親ががんになった場合の治療費はどれくらい?お金がないときの対策は

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親ががんになったけれど、治療費がどれくらいかかるのか不安、という方はいませんか。また、お金がないので治療費が払えない…という人もいるのではないでしょうか。
この記事では、がんの治療費の内訳を詳しく解説するとともに、がんの治療費を補助してくれる公的な制度や、治療費が払えないときに相談できる窓口を紹介します。

がんの治療にかかる費用の内訳は?

メットライフ生命の調査によると、はじめてがんになった場合、治療費の平均は43万円です。また、ステージ(病期)が進行するほど、治療費が高くなります。治療にかかる内訳は以下の通りです。

・検査・診察費用

がんの有無および今後の治療方針などのために行われる検査の費用です。

血液検査・CT・MRI・超音波・レントゲン・画像・エコー・PET・内視鏡・生体・病理などの検査が行われます。

診察費用には初診および再診・投薬・注射などが含まれます。

・手術費用

がんの病変部を取り除く手術にかかる費用です。腹腔鏡下手術や開腹手術などの種類があります。

・抗がん剤治療費用

手術だけではがんを取り除けない場合や手術前にがんを小さくする場合、また手術後の再発防止の目的で行われる治療にかかる費用です。

・放射線治療費用

放射線を当ててがん細胞を破壊し、治療するための費用です。

・薬・入院費用

治療のために服薬する薬代や入院基本料などです。

・その他の費用

上記に挙げたのは、治療に関連する費用ですが、このほかにも治療には直接関連しない費用も必要です。具体的には以下の通りです。

・入院時の食事代・個室を希望した場合の差額ベッド代
・通院にかかる交通費
・入院時の生活用品や娯楽用品の購入費用
・診断書および生命保険会社への証明書作成費用

メットライフ生命の調査によると、これらの費用は平均22万円ほどかかります。前述した医療費の平均43万円と合わせると、がんになった場合およそ65万円の費用が必要になるのです。

また、がんの治療には公的な健康保険が適用されない先進医療などの治療法があります。これらの治療は全額自費負担となるので、高額な費用がかかるでしょう。

公的な制度を利用しよう

がんの治療にはある程度の費用がかかってしまうので、「親のがんの治療費や入院費を子供が払う義務があるのか?」と悩んでいる方もいるでしょう。しかし、公的な制度を利用すれば、経済的な支援を受けることが可能です。ここからは、主な公的制度をご紹介します。

高額医療費制度

高額医療費制度とは、医療費が一定の限度額を超えると金額が払い戻される制度です。限度額は所得によって異なります。また、70歳未満と70歳以上でも限度額が変わります。

70歳未満の限度額は、以下の計算式で計算することができます。

年収計算式
1,160万円以上25万2,600円+(医療費-84万2,000円)×0,01
770万円以上1,160万円未満16万7,400円+(医療費-55万8,0000円)×0,01
370万円以上770万円未満8万100円+(医療費-26万7,000円)×0,01
370万円未満5万7,600円
住民税非課税3万5,400円

70歳以上になると、所得によって適用区分が分かれます。また、外来のみの自己負担の限度額も設定されます。

適用区分1ヵ月の上限の計算式(世帯ごと)外来(個人ごと)
現役並現役並所得者Ⅲ(年収1,160万円以上)25万2,600円+(医療費-84万2,000円)×0,01 
現役並所得者Ⅱ(年収770万円~1,160万円)16万7,400円+(医療費-55万8,0000円)×0,01 
現役並所得者Ⅰ(年収370万円~770万円)8万100円+(医療費-26万7,000円)×0,01 
一般年収156万円~370万円57,600円18,000円(年間144,000円)
住民税非課税等Ⅱ住民税非課税世帯24,600円8,000円
Ⅰ住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下等)15,000円8,000円

あらかじめ医療費が高額になることが想定される場合は、加入している健康保険から「限度額適用認定証」を取り寄せ、医療機関に提出すれば、限度額の支払いのみでよくなります。

医療費の支払い金額は、毎月1日から月末までの期間で計算されるので、月をまたぐと高額医療費制度が使えない場合もあるので注意が必要です。

傷病手当金

親が健康保険に加入している会社員や公務員の場合は、がんの治療のために仕事を休めば「傷病手当金」が給付されます。また、治療期間中に退職したとしても、退職までに継続して1年以上被保険者の期間があり、それまでも傷病手当金を受給していた場合、引き続き給付を受けられることがあります。勤務先の担当となる部署に相談してみましょう。

給付金額は1日につき標準報酬日額の3分の2で、会社を連続して3日休んだうえで、4日目から支給されます。支給期間は支給日から通算1年6ヵ月です。ただし、一部を除く国民健康保険にはこの制度がないので注意しましょう。

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介護保険が使える場合も

40歳以上で医療保険に加入しており、末期がんになった人は、介護保険の対象になります。介護保険が使えれば、車いすや介護用ベッド、訪問介護サービスが1割負担で利用できるでしょう。

ただし、介護保険を利用するには申請が必要です。通常介護保険の申請から認定まで、1ヵ月程度の時間を要します。がんを患うと病状が急に進行することも珍しくありません。1ヵ月も待っていられない…というケースもあるでしょう。

そこで、病院に入院している間に早めに介護保険の申請を済ませることが大切です。

治療費の相談はどこでできる?

親ががんになったために働けなくなり、治療費や生活費に困っている…という場合は、各医療機関の窓口やソーシャルワーカー、がん相談支援センターに相談するとよいでしょう。

中でもがん相談支援センターは、全国の「がん診療連携拠点病院」や「地域がん診療病院」に設置されているので、親の通院の付き添い時に相談することができるでしょう。

 

まとめ

親ががんになった時にはお金の心配もでてきます。「がんお金無い」でネット検索したり、がんの治療費が払えない場合はどうすればいいかヤフー知恵袋や体験談のブログを閲覧したりした人もいるでしょう。一人で悩んでも解決策は出てきません。相談窓口や公的制度を利用すれば負担を軽くすることができるので、相談しましょう。

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