高齢になって、病気になったり思わぬ怪我をしてしまったり、何かと病院通いが多くなっている方も多いのではないでしょうか。
年齢を重ねると複数の持病を抱える方や生活習慣病が心配な方など、日頃の健康管理も大切になってくるため、自分の体調をわかってもらえる「かかりつけ医」を持っておくことが大切です。
今回の記事では、かかりつけ医がいない方に対して必要性や選び方を解説します。
安心して在宅介護を継続するためにも、この記事を参考に相性の良いかかりつけ医を選んでください。
そもそもかかりつけ医とは?
「かかりつけ医」とは、患者が医師を表現する言葉であり、かかりつけ医を選択するのは患者の自由です。
かかりつけ医は、体調が悪い時に診察をしてもらうのはもちろん、日常の健康相談・予防接種・健康診断など幅広く対応し、必要な時には専門医につなげるなどの対応をします。
かかりつけ医はどうやって決める?
かかりつけ医を決めるのに決まりはありません。
かかりつけ医になってもらうのに、申し込みが必要であったり料金が必要になる訳ではなく選択は自由です。
難しく考える必要はなく、いつも通院している医療機関がある場合は、その医師をかかりつけ医と呼んで構いません。自分が信頼できる医師がかかりつけ医になります。相性の良いかかりつけ医を自分で選択することができます。
お元気なためほとんど医療機関にかかる機会がない方でも、風邪を引いた時・予防接種・健康診断などで通院する医療機関をかかりつけ医にすることができます。あまり病院に行かない方でも、なるべく同じ医療機関を受診するようにしておけば、カルテを見て経過を確認してもらえるでしょう。
かかりつけ医はどの診療科の医師になってもらう?
かかりつけ医と言えば総合的に診察してもらえる内科医が思い浮かびますが、どの診療科の医師でも問題ありません。一般的な診療を行っている開業医ではどのような症状でも総合的に診察してもらえます。
開業医は「循環器科」「呼吸器科」「泌尿器科」などの診療科を看板に掲げています。今までかかった病気や気になる症状がある場合は、得意とする診療科を掲げている医療機関を受診してみるのも一つです。
高齢者にかかりつけ医はなぜ必要?
最近は、厚生労働省が高齢者に関わらず、子どもや若い世代の人たちにもかかりつけ医を持つことを推奨しています。「上手な医療のかかり方」として普段から気軽に相談できるかかりつけ医を持つように国が啓発活動を行っています。
なぜかかりつけ医が必要なのか詳しく見ていきましょう!
普段の健康状態を把握してもらえる
高齢の方がかかりつけ医を持っていると、いつもの健康状態を把握してもらえているのでいざという時にも安心です。
定期的に診察してもらうことで普段の様子がわかってもらえているので、体調の異変や認知症の初期症状などの変化に気づいてもらえるケースもあるでしょう。今までの病歴や心身状態、介護の状況などあらゆることを踏まえた上での診察をしてもらえます。
大きな病院には主治医の紹介状が必要
最近では、専門的な治療が必要な場合などに大きな病院にかかりたい時は、紹介状がないと受診できない病院が多くなっています。
実際に何か症状があった時に、自分の判断では何科を受診したら良いのかがわからない時もあるでしょう。そのような場合にもまずはかかりつけ医に相談すれば、的確な診療科への紹介をしてもらえます。かかりつけ医から医療機関に紹介状を記載してもらえれば、普段の病状や検査データなどを適切に伝えてもらえ、受診予約もスムーズです。
専門医を受診したあとには、再度かかりつけ医に情報を提供してもらえるので、病状が安定したあとも引き続きフォローしてもらえます。
介護保険サービスには主治医意見書が必要
介護保険サービスを申請するときには主治医意見書が必要です。かかりつけ医が医学的な視点から、その方の介護の必要性を主治医意見書に記載します。
かかりつけ医がいない場合は、自治体が指定する医療機関を受診すれば記載してもらえますが、一度診察してもらっただけのドクターに記載してもらうのには不安が残ってしまいます。かかりつけ医であれば実情に即した意見書を作成してもらえるので安心です。
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訪問看護サービスを受けるには訪問看護指示書が必要
訪問看護とは、自宅にいながら日常の健康管理・医師の指示による医療処置・リハビリテーションなどが受けられるサービスです。介護保険・医療保険いずれかの保険を使いサービスが受けられます。
看護師や、理学療法士・作業療法士などのリハビリテーションスタッフが訪問看護サービスを提供する際には、主治医からの指示を文書で受けなければなりません。この指示文書を訪問看護指示書と言います。
在宅介護で医療管理が必要になった場合にも、かかりつけ医がいればすぐに訪問看護指示書を記載してもらい、スムーズに訪問看護サービスが使えるようになり安心です。
かかりつけ医がいない人のおすすめ選定ポイント
今までかかりつけ医がいなかった方はどのようにかかりつけ医を選定すれば良いのでしょうか。
近隣にはさまざまな医療機関があるため迷ってしまうかもしれません。選定ポイントをチェックしておきましょう。
通院しやすい場所にある
かかりつけ医は日常的に健康相談をするためにも、できるだけ自宅から通いやすい場所にある医療機関が良いでしょう。遠方であれば足が遠のいてしまい、受診を中断してしまうことになりかねません。
また、遠方であれば体調を崩した時などいざという時にすぐに通えない場合もあります。近隣にクリニックがある場合は、風邪を引いた時や予防接種の時などに通院してみて雰囲気を確認してみるのも良いでしょう。
親身に話を聞いてくれる
かかりつけ医との相性はとても大切なポイントです。親身になって話を聞き、病状について丁寧に説明してくれるかかりつけ医を選びましょう。
その場限りの受診であれば問題ありませんが、かかりつけ医とは長いおつきあいになるので普段から気になっていることを気軽に相談できなければ信頼関係が築けません。
お医者さんと話すのに緊張してしまったり、相談しにくい雰囲気があるようなかかりつけ医であれば変更を検討するのも一つです。
あらゆる症状を総合的に見てもらえる
専門性よりも総合的にみてもらえるかかりつけ医がベストです。かかりつけ医は複数でも問題ありませんが、内服や診療内容が重複してしまわないように必要な情報やお薬手帳などは医師と共有しておく必要があります。メインとなるかかりつけ医は決めておき、眼科や皮膚科など必要な専門科を受診するのが良いでしょう。
専門性の高さではなく、どのような症状でも総合的に診察してもらえて、必要な時に専門の医療機関に連携してもらえるなど、総合力で選ぶと良いでしょう。
ケアマネジャーと連携してくれる
要介護者には、認知症や介護サービスについても知見があるかかりつけ医がおすすめです。
ケアマネジャーとコミュニケーションをしっかりとってくれるかかりつけ医であれば、介護保険サービスとも連携しやすいため、在宅介護が必要になってきた時にも安心です。
訪問診療・看取りの対応をしている
高齢の方であれば、通院できなくなった時のことを考えておく必要があります。かかりつけ医が訪問診療の対応をしていれば、通院ができなくなった時にでも自宅に往診してもらうことが可能です。
通院ができなくなってから往診医を探し、一から関係性を築くよりも、コミュニケーションが取りやすいかかりつけ医に引き続き往診してもらうのがベストです。
訪問診療に対応しているかかりつけ医であれば、看取りや死亡診断書の作成まで対応してもらえる場合もあります。
特に、病院ではなくご自宅での最期を希望する方であれば、看取りについてどこまで対応できるか相談しておくと良いでしょう。
健康管理手帳 りずむのおと
毎日の血圧や体重をグラフに記入、反対面には血圧などの健康指数が一覧表になっているので、どの項目が不調なのか?ひと目でわかります。
日々の健康状態・食事や排便・体や心の調子を記録しておくことで、病気などの兆候にも早めに対処できます。また、何か変化があった際に医療関係者に見せることで、診断にも役立ちます。
信頼できるかかりつけ医を見つけよう
今回の記事では、かかりつけ医について解説しました。
医療や介護を受ける機会が増える高齢者にとっては特に身近で頼りになるかかりつけ医の存在は重要です。
今まで病気一つしたことないから大丈夫!と思っている方も、ぜひかかりつけ医について考えてみてください。
投稿者プロフィール
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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