親の介護をしていると、ついつい頑張りすぎてしまうことはありませんか?
また、親の介護をしている方を見て「親の介護について頑張りすぎではないだろうか」と思うことはありませんか?
高齢化社会の日本では、介護をしながら働いている方がたくさんいらっしゃいます。総務省「就業構造基本調査」の介護をしている雇用者の男女別の年齢階級別構成割合をみると、男女ともに「55~59 歳」の割合(女性 22.0%、男性 22.0%)が最も高くなっています。また、男女の合計でみると 40 歳代~50 歳代の割合が6割を超えています。40歳代~50歳代というと、会社でも重要な役割を担っている方も多いのではないでしょうか。中には子育て中の方もいらっしゃいますよね。
親の介護と仕事、プライベートを両立していくにはどうしたらよいのか悩むこともあると思います。そこで、この記事では親の介護を頑張っている方に向けて介護の実情や限界まで介護を頑張る必要がない理由を解説しています。また、介護をしながら仕事を続ける方法もご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
親の介護の実情は?
あなたは、親の介護についてどのようなことを考えていますか?
人生100年時代といわれる現代、介護はまだ先のことと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
介護について親と話し合っていたり、事前に準備をしているなど、物理的精神的に準備をしていることが理想ですが、現実では突然介護が始まることもありますよね。そして、場合によっては長く続くこともありますし、金銭的・精神的・肉体的にも大変な状況になることも。
また、介護といっても「在宅介護」なのか「遠方介護」なのかでも変わってきます。ここでは、遠方介護をしている筆者の体験談も交えながら介護の実情をご紹介していきます。
在宅介護をしている方の場合
在宅介護とは、施設などに入居せず、自宅で介護をすることです。介護が必要になっても、親の住み慣れた家や地域で生活することは、本人らしく過ごせる環境でしょう。また、年をとっても自宅で過ごしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
ですが、家を離れて生活をしている子どもにとっては、また親元に戻らなければなりません。その際、引っ越しや転職など環境を変えざるを得ない方もいます。環境の変化や慣れない親の介護で疲れてしまうこともあるでしょう。しかし、親の様子をすぐに確認できるので、何かあっても素早く対応することができるのは安心ですよね。
厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によりますと、介護をしている方の約半数弱にあたる45.9%が同居をして介護を行っています。そのうちの16.2%は子どもが介護をしています。
遠方介護をしている方の場合
遠方介護とは、親と離れて暮らしたまま介護が必要な親のサポートをする介護のことです。
親は自分の住み慣れた家や地域で暮らすことができますし、子どもは自分の住んでいる家や職場などを変えずに済みます。子育て中の方であれば、引っ越しによって子どもの学校などを変えずに済みますので、安心ですよね。
ですが、介護のために頻繁に親もとへ通う必要が出てきますので、親と自分の住んでいる場所が遠ければ遠いほど、通う時間や費用などが膨らみます。また、仕事や子育てなど、自分の生活サイクルに親の介護が追加されますので、精神的にも肉体的にも疲れることがあるでしょう。
厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によりますと、介護をしている方のうち11.8%が別居の家族等が介護をしている状況です。
筆者も遠方に住んでいる父の介護を行っています。キーパーソン(主介護者)は筆者の母ですが、何かあった場合には筆者がかけつけ対応をします。定期的な病院受診や介護保険の訪問調査など事前に日程が決まっている予定であれば、都合をつけやすいです。ですが、介護にはイレギュラーも発生します。急な体調不良やケガなど緊急の場合には、すぐに対応することができません。このような場合に備え、事前に家族間で話し合うなど準備が必要です。
親の介護を限界まで頑張る人の特徴
親の介護について限界まで頑張ってしまう人の特徴について、代表的なものをご紹介します。限界まで頑張りすぎた結果、あなたが心身を壊してしまったりしないよう、自分の状況と比較しながら読んでみてくださいね。
特徴①真面目な性格
責任感が強く、何事にも真面目に取り組むのはあなたの長所です。ですが、介護には「正解」がありませんので、完璧にこなせないこともあります。
責任を持ち真面目に取り組むことで、思い通りにできなかった時には、自分を責めたりストレスを貯めたりすることにつながってしまいます。
特徴②我慢強い
我慢強い性格の方は、何事も我慢して自分を犠牲にすることはありませんか。
介護は「タスク」がたくさんあります。例えば、ごはんの用意をする、トイレへ連れていく、病院の付き添いなど、一つ一つは難なくこなせるタスクでも、すべてを行うと大変です。また、親や他の親族から発せられる愚痴や要望など、我慢してきいているとストレスの原因になってしまいます。
我慢をした結果、ストレスが爆発し「介護を投げ出してしまう」なんてことにならないよう注意しましょう。
特徴➂気を使いすぎてしまう
よく、周囲をみているあなたは、他の人が気づかないささいなことにもよく気が付くでしょう。そのため、親に気を使いすぎてしまうことはありませんか。常に緊張状態で気を使っていては疲れてしまいますよね。また、気を使いすぎてしまうと、知らず知らずのうちに「親らしい生活」「親のできること・役割」を壊しかねません。
親の介護を限界まで頑張る必要はありません
大切な親なので、最期まで介護をしてあげたいと思う方もいらっしゃると思います。ですがあなたの限界を迎えるまで「介護をしてあげたい」「介護をしなくてはいけない」と思う必要はありません。頑張りすぎてしまうとストレスや悩みの原因になってしまいます。
次では、なぜ介護を限界まで頑張らなくても良いのか、理由をご紹介していきます。
精神的に疲れてしまうから
親に呼ばれるたびに、親の望むまま介護をしていると、いつ親から呼び出されるのか気になってしまいます。また、介護をしているときに「親がちゃんとできているかな」「いつもと様子が違うことはないかな」と気を使いますよね。
介護は終わりがありませんので、いつまで介護をすればよいのか分かりません。介護で気を使ったり、いつ呼ばれるか分からない状況が続くと精神的に疲れてしまいます。
身体的に疲れてしまうから
介護が必要な度合いは、親の身体機能や生活環境、介護の協力者の有無、サービスの利用頻度などによって変わってきます。一般的に、要介護度が高い方の方が介護に必要な割合が高いです。
介護の内容も、動作を見守ったり付き添ったりするだけで十分なこともありますし、オムツ交換やごはんを食べさせるなどさまざまです。
すべての介護をあなた一人で行っているとしたら、椅子に座って休まる時間がとれないなんてことはありませんか?
親の介護のためにずっと動き回っていると、あなたの身体が疲れてしまいます。特に夜間のオムツ交換やトイレの付き添いなどは、介護者の睡眠時間にも影響してしまいます。介護者の十分な睡眠時間や休息時間の確保ができないと、身体的なストレスが蓄積されてしまいます。
経済的に疲れてしまうから
ちょっと様子を見る程度、休日に買い物へ一緒に行く程度だった親の介護も、病気やケガによる親の状況の変化により介護にかかる時間が増えることがあります。
働いている方の場合、自分が仕事をしている時間帯に親の介護が必要になったら「働き方を変えなくちゃ」と考えるかもしれません。そして、実際に仕事を辞めてしまう。そうなると、今までもらっていた収入が途絶えてしまいます。
急な病気やケガ、オムツや介護用品の購入など、介護では想像以上にお金がかかります。安易に仕事を辞めてしまうと経済的に疲れてしまうでしょう。
親の介護をしながら仕事を続ける方法
では、精神的・身体的・経済的に疲れないよう介護をしていく方法はあるのでしょうか。
親の介護はひとりで抱えがちになってしまいます。もし、頼れる家族や親族がいるなら頼ってみましょう。また、力になってくれる近所の方でも大丈夫です。親の介護をあなた一人でか抱えこまないようにすることが大切です。
他にも、仕事をすることも疲れないようにする秘訣です。
仕事へ行くことによって、親の介護と離れる時間ができ、気分転換になりますよ。また、経済的に心配することも少なくなるでしょう。次では、親の介護をしながら仕事を続けていく方法をご紹介します。
介護の相談をしよう
まずは、介護のことで相談できる人や場所をチェックすることが大切です。
親の介護のことで、ひとりで悶々と悩むのではなく、専門家に相談するとスッキリしますし、解決策が見つかるでしょう。
介護について、相談ができる窓口として以下があります。
- 地域包括支援センター
- 市町村の福祉課
- 居宅介護支援事業所
- 医療機関
- 地区の民生委員
- 家族介護者向けの交流会
他にも、兄弟や親族など介護に関わる方と相談をすることもおすすめです。親の状況を共有できますし、何かあったときの対応なども相談しておくと安心ですね。
サービスを利用しよう
「親の介護なのに、人に頼んでいいの?」「サービスを利用することに抵抗感がある」
こう思っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、介護保険で使えるサービスや民間のサービスなどを利用することは悪いことではありません。むしろ、サービスを上手に組み合わせて利用することで、親やあなたの負担を減らすことができます。
一口にサービスといっても、内容や料金形態はさまざまです。介護にはお金がかかりますので、予算を決めて利用することが大切です。
介護保険で利用できるサービス
介護保険で利用できるサービスには以下のものがあります。
- 要介護1~5と認定された方が受けられるサービス
- 要支援1・2と認定された方が受けられるサービス
サービスの内容は大きく分けると以下のものになります。
- 介護サービスの利用に関する相談・ケアプランの作成
- 自宅で受けられる家事援助等のサービス
- 施設などで受けられる、日帰りや泊まり(長期間または短期間)で受けられるサービス
- 訪問・通い・泊りを組み合わせて受けられるサービス
- 福祉用具の利用に関するサービス
介護保険を利用するには、要介護(要支援)の認定を受けている必要がありますので、親の要介護認定について一度チェックしておきましょう。
他にも、お住いの自治体で行っている独自の介護サービスもありますので、窓口で確認してみてくださいね。「窓口まで行くのはちょっと…」と迷われる方は、お住いの自治体のホームページをご覧になるのもおすすめです。
介護保険について詳しく知りたい方は、こちらも併せて読んでみてくださいね
民間のサービス
企業などが行っている民間サービスを利用するのもおすすめです。サービス費用は自費になりますので、介護保険サービスに比べ割高になりますが、自由度が高いので、可能な範囲で個人の状況に柔軟に対応してくれます。
介護保険外のサービスも頼めたりしますので、利用の有無に関わらずチェックしておくと、いざという時に役立ちます。また、相談やお試し利用を受け付けているところもありますよ。
会社の制度を利用しよう
育児・介護休業法により定められている、介護と仕事の両立ができるような支援制度があります。休暇や休業、勤務場所、就業時間の調整などがあります。また、会社独自の制度がある場合もあります。
どちらの場合も、対象や申請方法などに決まりがある場合がありますので、注意しましょう。
介護と仕事の両立支援制度については以下のようなものがあります。
- 介護休暇
- 介護休業
- 短時間勤務等の措置
- 所定外労働の制限について
- 時間外労働の制限について
引用:厚生労働省 介護休業制度
制度を利用する際は、自分の現状を理解してもらうことが大切です。親の介護については状況が一人ひとり違います。会社側にあなたの現状を伝える際は、親の「病名」や「介護度」など基本的なことの他にも「介護未経験の方でもイメージしやすい伝え方」を心がけると良いでしょう。
まとめ
親の介護を日々頑張っているあなた。親の介護で限界を迎えてしまう前に、まわりの人やサービスに頼ってみてください。
また、介護と仕事、プライベートの両立には「周囲の理解」が必要です。親の介護で限界を迎える前に少しでも早く職場や周囲に相談し、理解者を増やしてくださいね。
投稿者プロフィール
-
複業中のママライター。
作業療法士として介護施設で働いています。
Twitterで介護に関する情報を発信したり、脳梗塞で倒れた父の介護をメインで行っている母の体験談を電子書籍にし出版しています。
最新の投稿
- おすすめグッズ・サービス2023年12月28日テープ式大人用おむつのお試しパックが便利!おむつは各社試してから買おう
- 親の介護2023年10月31日親の介護で限界をむかえる前に知っておこう|介護と仕事を両立する方法
- 介護の豆知識2023年9月13日要介護1で一人暮らしはできる?|利用できる在宅介護サービスと対策を教えます
- おすすめグッズ・サービス2023年5月1日親の介護で役立つアプリをご紹介!アプリの特徴・選ぶときに大切なことは?
コメント