介護に関するボランティアは、介護施設や地域の高齢者のために自らすすんで行う支援活動です。
興味はあるけれど「どんなことをするのかな?」「自分にできるのかな?」など気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事ではボランティアを通して地域社会に貢献したい方や、ボランティアをしながら施設の雰囲気に触れてみたい方などに参考になる内容を解説します。
介護のボランティアでできる内容とは?
高齢者に関わるボランティアには、介護施設などに赴いて行うものや、地域にお住まいの高齢者のサポートをするものなどがあります。
どのようなことが高齢者に喜ばれるのか、どのような貢献ができるのかを確認しておきましょう。
施設等で利用者とのコミュニケーション
介護施設にお住まいの高齢者には、お話し相手を求めている方が多くいます。ボランティアの方がご利用者とコミュニケーションの時間を作ってもらえるのは、施設のスタッフにとってもありがたいことです。
ボランティアで行うコミュニケーション方法の一例は以下の通りです。
- ご利用者のお話し相手・傾聴
- 娯楽を一緒に楽しむ(囲碁、将棋・手芸など)
- 散歩やお出かけに付き添う
- 新聞や本の朗読
介護スタッフは日々の業務に追われており、ご利用者とゆっくりとお話をしたりコミュニケーションの時間を取ったりすることができません。ボランティアの方にお話し相手をしてもらうことで認知症のある方の周辺症状が落ち着いたり、寂しさを感じている方の笑顔が見れたります。
特技を活かしてイベント・レクリエーション
ご利用者に喜んでもらえるイベントやレクリエーションを考えるのも、忙しい施設のスタッフには大変な仕事です。
イベント系のボランティアは、日常生活にプラスの楽しみや刺激が与えられます。複数人の前で披露して楽しんでもらうものや習い事の講師などは、施設のボランティアとして喜んでもらえます。
複数人の前で披露して楽しんでもらうものは、歌・演奏・手品・演芸・朗読などです。習い事の講師には、絵画・手芸・工作、折り紙・書道・絵手紙・フラワーアレンジメント・料理やお菓子作りなどがあります。
女性のご利用者様にネイルやメイクなどの美容やハンドマッサージなども喜ばれます。
趣味や特技を活かしたレクリエーションは、誰でもできるものではないため価値のある時間が提供できるでしょう。
施設等での簡単な業務補助
施設スタッフの業務を手伝うこともできます。雑用などは忙しい介護スタッフが助かるケースがあります。
簡単な業務補助は以下のようなものです。
- 施設の掃除
- 食事の手伝い(お茶くみ・配膳)
- 花壇の手入れ
- 雑用(シーツ交換・備品の補充)
- 入浴後のドライヤーかけ
業務の補助はスタッフの指示のもと行うボランティアです。ご利用者はの直接介護などはできませんが、簡単な指示で誰でもできるような雑用を引き受けると喜んでもらえるでしょう。
地域に住んでいる認知症の方へのサポート活動
施設に行かなくても、地域にお住まいの高齢者のサポートも可能です。
全国の各地域では、お一人暮らしの高齢者や認知症のある方を地域で見守るためのサポート活動をしています。
たとえば、各地域で開催されている認知症サポーター養成講座などで認知症の方のサポートについて学ぶのは、ボランティア活動への近道です。
受講後に地域で開催される認知症カフェのお手伝いや、傾聴ボランティアなどに活かせます。
地域包括支援センターなどの専門職と連携し高齢者の自宅を訪問するなど、個別支援をしている地域もあり活躍の場が広がります。
介護ボランティアはどこで探す?
介護ボランティアを探す場合、社会福祉協議会や地域包括支援センターに問い合わせると、ボランテイアの情報が得られるでしょう。
社会福祉協議会にはボランティアセンターがあるためボランティア活動の橋渡しをしてもらえます。どのようなボランティアを求めているかが明確なので応募もしやすいはずです。
介護施設に直接問い合わせたり、ボランティアを募集しているNPO法人に連絡してみたりするのも一つです。
介護ボランティアにはメリットが多い
ボランティア活動って大変そう…と感じてしまい、なかなか一歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。介護ボランティアにはメリットがたくさんあります。メリットを知ると介護ボランティアをしてみたくなるかもしれません!
高齢者と関わることで学びが得られる
高齢者と関わることで多くの学びが得られるのが、ボランティアのメリットです。人生の大先輩である高齢者は、今までの人生でさまざまな経験をしています。昔ながらの知恵や苦労したお話などを聴くことで人生の勉強をさせてもらえます。
また、思いやりなど大切なことを思い出させてもらえ、何となく気持ちがほっこりと癒しの時間をもらえることもあります。
社会貢献ができる
高齢者施設はどうしても閉ざされた空間になりがちです。しかし、ボランティアを受け入れ、地域に住んでいるボランティアの方と交流することによって風通しの良い開かれた雰囲気になります。
また、慢性的な人手不足が社会的な問題でもある介護の現場で、忙しい介護職員の負担軽減に繋がるお手伝いも社会貢献になるでしょう。
レクリエーションを開催したり、ご利用者とコミュニケーションをとったりすることは、ご利用者の生活の質を向上させ人生に楽しみを与えられます。
経験が自分の人生に役立つ
ボランティアの経験は、自分の良い人生経験になります。今後、自分の家族に介護が必要になった時にも経験が役立つでしょう。
また、介護職に興味のある方にとっては、介護職の適性をチェックできるチャンスにもなります。介護施設でボランティア活動に参加すると業務の経験を積むことができます。ただし、実務経験には入らないので注意が必要です。
介護ボランティアの準備・心構え
介護のボランティアには特別な資格や経験は必要ありません。しかし、高齢者と関わることなので、最低限の心構えや準備をしておくと安心です。
基本的なマナー・ルールに注意する
高齢者施設は、心身の状態に不安を持つ高齢者の生活の場であり、介護スタッフの方が日々の業務に追われて忙しく働く現場です。
基本的なマナーに注意してボランティアに臨みましょう。
- 笑顔で接する
- 挨拶をしっかりする
- 体調管理を徹底する
- 感染症予防に注意を払う
- 入居者の方の視点立って言動する
- 高齢者の心身状況を理解する(体調・認知症)
- 施設のルールを守る
- 職員の指示に従う
- ボランティア範囲外のことはしない
- 個人情報は漏らさない(立ち入ったことを聞かない)
ボランティアが介護スタッフの手をわずらわせてしまっては本末転倒です。基本的な基本的なマナー・ルールを徹底し、ご利用者やスタッフに喜んでもらえる行動をしましょう。
心配な方はボランティア養成講座に参してみる
特別な資格や経験が要らないとは言え、初めて高齢者と関わる方にとっては、ボランティア活動をするのに不安な方もいるかもしれません。
そのような方は、各地で開催されているボランティア養成講座に参加してみると良いでしょう。
- 認知症サポーター養成講座
- 傾聴ボランティア養成講座
- 朗読ボランティア養成講座
- 福祉レクリエーション講座
社会福祉協議会などで開催されているのでチェックしてみてください。
ボランティア保険に加入しておくと安心
ボランティア活動では、事故を起こしてしまったりケガをしてしまったりする可能性があります。ボランティア保険に加入しておけば安心して活動ができます。
ボランティア保険にはいろいろな種類があり保証も違うため、じっくり比較検討し加入する保険を選ぶことが必要です。
迷ってしまう場合は社会福祉協議会でも相談できます。
「ボランティアポイント制」の取り組みが広がっている
平成26年の介護保険法改正で地域支援事業における介護予防事業が再編されました。
介護予防を推進する取り組みの一つである「通いの場」での担い手確保や、参加を推進する目的で、ボランティア等へのポイント付与するボランティアポイント制度も行われています。
令和元年度でボランティアポイント制度を導入している市町村は全体の34.1%。
取り組み方法は市町村によって違いますが、ボランティアを行ってポイントを貯めると、お買い物券やバスカード・オリジナル商品などに交換できるシステムになっています。
お住まいの自治体での取り組みを調べてみましょう。
介護ボランティアの需要は高まっている
この記事では、介護ボランティアについて解説しました。
介護ボランティアの需要は高まっており、介護保険における地域支援事業の取り組みでもボランティアポイント制度の導入などで推進されています。
65歳以上の高齢者をボランティアポイント制の対象者にしている自治体もあり、まだまだお元気な高齢者が活躍しています。高齢者を地域で支える取り組みに参加することが自身の介護予防にもつながっているのです。
誰でも参加できるボランティア。興味のある方は社会貢献してみてはいかがでしょう。
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投稿者プロフィール
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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