私は、親の介護をきっかけに、全く未知の「介護」というものについて知りたくて介護系の資格の取得を考えました。
そこで学んだ知識を在宅介護に役立てることができています。
今回は、親の介護を行うために、私がとった資格で良かったと思うものや他のおすすめの資格、その取得方法やメリット、注意すべき点などについてお話していきたいと思います。
経験談も書いていますので、参考になったら嬉しいです。
では、実際に、在宅介護に役立つおすすめの資格を見てみましょう。
在宅介護に役立つ資格4選
資格というと「敷居が高い」「試験が苦手」という感じを持っていませんか?
下記の資格は、実務経験のない人や、介護に関する資格を持っていない人でも資格が取得できるものです。試験があったとしても、取得難易度はそう高くはありません。
- 介護職員初任者研修
- 福祉住環境コーディネーター(2級・3級)
- 准サービス介助士
- レクリエーション介護士
それぞれの資格について詳しく説明していきましょう。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、少し前まではホームヘルパー2級と呼ばれていた資格で、「介護を始める際にはぜひ取得しておきたい!」という位置づけの資格でもあります。
私も約20年前に無知の状態から初めて取った介護の資格がこれに当たります。(20年前なので「ヘルパー2級」という資格です)
実際に在宅介護でも、この資格の勉強をしていたことがあらゆる場面で役に立ちました。
現在では、介護職員初任者研修の資格の取得には、自宅の勉強だけでなくスクーリングが必要となりますので、ネットなどで通いやすい最寄りのスクールを探すことがオススメです。ハローワークや自治体などで募集される事もあるので、広報などで確認しておくと良いですよ。
コースによってばらつきはありますが、概ね1〜4ヵ月あたりが取得期間の目安となっています。
福祉住環境コーディネーター(2級・3級)
福祉住環境コーディネーターの資格は、介護に用いる用具の知識、介護に必要な環境作りにポイントを置いています。バリアフリーに関する知識、住まいの知識などを活用することで、在宅介護に必要な環境作りに取り組む時に、大いに役に立つことでしょう。
日常ではほとんど意識することのなかった小さな段差も、体力の衰えとともに転倒のリスクとなります。福祉住環境コーディネーターとしての知識があれば、今まで気づけなかった細かい不便な部分に気づくことができるようになります。
高齢者はとにかく転びます(父も2週間に1度は転んでます)。転倒は寝たきり原因№1ですから、私もとても気を付けています。
福祉住環境コーディネーターの資格には、3級、2級、1級があります。3級、2級に関しては、受験資格はありませんので、誰でも受験可能です。
独学で取得することも可能です。独学では不安な方は通信で学習することもできます。
資格の取得期間は、おおむね1~3ヵ月ほどとなっています。
准サービス介助士
准サービス介助士の資格は、介助を主としている資格です。在宅の介護でも、難聴で会話が成立しにくい時や、一部介助しながら身体を動かすことがあります。そんな時、介助に関する幅広い知識があれば、介助相手とのコミュニケーションもスムーズになりますよね。
准サービス介助士の資格は、通信で学習することが可能となっており、検定試験も在宅で受けられます。
概ね3~6ヵ月で自分のペースで取得することができます。
レクリエーション介護士
レクリエーション介護士の資格では、高齢期の心理状態や対話術を学び、楽しく活動できるようなコミュニケーションが取れるようになります。
介護状態になっても、動かせる箇所をしっかり運動し、自然に楽しみながら活動ができるようになるのです。
レクリエーション介護士には2級と1級があります。2級は特に受験資格はありませんが、1級は先に2級に合格しておく必要があります。
2級は通信教育で取得が可能となっており、試験も在宅試験となります。学習期間は概ね3ヵ月ほどとなっています。
1級は通学と実習が必要となります。
【経験談】どんな場面で役に立つ?
身内の介護・介助において、資格は必ずしも必要というわけではありません。
けれど、資格の勉強で得られた知識があれば、在宅介護中のいろいろな課題が解決できることもあります。
では、実際に介護系の資格を取得しておくと、在宅介護におけるどんな場面でどんな風に役に立つのでしょうか?
20年前にヘルパー2級の勉強して感じた、私のいくつかの経験例を挙げてみます。
食事の介助やトイレの介助など
介護の資格の勉強をしていると、食事や排泄に関する介助の基礎知識を学ぶことができますし、 声掛けのタイミングやプライバシーの保護、具体的な介助の手順を知ることができます。
私が初めて見た、介護のプロの父への介助は、移乗介助でした。自分より年を取っている女性の介助士さんが半身不随の父を声掛けと少しの介助で軽々とベッドから車いすに移動させた時は、ほんとに驚きました。
家屋の改修や福祉機器(車いすや杖など)の選定など
父は、杖や補装具なしでは1歩も動けません。しかも、年齢を重ねると、筋力も衰えるし、歩き方や起居の動作も変わってきます。杖や補装具も状態を見ながら変更しないといけませんでした。
今は、ネットでも福祉用具が選べる時代です。
用具の知識があれば、その人に合った福祉用具を選定するときに役立ちますし、使用の際の注意点などにも気を付けられます。
私の場合、父のADL(日常生活動作)に合わせて用具を変更したり、杖の高さを調整したり、手すりの設置位置など、日常の介護に非常に役に立ちました。
コミュニケーション力が上がる
家族の在宅介護では、以前の元気な状態の相手と同じように接してしまいがちですが、資格の勉強をしていると、昔と違う本人に、どのように対応していけばよいのか理解できるようになります。
基本的な対人援助法を学ぶことができるので、自分の気持ちの変化にも気づきやすくなったし、他の家族の気持ちにも配慮ができるようになったと思います。
自分の世界が広がる
親の介護をしていると、どうしても「自分だけがこんなに苦しい」とか、「誰も助けてくれない」などと思いがちになります。
私は、資格取得のためにスクールへ4カ月ほど通いましたが、そこに通学している人たちは、自分と同じような境遇の人や介護を職業にしている人が非常に多かったです。
世の中には介護を必要としている人がこんなにもいる、自分たちだけが特殊なのではない、と感じられたことはとても大きなポイントだったと思います。
誰かに助けてほしいと思った時に
家族で介護をしていると、どうしても自分だけで解決しなければならないと考えてしまいがちです。
資格習得のための学習は、困った時の相談先や地域や医療の連携、様々な介護保険サービス等についても幅広く学べました。
どうしても無理なときは「助けて」と言えばいいんだ、と知っていれば気持ちが楽になります。
注意すべきこと
資格を取得するにあたって、必要なスクーリングは必ず受けなくてはいけません。
自宅で介護中だと、同居家族や自分の代わりになる人間がいないため家を空けられないという人もいますよね。
その場合は、通所介護や施設への短期入所などを上手く利用しましょう。
事前に親のケアマネージャーに相談しておくと、対処してくれるでしょう。また、資格を取るにあたってのいろいろな悩みや不安も話してください。
家族の状況は、ケアマネージャーはアセスメントとして知っておかねばならないことですから。
独学でも大丈夫?
家族の介護に必要な知識は、書籍からでも十分に得られます。
介護保険制度などの法律上のことから認知症ケアや介護技術に関することまで、時間に縛られることなく存分に学習できます。
セミナーや通信教育等は、お金が掛かることもありますし、まずは興味のある分野、知っておきたいと思う分野の独学から始めるのも良いのではないでしょうか。
余談ですが、もし、今後の人生で「介護」の職種に興味があれば、資格を持っていることは非常に有利な条件となりますよ。
私もヘルパー2級の資格を取得し、訪問ヘルパーとして介護の仕事を始めました。最終的に父のケアプランを立てられるケアマネージャーを目標に、あっという間に20年を超えました。
まとめ 資格で不安は0にはならないけれど…
介護系の資格を取得するということは、同時に今まで知らなかった介護に関する知識を得るということです。
介護には”テクニック”があり、相手に負担をかけることなく、さらに自分自身の負担を減らしながら介護することができるのです。
ただ、介護に関する知識があったとしても、在宅で介護をする不安は完全になくなることはないでしょう。
介護される側も不安や心配事が一杯です。
ちなみに、私もまだ親の介護続行中です。
「お互いが不安なんだ」という相手を思う気持ちと、正しい知識や技術に裏付けされた介護力、誰かに頼ってもいいんだという心のゆとりがあれば、なんとか在宅の介護も頑張っていけるんじゃないかと思います。
投稿者プロフィール
- 介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。
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