30代前半で親の介護に直面!Q&Aで見る仕事や結婚・親との関係とは?

介護の豆知識

30代前半で親の介護に直面した人は、いろいろな悩みを抱えています。                

介護のあり方は十人十色で、正解はありません。

この記事では、ケアマネジャーである筆者が様々な悩み相談を受けた際に答えた内容を書いています。
あなたに似た人はいますか?

この記事が30代前半という若い時代に介護に向き合うことになったあなたに、何がしかのヒントになればと願います。

30代前半で介護を始める人たちは

30代前半は、仕事にプライベートに充実する時期です。

親の介護が始まるピークは40代ですが、20代〜30代の若年層にも介護に直面している人たちがかなりいます。30代前半で介護に直面すると、周囲に同じような経験をしている人が少ないため、情報が入りにくく、一人で抱え込んでしまいがちです。

私が管理していた事業所でも30代前半で親の介護をしていた人たちは、10人以上もいました。
それぞれに違う環境で、違う問題を抱えての介護です。

30代前半で親の介護に直面した人たちの悩みいろいろ

30代前半で親の介護をしている人はどのような悩みや不安を持っているのか、受けた相談事をもとに、Q&Aを紹介します。

「ケアマネージャー」や「ヘルパー」って何をする人?

父が要介護状態となりました。退院後は母が介護をすると言っているので、直接私は関係ないかなと思うのですが、同居してるし独身だしで、やはりいろいろ協力しなきゃいけないだろうと覚悟しています。最近、母の話に「ケアマネージャー」「ヘルパー」「社会福祉士」などいろいろな職業の人が出てきますが、私同様母も名前は知っているけれど、何をしてくれる人なのかよく分からない状態です。どう付き合えばいいですか?

高齢者の生活を支える社会保障制度は、かなり複雑で、使いこなすためには手助けが必要です。そこで役に立ってくれるのが専門家。

まず、「ケアマネージャー」です。「ケアマネージャー」は正式には「介護支援専門員」と言います。ケアマネージャーは、介護保険を利用して介護サービスを受ける場合に欠かせない専門家です。介護保険サービスは市区町村に利用申請し要介護状態と認定されたら利用できますが、具体的な介護プランはケアマネージャーに依頼するのが一般的です。ケアマネージャーの計画に従って具体的な介護を担当するのが「ヘルパー」です。

介護保険のほか、いろいろな社会福祉サービスの相談や利用申請を受け付けるのが「包括支援センター」です。介護は、ケアマネージャーがたてた計画書に沿ってチームでその人を支えるものです。そのチームの中には家族も入っているんですよ。

分からない時や困った時は、遠慮せずに専門家やそのプロたちに聞いたり相談したりして下さい一生懸命応えてくれると思います。

父の介護をしたくない

父親が脳梗塞で入院し、要介護状態になりました。母親は自宅に引き取って介護すると言いますが、母親も身体が丈夫な方ではなく、「子どもが親の介護をするのは当たりまえ」と思っているように感じます。父は、昔から酒を飲んでは家族に暴力をふるうような人でした。私は父の介護をしたくない。一人暮らしをしながら仕事をして自分の生活を築いてきました。父のために私の人生もお金も使いたくありません。

過去の経験から介護をしたくないという気持ちがある人も、実は結構います。この場合は、リハビリのために老人保健施設の入所を検討するのがいいのかなと思います。入院中なので意向を医師や相談員、ケアマネージャー等に伝えましょう。老人保健施設は一定の入所の期間が決まっていますので、在宅で介護をしたいお母さんと、お父さんの様子を見ながら具体的に話をすることができます。また、入所している間に、施設の職員と介護について話しをしたり、お父さんの状況によって特別養老人ホームへの入所の申し込みをするなどの準備もできます。相談者も、慌てて仕事を辞めることなくその期間を上手に利用して会社と就労の継について話し合いましょう

自分たちの介護や入院、生活にかかる費用は両親自身に負担をしてもらいましょう。主たる介護者はお母さんなのでお母さんの気持ちを優先し、あなたは「自分にできる範囲を手伝う」ということで介護に参加をしている事になります。ただ、1~2週間に1度は顔を出して「元気?」と声をかけましょう。

「成年後見制度」ってどうすればいい?

一人暮らしの親が認知症で、徐々に悪化してきています。これまでは、財産の管理や収支管理などなんとか自分が手伝ってきましたが、最近、ケアマネージャーや金融機関から成年後見制度の利用を求められました。どうすればいいでしょうか。

子どもでも親の預金を自由に引き出すことはできません

認知症で判断能力が低下している高齢者の場合の財産管理は、判断能力が低下した本人に代わり法定代理人である成年後見人らが本人の財産管理や施設への入所契約などをする「成年後見制度」を使います。利用するには、家族から家庭裁判所に申し立てます。申し立てには、必要な書類や手続き等が必要です。詳しいことは、担当のケアマネージャー親の住所地の包括支援センターへ尋ねてみましょう。

金融機関に制度利用を届け出れば成年後見人の権限で本人の預貯金を必要に応じて引き出せます

ただし、財産管理には本人の希望・意思を十分に尊重・確認すること、家族間で紛争を招く原因にもなるので、じゅうぶんに家族間・親族間で話し合ってこの制度を利用してください。

婚活で知り合った男性に認知症の母のことを打ち明けたい

婚活で知り合った男性と付き合っています。最近、結婚の話も出てくるようになりました。とてもやさしくていい人だとは思っているのですが、私には認知症の母親がいます。まだ、それほどの症状が出ているわけではないですが、徐々に悪化していくことでしょう。知らせるべきだとは思いますが、その心構えを教えてください。

とても難しいことですね。もし、お母さんが介護が必要な状態であれば、今の状況を早く知らせるべきです。

このような話題は重たいものなので、相手の人の心情に配慮して適切なタイミングや方法を選び、誠実に話をするよう心がけましょう。包み隠さずに話すことで、相手との信頼関係を築けるかもしれないしその後の関係をもっと深めることが出来るかもしれませんもし、話しにくいと感じたら、相談に乗ってくれている介護士さんやケアマネージャー、相談相手になってくれる人に同席してもらい現在の状況や症状、介護の必要性などを伝えてもらうのも一つの方法です。

誰もが認知症になったり介護が必要になったりする可能性はあります。ぜひ前向きな気持ちで相手の人とコミュニケーションを深めることができるよう応援しています。

親の介護はどこまでやる?

母が若年性認知症と診断されました。まだ若い親の介護ってどこまでやらないといけないのでしょうか?

若年性認知症の場合は、初期の葛藤と不安の時期が非常に大変な期間になります。介護者も苦しく辛い時期ですが、本人はもっと苦しく辛く悲しい時期になります。特に若年性認知症の場合は、本人に病識があるので仕事のこと・家族のこと・今後のことなどの葛藤や不安が深いです。

30歳で50代の母親が若年性認知症になったという知り合いがいますが、同居しようと言った彼女に母親が私がひとりで生活できる間は一人で生活させて欲しい。どうしても一人で生活できなくなったら、飼ってる猫と一緒に暮らせる施設へ入れて。」と答えたそうです。その後、彼女は東京と福岡を3か月に一度のペースで訪れています。若年性認知症は進行が早いので、今はやり取りが難しくなりましたが、当初母親が言った言葉が忘れられない、と彼女は言います。

親の介護は、親が亡くなると終わります。どこまでやらないといけないという決まりはありません。

あなたが「もう無理」と思った時に、施設へ入所するなどの変更を受け入れましょう。施設へ入ったからと言って介護は終わりませんが、プロに任せると気持ちが楽になります。

親不孝介護 距離を取るからうまくいく

「長男だから、親を引き取るか実家に帰らないと」「家族全員で、親を支えてあげないと」「
親のリハビリ、本人のために頑張らせないと」「親が施設に入ったら、せめて、まめに顔を見せに行かないと」そんなものは必要なし!

「親と距離を取るから、介護はうまくいく」。
一見、親不孝と思われそうなスタンスが、介護する側の会社員や家族を、そしてなにより介護される親をラクにしていきます。

まとめ

介護はいつまで続くかわからない、そして一人で抱え込むと状況はより深刻になります。

自分で分からなくても既にいっぱいいっぱいになっている可能性もあります。

でも、今は、介護保険があります。介護に必要な「ヒト・モノ・カネ」「ココロ」の問題は恥ずかしがらずにケアマネージャーや包括支援センター、市町村の担当課に相談してください。分からない時は専門家に適切なアドバイスをもらいましょう。周りに相談できる人や場所が必ずあります。

一人で介護をしている人こそ、一人で抱え込まないことです。

父親の介護が必要になった30歳の職員は、不安だらけながらも介護保険や他の福祉制度、介護休業制度などを使いながら介護を続けています。家で介護が無理になったら一旦はサービス付き高齢者住宅へ入居しようと親と話したんだと最近話してくれました。

親の介護で必要なことは、親を最優先することじゃなく自分の生活を優先して心の余裕を持ち続けることです。頑張っているあなた、これから頑張ろうとしているあなた、なぜ頑張らなきゃいけないのかと思っているあなたも、ぜひ周りの誰かにその話をしてみて下さい。きっと、力になってくれるはずです。

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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