事を手伝います。
ヘルパーは、決められた時間内で利用者の好みや食べやすさ、栄養バランスなどを配慮した食事を提供します。
本人が自立した生活を維持するのを目的とした、介護保険を使った公的サービスであることを頭に入れておきましょう。
調理に必要な買い物も頼める
調理の支援には、調理に必要な買い物も含まれます。
ただし、日常生活圏外にある遠くのデパートに行ってもらうなど、特別な場所に出向いて購入してもらうのはNGです。また、お酒やタバコなどの嗜好品の購入もできません。
介護保険で頼める買い物は、近隣にあるスーパーなどで購入できる、日常生活に必要なものに限られます。
生活していく上で必要最低のサービスしかできない
訪問介護サービスは介護保険を使ったサービスなので、生活していく上で必要最低限のサービスしか提供できません。調理の援助も、普段の食事の範囲での提供になります。おせち料理や行事食など、特別なイベントの調理は頼めないので注意が必要です。
前述の通り、ヘルパーは民間の家政婦さんではなく、税金で賄われている介護保険サービスを利用して来てもらいます。何でも依頼できないことを覚えておきましょう。
家族の支援はできない
訪問介護サービスは、あくまでも本人の介護保険を利用したサービスです。家族の食事や来客者の食事は頼めず、本人の支援しかできません。
そもそも同居家族がいる場合は家族が家事を行えるため、生活援助サービスを利用できません。同居家族が何らかの理由で家事ができない場合であり、他者に手伝ってもらわなければ生活できない状況にある場合にのみ利用できます。
とはいえ、家庭の事情は様々なので、同居家族がいても支援が必要な場合はケアマネジャーに相談してみてください。
介護保険を利用できない場合はどうしたらいい?
介護保険を利用した調理の援助については、様々なルールが存在することがわかりました。では、介護保険を利用できない場合はどうしたら良いのでしょうか。
介護保険を申請しても対象外になってしまった方や、同居家族がいるけれど食事の準備を頼みにくいケースも考えられます。また、介護保険範囲外の特別なお願いをしたい場合があるかもしれません。
ここからは、介護保険を利用しない場合の支援について確認していきましょう。
民間の配食サービスを利用する
介護保険で調理を頼まない場合には、民間の配食サービスを利用する方法があります。
配食サービスには、配達時に安否確認をしてもらえる事業者もあります。食事が摂れていない場合や異変を感じた場合にも、家族やケアマネジャーに連絡してもらえるので、一人暮らしの高齢者などが利用すると安心です。
最近は高齢者向けの配食サービスが数多く展開されており、様々な事業者から好みのサービスを選択できます。制限食・刻み食・ペースト食など細かい要望に応えられる配食サービスもあるので、持病のある方や嚥下困難の方も利用しやすくなっています。
民間の家事代行サービスを利用する
自宅で調理支援してもらいたい場合は、民間の家事代行サービスを利用するのも一つです。
民間サービスなので、介護保険内で対応できない範囲の、特別な料理や家族の食事なども依頼できます。ケアマネジャーを通す必要もないので、急な依頼やスポット利用も可能です。
ケアプランに組み込まれている必要もないので、調理以外にも希望する支援も依頼できます。
自治体のサービスを利用する
お住まいの自治体でも配食サービスを実施している場合があるので確認してみましょう。
サービス内容は自治体により異なります。配食サービスと安否確認を行っている自治体や、利用にかかった費用の一部を助成している自治体もあります。
サービス対象者の要件や、回数の制限などが設けられている場合もありますが、費用は民間より安価な場合が多いので確認してみると良いでしょう。
社会福祉協議会・シルバー人材センターなどのサービスを利用
社会福祉協議会は地域の方が安心して生活できるように、福祉についての相談やボランティア活動の支援などを行っている、営利を目的としない組織です。また、シルバー人材センターは、高年齢者の方が生きがいを得るために就業し、地域社会の活性化に貢献する組織です。
社会福祉協議会やシルバー人材センターなどでも、調理や買い物などの家事援助を頼める場合があります。配食や閉じこもり防止のため食事会を開催しているところもあります。
自治体や地域包括支援センターなどで情報が得られたり、ケアマネジャーが知っている場合もあるので相談してみるのも一つです。
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サービスをうまく活用してより良い食生活を
この記事では、ヘルパーに調理支援を頼める範囲やルールについて解説しました。
訪問介護サービスは介護保険を使った公的なサービスであるため、生きていく上での必要最低限のサービスしか受けられません。細かいルールが定められており、希望通りの利用ができない場合もありますが、介護保険外の民間サービスや自治体のサービスなどの選択肢もあります。
ケアマネジャーとよく相談し、サービスをうまく活用しながらより良い食生活が続けられるように工夫しましょう。
投稿者プロフィール
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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