親の介護が必要になったとき、まず気になるのが「費用」です。 「どれくらいかかるのか」「どこまで負担すればいいのか」「制度でどこまで補えるのか」——不安は尽きません。
この記事では、「親の介護 費用 平均」という視点から、在宅介護と施設介護の費用の違い、初期費用の目安、そして負担を軽減できる制度までを網羅的に解説します。
在宅介護の費用の平均は?

厚生労働省の調査によると、在宅介護にかかる月額費用の平均は約4.8万円です。 この金額には、訪問介護や通所サービス、福祉用具のレンタルなどが含まれます。
在宅介護の費用内訳(例)
- 訪問介護(ヘルパー):約1〜2万円
- デイサービス:約1〜2万円
- 福祉用具レンタル:数千円〜1万円
- 食費・おむつ代など:数千円〜
約47%の家庭が月額5万円以下で介護を行っており、さらに約30%は月額2万5千円以下で済ませているというデータもあります。
ただし、在宅介護では住宅の改修費や介護ベッドの購入など、初期費用がかかるケースもあります。
施設入所の費用平均は?
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出典:令和3年度 生命保険に関する全国実態調査〈図表Ⅱ−63〉 介護費用(月額)(介護を行った場所別)
一方、介護施設に入所した場合の月額費用平均は約12.2万円です。 施設の種類や要介護度によって金額は大きく異なりますが、在宅介護の約2.5倍の負担になることが多いです。
施設介護の費用内訳(例)
- 施設利用料:7〜10万円
- 食費・居住費:2〜3万円
- 医療費・雑費:数千円〜
約58%の人が月額10万円以上の費用を負担しており、15万円以上かかっているケースも珍しくありません。
一時的な初期費用の平均は?

介護開始時にかかる一時的な費用の平均は約74万円とされています。 この金額には、住宅改修、福祉用具の購入、施設入所時の入居金などが含まれます。
ただし、約15.8%の人は初期費用がほとんどかからなかったというデータもあり、工夫次第で抑えることも可能です。(令和3年度 生命保険に関する全国実態調査)※1
親の介護費用は誰が負担する?

基本的には、親の年金や預貯金から支払うのが理想です。 年金の受給額は「年金振込通知書」で確認でき、実際の振込額と控除後の金額を把握しておくことが重要です。
ただし、年金だけでは足りない場合、子ども世代が補填するケースも多く、家計への影響は無視できません。
介護費用の負担は、親の年金や貯蓄でまかなえるのが理想ですが、現実には子ども世代が一部または全額を負担するケースも少なくありません。特に、親が年金だけでは生活できない場合や、施設入所などで費用が高額になる場合は、家族の支援が不可欠です。
兄弟姉妹がいる場合は、費用分担について事前に話し合っておくことが重要です。「長男だから」「近くに住んでいるから」といった曖昧な役割分担では、後々トラブルになることもあります。収入や生活状況に応じて、無理のない範囲で協力し合える体制を整えることが、介護の継続性にもつながります。
また、親の資産状況を把握することも大切です。預貯金や年金の受給額、保険の有無などを確認し、必要であれば成年後見制度や家族信託などの法的手段を検討することで、費用管理のトラブルを防ぐことができます。
介護は感情的な負担も大きいため、費用の話は避けがちですが、早めにオープンな対話を始めることで、家族全体が安心して介護に向き合える環境が整います。
介護離職の前に知っておきたい制度

介護のために仕事を辞める「介護離職」は、収入ゼロになるリスクがあります。 しかし、働きながら介護を続けるための制度も整ってきています。
利用できる制度例
- 介護休業給付金:最大67%の給与補償(雇用保険加入者対象)
- 時短勤務制度:会社によっては柔軟な働き方が可能
- 介護保険サービス:訪問介護・通所介護などを活用して負担軽減
離職せずに済む方法を視野に入れることで、生活の安定を保ちながら介護に向き合えます。
費用負担を軽減できる公的制度
介護費用の負担を減らすために、以下のような制度を活用することができます。
控除制度
- 医療費控除:介護費用も対象になる場合あり
- 障害者控除:要介護認定だけでは対象外。市町村での申請が必要
- 扶養控除:親を扶養している場合、所得税・住民税の控除対象に
補助金・助成制度
- 住宅改修費助成:手すり設置や段差解消などの改修費を補助
- 高額介護サービス費制度:月額の自己負担が一定額を超えた場合に払い戻し
- 高額療養費制度:医療費が高額になった場合の補助
これらの制度は、所得や要介護度によって適用条件が異なるため、事前に市役所やケアマネジャーに相談するのがおすすめです。

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地域の支援サービスも活用しよう
自治体によっては、介護費用を抑えるための地域支援サービスも充実しています。
例:広島市の支援サービス
- おむつの支給
- お弁当の宅配(1食400円以下)
- 理美容サービスの訪問
- 地域包括支援センターでの相談窓口
こうしたサービスを活用することで、介護費用の負担を大きく減らすことができます。
地域の支援サービスは、介護費用の負担を軽減するだけでなく、介護者の心身の負担を和らげる重要な役割を果たします。自治体によって内容は異なりますが、広島市をはじめ多くの市町村では、介護者向けの相談窓口や高齢者向けの生活支援サービスが充実しています。
たとえば、「地域包括支援センター」は、介護に関する相談、サービスの紹介、ケアプランの作成支援などを無料で受けることができます。また、要介護認定を受けた方には、おむつ支給や紙パンツの助成、配食サービス、訪問理美容などの支援が提供されることもあります。
こうしたサービスは、申請が必要なものも多いため、まずは市役所や地域包括支援センターに問い合わせるのがおすすめです。制度の存在を知らずに損をしているケースも多いため、「使えるものは使う」という意識が大切です。
さらに、地域のボランティア団体やNPOが運営する「介護者カフェ」「交流サロン」なども、情報交換や気分転換の場として活用できます。孤立しがちな介護生活の中で、同じ立場の人とつながることは、精神的な支えにもなります。

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まとめ:親の介護費用は平均を知り、制度を活用して乗り越える

親の介護 費用 平均」は、在宅なら月額約4.8万円、施設なら約12.2万円が目安です。 初期費用は平均74万円ですが、制度や支援を活用することで、負担を大きく軽減できます。
介護は長期戦。だからこそ、知識と制度の活用がカギになります。 「知らなかった」ではなく、「知っていてよかった」と思えるよう、今から準備を始めましょう。
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投稿者プロフィール

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元銀行員。40代副業ライター。
得意分野は介護と金融
時々犬(愛犬家・証券外務員2種保有)
脳卒中による半身麻痺、
大腸がんなど病気のオンパレードで
認知症状も増えてきた父親の介護を
10年以上やっています。
モットーは「毎日明るく」マンガと小説好き。
介護ストレスと上手に付き合っています。
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