デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
「要介護認定の申請はこれからだけど、実際どれくらいの要介護度になるか想定しておきたい。」
「要介護2の認定を受けたけど、適切かどうかわからない。」
このようにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
今回は、ご自身で簡易的に要介護認定の判定ができるシミュレーション方法をご紹介します。
シミュレーション結果はあくまで目安ですが、ご家族のおおよその要介護度や、認定時に確認される項目の把握にお役立てください。
介護保険サービスの利用には
要介護認定が必要
まずは、要介護認定についてご紹介します。
デイサービスや訪問介護、介護保険施設などの介護保険サービスを受けるには、要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定とは、高齢者の方が生活をするうえで必要となる介護の度合いを判定するものです。
要介護認定の申請をすると、「自立」「要支援1・2」「要介護1~5」のいずれかに認定されます。
※要介護度について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
要介護度の認定方法
次に、要介護度の認定方法についてご紹介します。
要介護認定は、以下の流れで実施されます。
- 訪問調査・医師の意見書
- 一次判定
- 二次判定
訪問調査とは、認定調査員と呼ばれる専門のスタッフが対象者の自宅を訪問し、生活の様子などを聞き取る調査です。
あわせて、普段の病状などを把握している主治医から、介護の必要性などについての意見書をもらいます。
これらの結果をもとに一次判定と二次判定が実施され、要介護度が認定されます。
ここでは、一次判定・二次判定についてさらに解説します。
1.一次判定
一次判定は、専用のコンピューターによる判定です。事前に実施された認定調査の結果と、医師の指示書の内容をもとに、機械的に判定されます。
一律の基準を用いることで、公平で客観的な判定がなされるようになっています。
2.二次判定
二次判定は、医療・福祉・保健の専門家で構成される「介護認定審査会」による最終判定です。
コンピューター判定では考慮しにくい個別の事情や、主治医の意見書などを含めて、総合的な視点から要介護度や認定期間を決定します。
一次判定の結果をシミュレーションする
続いて、簡易的に要介護度の認定ができるシミュレーション方法をご紹介します。
イチロウ株式会社が提供する「要介護認定一次判定シミュレーター」などを活用してみましょう。
ここではシミュレーターでも使用されている、一次判定の各項目の内容について解説します。
第1群
基本動作・起居動作機能の変化
最初の項目群は、「基本動作・起居動作機能の変化」です。
以下のような項目に対する評価を入力します。
- 麻痺のある部位があるか
- 座った状態を保持できるか
- つかまらずに歩行できるか
- 両足または片足で立った状態を保持できるか
- 視力や聴力の低下で日常生活に支障がないか
身体の状況や、基本的動作に対する介護の必要度合いなどを入力します。
第2群
生活機能(ADL・IEDL)
2つ目の項目群は、「生活機能」です。
日常生活で行う動作について、入力します。
- ベッドから椅子などへの移動に介助が必要か
- 食事を摂る際に介助が必要か
- 排せつは1人でできるか
- 着替えにどの程度介助が必要か
- どれくらい外出しているか
食事・排せつ・入浴や着替えなど、普段の生活においてどれくらい介助が必要かを判定する項目です。
第3群
認知機能(記憶・意思疎通)
3つ目の項目群は、「認知機能」です。
対象者の認知レベルについて入力します。
- 他者とスムーズに意思伝達ができるか
- 自身の名前や生年月日を言うことができるか
- 今の季節を理解できているか
- 徘徊行動がみられるか
- 外出して戻れないことがあるか
実際の訪問調査では、認定調査員が氏名や生年月日、季節などを質問し、答えられたかを入力します。
第4群
社会的行動の評価
4つ目の質問群は、「社会的行動」です。
集団生活への適応などを見る項目です。
- 昼夜が逆転している
- 同じ話を何度もする、物忘れが激しい
- 大声を出す
- 介護に対して抵抗感がある
- 物や衣服を隠すことがある
普段の状態をよく把握しておくことが大切です。
第5群
社会生活適応に関する評価
5つ目の項目群は、「社会生活適応」です。
生活する上で必要なスキルを確認します。
- 自身で薬を服用できる
- お金の管理ができる
- 自身で買い物ができる
- 日常生活における意思決定ができる
- 集団生活ができる
日常生活でどれくらい他者の介入が必要かを計測します。
第6群
特別な医療行為
6つ目の項目群は、「必要な医療行為」に関する内容です。
必要な処置や、特別な医療行為の有無を確認します。
一例をご紹介します。
処置内容 | 点滴の管理、透析、気管切開の処置、経管栄養、人工肛門の処置 など |
特別な医療行為 | 褥瘡の処置、カテーテルの処置 など |
必要な医療処置が多く高度であるほど、介護の必要性が高いと判断できます。
日常生活自立度(調査員)
「障害高齢者の日常生活自立度」と「認知症高齢者の日常生活自立度」から、該当するランクを入力します。
障害高齢者の日常生活自立度 | ・日常生活における自立度を評価したもの ・完全な「自立」から、自身で寝返りができない「寝たきり(C2)」までの9段階に分かれる |
認知症高齢者の日常生活自立度 | ・認知症の程度をふまえた上での日常生活の自立度を評価するもの ・完全な「自立」から、問題行動が見られるなど専門医療を必要とする「M」までの8段階に分かれる |
それぞれの基準は、以下を参考にしてください。
参照:厚生労働省「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」
厚生労働省「認知症高齢者の日常生活自立度」
主治医意見書(調査員)
最後に、主治医の意見書の内容を反映させます。
項目内容は以下5つです。
- 日常の意思決定を行うための認知行動の能力の程度
- 自分の意思を他者に伝えられるか
- 短期記憶に問題はあるか
- 自分で食事を摂れるか
- 認知症高齢者の日常生活自立度
シミュレーションの段階で主治医の指示書の内容がわからない場合は、想定される内容を入力しましょう。
認定シミュレーションはあくまでも参考程度に
今回は、要介護認定の判定方法や簡易的にシミュレーションできるツール、判定項目の詳細をご紹介しました。
インターネットで検索すると複数のシミュレーションサイトが見つかりますが、結果はあくまでも参考程度にとどめてください。
また、要介護認定で確認される項目を事前に確認するために、シミュレーションサイトを利用するのも有効でしょう。
ぜひ一度、対象の高齢者の方の実情に照らしながら、判定内容を確認してみてください。
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要介護認定 Q&A
最後に、要介護認定に関する疑問に一問一答形式でお応えします。
要介護認定の申請は、いつ頃行うとよいでしょうか?
要介護認定の申請は、介護保険サービスの利用開始予定日から1か月前には行っておくとよいでしょう。
要介護認定の結果が届くまでには、申請から1か月程度かかります。
余裕をもって早めに申請しておくと安心です。
要介護認定や介護保険制度については、どこに相談すれば良いですか?
「地域包括支援センター」を活用しましょう。
地域包括支援センターでは、高齢者の生活に関する総合的な相談を受け付けています。
保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーなどの専門家が在籍しています。
まずはお住まいの地域の地域包括支援センターに、相談するとよいでしょう。
投稿者プロフィール
- 神奈川県在住。Webライター。新卒で福祉企業に入社。ショートステイ、デイサービスで勤務したのち、デイ管理者や新規施設の立ち上げを担当。介護福祉士。2児のわんぱく男子を育てるフリーランスワーママ。
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