親の介護が始まり、遠方に住んでいる兄弟について悩んでいる方へ。
たとえ仲の良い兄弟姉妹であったとしても、親の介護が始まるとトラブルが発生することは多々あります。
親の介護に向き合わなければならなくなった際に、兄弟や姉妹の間で争うことなく協力し合うためにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは兄弟間で起こりがちな問題と対策について考えていきましょう。
誰が介護をする?
まず、親の介護における兄弟姉妹間でのトラブルの原因についてみていきます。
そのひとつが、風習です。「介護は長男の妻がするもの」という古い風習のせいで、負担を強いられているケースがあります。
長男であるがゆえに、近年では長女というのも対象になることもあるでしょう。
少しずつ時代とともに考え方が変わる家庭も増えてはいますが、未だに長男長女の考えを持つ人は少なくありません。
介護の不公平感
兄弟間では介護の負担の割合についてトラブルになることが多いです。
近くに住んでいたり、もともと親と(心の)距離感が近いなど、なんとなくそのままの流れで介護がスタートすることが多いのですが、いくら仲がいいと言っても、それぞれに生活があり、何もかもを任せきりにしていると不満が溜まります。
距離的にどうしても協力することができない兄弟でも、介護を担っている兄弟をねぎらう、金銭的に援助をするといった、別の角度からサポートしてもらいたいですね。
また、介護の負担がない兄弟が、口だけを出すケースは大きなトラブルになる可能性があります。実際に親の状況を見ながら自分の生活を犠牲にしつつ介護を担っているのにも関わらず、介護の負担のない兄弟に「〇〇をしたほうがいい」「するべきだ」「〇〇はすべきでない」など、意見をされると腹が立ちます。
こういう面では自分がサポートができるから、これをやってみないか。こういうサービスの利用なら(介護を担っている兄弟の)負担が減るのではないか。そういう視点での声掛けが大切です。
もしもあなたが「介護を担っている側」で、こうした兄弟間の不満があるのなら、感情的になるのをぐっとおさえて「自分は今こういう状態で、このサービスを使うと少し楽になる。可能であればこの部分をサポートしてもらえないか」と伝えてみるのはどうでしょうか。
どうしても家族間は感情的になりやすく、理解してもらえないことに苛立つことも多いですが、感情的に話をしたところでトラブルが大きくなるだけです。ひと呼吸おいて、気持ちを素直に伝えるようにしてみましょう。
アンガーマネジメントという方法もあります。感情的になりやすい場面で役に立つかもしれません。
金銭的な問題
介護問題から財産に関するトラブルも多くなります。
残念な話ですが、介護を担った兄弟が財産を多くもらいたいからと、そこで話がこじれるケースです。親がまだ元気なのに…と思うかもしれませんが、事実、多くの過程で起こっています。
それまで親に近寄らなかった兄弟が、親に介護が必要になった途端に近寄ってきた。財産目的だ!ということで揉めるなんていうことも、よくある話です。
家族も仲が良いところばかりではないですからね…。
しかし、ケンカをしたところで何も解決には向かいません。感情的になるのではなく、きちんと法律的に、もしくは、親の意思のもとに解決するのが賢明です。
このような事態にならないために
距離が離れた兄弟と親の介護の問題でトラブルに発展する前に、まずは介護が始まっていない段階で準備できること、知っておくことを確認することが何よりも重要です。
そのためにも親自身の考え、意思などを確認することからスタートしてみましょう。それらを兄弟姉妹の皆で共有しておくのです。まだまだ親が元気なうちに介護の話をする事は気が引けてしまうかもしれませんが、介護に関わる話題をさりげなく振ってみることも1つです。
介護が必要になった時に現在の家に住み続けたい、誰かと同居したい、施設に入りたいなどの考えだけでも確認します。親にも考えは様々であるため、子供たちが勝手に決めつけるのではなく、伝えられることがあれば教えてほしいと聞いてみると良いでしょう。
そして兄弟姉妹全員でできることとできないことを確認しておきましょう。
遠方の兄弟となると日々関わるというのはやはり難しくなります。介護の中心人物を決めて、それ以外の役割も明確に定めておきます。遠方だからといって何もできないわけではありません。遠方でなかなか協力できないのであれば、資金の援助をしたり週末だけ手伝う、定期的に親に電話をかけるなど、何か少しでもできることがあるはずです。これらにより介護の負担が1人に集中しないようにすることができます。
見てわかる介護保険&サービス 上手な使い方教えます
2024年4月実施の介護保険改正と介護報酬改定に全面対応! ますます複雑になっていく介護保険制度と介護のサービスについて,やさしい言葉と豊富なイラストと図解でコンパクトにまとめたハンドブックです。
要介護申請から,ケアプラン作成,サービスの利用までを流れに沿って解説します。
また,サービスの特徴や利用のポイント,費用のめやすなど,使う人が知りたい情報を厳選して掲載。
障害や医療など介護に関連する他制度のサービスについても掲載しています。
こちらもおすすめ
医者が教える非まじめ介護のすすめ
大塚宣夫 (著)
社会のため、親のため。世間の、あるいは自分の中の「~すべき」といった、「介護の常識」に縛られていませんか?
「介護はかくあらねばならぬ」という常識を一度、捨てましょう。看る側と看られる側、互いの思いを理解し、前向きに“老い”を受け入れたうえで、肩の力を抜いて介護と向き合いませんか。
阿川佐和子さん推薦!!「この本を読んだらきっと心が軽くなるでしょう!」
よみうりランド慶友病院・大塚宣夫先生の上手に気楽に介護を乗り切る50のヒント!
「家族介護」のきほん
アラジン(著)
「介護する人」に寄り添う、在宅介護の実用書!
20年以上にわたり、介護をしている家族の相談やサポートを続けているNPO法人の「アラジン」の蓄積された経験や豊富な相談事例をもとに、介護者の暮らしや人生に寄り添った、リアルな介護の乗り切り方を伝授します。
投稿者プロフィール
- 介護の経験を持つ方に体験談を教えて頂くシリーズ。
最新の投稿
- 介護の悩み2023年2月10日20代で親の介護が必要になった。仕事と介護の両立の仕方
- 親の介護コラム2023年2月10日30代独身で親の介護|シングルマザーの私の生活はどうなる?
- 介護の悩み2023年2月10日在宅介護が辛いとき。経験者が語る辛い気持ちを軽減させる方法
- 若年性認知症2023年2月10日家族が若年性認知症に!どんな支援がある?支援は受けられる?
コメント