遠距離で介護は可能なのでしょうか。介護度・周囲の支えなども交えて、経験者が語ります。これは、匿名であることを条件に自身の介護経験をお話するコラムです。
遠距離で暮らす母
自分を育ててくれた母の介護は負担や迷惑な気持ちは一切ありませんし、できる限り支えたいと考えています。一人で暮らす母が心配ではありますが、兄弟全員、県外へ出ていて、仕事や家庭の都合上、一緒に暮らすことが出来ない状況です。
遠距離なことから老人ホームなどの利用という方法もあったのですが、母は自分の生活を変えたくないという気持ちがありましたし、今まで暮らしてきた場所を離れることは、精神的にも負担が大きいのではないかと考えました。
介護が始まる前の準備
仕事が休みの日に顔を出すようにしていても頻繁には会いに行くことは難しく、元気にしているのか気がかりなことは多々ありました。
しかし、今後母が困らないために、いつか介護が始まることを想定し、たくさんのことを準備してきました。
生活費についてあらかじめ母と相談しておいたり、母自身が介護されることについてどのように考えているのかの意見を聞き、身体のケアや買い物など一人で行う際の負担を少なくするために、介護サービス事業者などはどのようなものがあるのかを調べ、何かあったときにすぐに駆け付けることが出来るようにと、姉や弟と担当を決めておきました。
母は何かあったときに私たちが困らないよう、エンディングノートに銀行や自分の介護に対する思いなどをまとめてくれています。帰省するたびに少しずつ記入が増えており、私たちも事あるごとに見ては、それについて話をしたりしています。
わたしの安心ノート
元気なうちから自分自身の考えや希望を書きとめておくノートです。
頼れるものは頼る・便利な道具はどんどん使う
身体だけでなく精神的にも今までと変わらず生活してほしいので、何かあったらすぐに駆け付け、毎日様子を見に行ってくれる周囲の協力は必要不可欠です。今のところある程度自立した生活を送れていますが、何かあったときには介護サービスの利用を検討しています。母自身もできるだけ私たち家族の負担になりたくないといっており、介護サービスのお世話になると言っています。
今は、自分たちでも母の生活リズムを確認できるために、毎日使用するテレビやポットに通信機器を設置しています。ポットは毎日お茶を飲むときに昔から使用してますし、テレビも朝起きると必ず電源を入れるため、遠距離になってもこの生活を変えない話し合いをしました。約束を守ってくれているため、離れていても起きた時間や毎日変わらない生活を、安心して見守ることが出来ています。監視カメラなどの設置は安心出来るかもしれませんが、プライバシーが保たれないと考え、母自身も監視カメラに頼ってしまいいつでも一緒に暮らしている感覚から、自分でできることでもしなくなる可能性があると思い通信機器の設置にしました。
まとめ
遠距離は不安がありますし、心配なことはたくさんあります。しかし、そのための話し合いを行い、準備しておくことで不安や心配の数も減りますし、何より母が今までの生活をつづけながら介護をすることが可能になります。離れているからできないわけではありません。離れていても安全や健康を確認することが出来ますし、様子を見てもらうこともできます。家族が負担になりストレスや疲れ切ってしまわないために、情報交換や周囲、姉や弟との協力などをえることで母も介護に対するストレスがありません。
もっとできることはあるんじゃないかとチクリと胸が痛い日もあります。ただ実際のところ、母の状態が良いので、現在の状況がキープできているんだろうとは思います。もっと介護度がすすめば、もっといろんな問題が見えてくるのかもしれません。穏やかな日々が続くことをねがってやみません。
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