親ががんになったら仕事辞める?親ががんになったあなたへ

病気・ケガ

がんは私たちにとって身近な病気になりました。近年の医療発達により、がんも克服できる病気だといわれるようになってきましたが、いざ宣告されると頭が真っ白になりますよね。
家族ががんになったら、治療生活を支えていくために仕事を辞める選択をする方もいるでしょう。がんになった人の家族は、ストレスがかかりやすく精神的にも負荷が大きいため「第二の患者」とも呼ばれています。家族を支え、自分自身も守っていくため、この記事では、親ががんになったときにどうしたらいいのかというお悩みに答えていきます。

親ががんになったときにまずするべきことは

いざ親ががんであると告げられたときに、何からするべきなのでしょうか。本人はもちろん、家族もショックで混乱するかと思います。がんだと告げられてから最初にするべきこと2つをご紹介します。

親の代わりに医療費を確認

親が困っていたら助けたいと思う方がほとんどだと思います。しかしがんの治療費などの経済的なことも含めて、自分たちで支えられると答えられる人は少ないのではないでしょうか。がんだと告げられた本人はショックと動揺で正しい判断をできない状態にあります。
そこで親の代わりにまず確認しておきたいのが医療費です。がんの治療費は進行具合や場所によって大きく変わりますが、高額になることがほとんど。そうなった場合は、高額療養費制度で自己負担の上限を設定しましょう。

さらに高額介護合算療養費制度といって、自己負担する医療費と介護費が高額になった際に適用される制度もあります。健康保険の扶養に親が入っていれば、追加で特別給付を受けられる場合があります。親が加入している生命保険の保障内容も確認しておきましょう。一通り確認したら、その内容を親と共有しておくと、後々慌てずに済みます。

治療方針を決める

最初に確認しておきたいのが治療方針を決める基礎となる標準治療です。標準治療とは、がんだと診断された本人とその家族が選択できる治療方法です。治療効果や安全性が高いとされ、医学的に推奨されています。
がん治療の選択肢はいくつもありますが、本人に最も合った治療を選んでいきたいですよね。早く親を助けたい気持ちは分かりますが、ここで大切なのは治療方針の決定を先走らないことです。家族が一旦冷静になって考えましょう。

治療法を選択する際に、自分で調べる方もいると思います。その場合にインターネットを過信しすぎないようにしましょう。近年ではほしい情報がいくらでも手に入る時代です。あまりの情報量の多さに時間も手間も奪われてしまいますし、果たしてその情報が本当に正しいかどうかも分かりません。だからこそ、まずは主治医と相談し、標準治療ならどこまで治療できるのか、検討していくことをおすすめします。

親の看病と仕事を両立させる方法

親ががんになったら、仕事を続けていけるのか悩む方が多いのではないでしょうか?親の看病をしながら、自分の仕事も続けていくことはハードルが高く感じてしまうかもしれません。次は看病と仕事を両立させる方法をお伝えします。

通院の送迎や付き添いは有休をうまく活用して

「親や家族ががんになったから仕事を辞めないと…」と考えるのは一旦ストップしてください。確かにがんは深刻な病気です。しかし前述したように、医学の発達により克服できるケースも増えてきています。
しかしながら厚生労働省の資料によると、がんだと告げられてから仕事を辞めた人で35%が依願退職や解雇、自営業者の17%が廃業しています。さらにがんと診断されて、治療を開始するまでに離職した人は4割となっています。この結果から「がんは治らない」と多くの人が思っていることが分かりますね。
これは、がん患者本人のデータではありますが、そんながんにかかった親や家族を支えるために、自分も離職してサポートに専念するべきなのでは、と考える人は少なくないのではないでしょうか。だからといってすぐに離職を選択するのではなく、今後の見通しを立てていきましょう。

治療を進めていくうえで介護がどれくらい必要なのか、今後どういう見通しになるかなど、治療方法を選択する材料として主治医にしっかり確認しましょう。すぐに介護離職を決断する必要はありません。治療が通院になった場合の送迎や付き添いなどは、有給をうまく活用しましょう。そのためには会社にもしっかり相談することが必要です。

介護が必要な場合は介護休暇を利用

仕事をしながら、がんになった親を支えていくためには介護休暇や介護休業といった制度を利用しましょう。病気やけがで介護が2週間以上必要となった場合、年5日まで介護休暇を利用することができます。
介護休暇と同じような介護休業という制度もあります。介護休暇と違う点は、ある程度まとまった期間で休みを取得することができることです。家族1人につき3回まで取得でき、通算で93日まで休業できます。がんになった家族を支えたいあまり、介護する側がストレスをためてしまったり、身体を休める暇がなかったりする場合は、こういった制度を利用していきたいですね。

看病と仕事で疲れてしまわないために

治療の見通しも立てて、介護休暇・休業制度を利用し始めたとしても、サポートする側が倒れてしまっては元も子もありません。支える人がストレスをためて自暴自棄になることは、家族ががんになったら絶対してはいけないことです。介護する自分も守りながら、看病と仕事の両立をさせるために心がけたいことを3つお伝えします。

自分の生活も大切にする

当たり前のことかもしれませんが、看病中に自分の生活も大切にできる人は少ないでしょう。これは「自分よりがんになった親の方が辛い思いをしているから、少しぐらい我慢しないと」という心理が原因です。サポートする人が「第二の患者」といわれる理由も、ここに起因するかもしれません。
看病のために実家に帰る選択をする人もいるでしょうが、ずっと気をはり続けてストレスがたまった状態で関わることは、双方にとってもあまりいいこととはいえません。たまには患者から離れてリラックスできる時間を意図的に作るようにしましょう。

相談できる場所を作る

看病は孤独になりがちです。支える側は「自分がしっかりしないと」と気をはりつめてしまいがちです。ましてやがんの治療が長期間・大がかりなものになると、さまざまな問題を抱え込むことになるでしょう。一人で抱え込まないためには、親のがんについて相談できる味方を作ることが大切です。

そこで活用したいのが、全国のがん診療連携拠点病院や地域がん診療病院、小児がん拠点病院に設置されているがん専門相談窓口の、がん相談支援センターです。生活全般の相談に乗ってくれるソーシャルワーカーや、がんに詳しい看護師が在籍しています。

注意したいのは、医師ではないので治療に関する相談はできないということです。がんと向き合うための知識や情報を入手できるでしょう。なるべくがんを相談できる味方を増やしながら、がんの治療・看病に取り組んでいきましょう。

会社にしっかり相談する

親ががんだと診断されたときに、職場へ報告するか迷う人もいるのではないでしょうか。会社にしっかり相談することも、看病と仕事の両立において大切なことです。

介護休暇・介護休業の利用ができることは先ほど紹介しましたが、会社によって法定期間以上の休暇を定めていることがあります。どう休暇を利用するかが大事になってきますが、分割や長期など選択肢はさまざま。介護のために休んだ期間は、介護休業給付金が雇用保険から受けられます。治療のサポートに専念できるよう、理解と協力をお願いしましょう。

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まとめ

家族ががんになったらどうしたらいいのかお話ししてきました。いざそうなったとき慌てないためにも、なかなか話しにくいお金のことや将来設計など今一度家族と話し合ってみてはいかがでしょうか。看病と仕事の両立のために、お伝えした制度や相談窓口の活用も検討してみてくださいね。少しでも今悩まれている方の役に立てれば幸いです。

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