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「最近、もの忘れをする。よく探しものをしている・・・」と、いつもと違うご家族に不安を感じることがありませんか。
高齢者の方が認知症になるのは知られています。じつは、高齢者でなくても認知症状を発症する「若年性認知症」になる場合があるのをご存じですか。
この記事では、若年性認知症は何歳から起こるのか、認知症状の疑いがあるかどうか目安となるチェックリストをご紹介します。
最後まで読んでいただくと、専門職への相談や診察を慌てずに受けられ、治療や対応方法がわかります。ぜひ、参考にしてください。
若年性認知症は何歳から何歳まで?
18歳から64歳までに発症する認知症を「若年性認知症」と呼ばれ、全国で3.57万人と推計されています。男女差は、男性57.8人・女性36.7人(10万人あたり)と、男性に多い傾向です。発症年齢は平均51.3±9.8歳で、50歳を過ぎる頃から増加します。
若年性認知症になる基礎疾患は、脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症、頭部外傷後遺症、アルコール性認知症、前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症などがあげられます。
ご家族は、もの忘れ・職場や家庭での作業ミス、以前よりも怒りっぽくなるなどの性格の変化が起こる順で認知症状に気づくそうです。
参照:若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について
若年性認知症は高齢者の認知症と何が違うのか
若年性認知症と高齢者の認知症では発症年齢が違います。ほかに、高齢者の認知症との違いは何があるのでしょうか。医学的な側面と本人を取り巻く環境に分けてお伝えします。
医学的な側面から
加齢による心身機能の低下が少ない分、周囲の方は認知症状に初期段階で気づくことが多いでしょう。
若年性認知症と高齢者の認知症の違いは基礎疾患です。
高齢者の認知症は、記憶障害が徐々に進行していくアルツハイマー型認知症が代表的な原因です。そのほか、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。
若年性認知症は脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症、頭部外傷後遺症、アルコール性認知症、前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症があげられます。
若年性認知症と高齢者の認知症の違う点は、進行のスピードが速く、生活習慣病が原因で起こる脳血管性認知症やアルコール型認知症が含まれる点が特徴です。
本人の周辺を取り巻く環境から
職場での役割が担えなくなる
若年性認知症になったご本人は働き盛りで、職場で重要な職責を担っている方も多いです。
「取引会社との商談の日時を忘れる」「見積もりの計算を間違える」「いつも行っていた作業を忘れてしまう」など、役割を果たすことが困難になってきます。
収入が減り、家族を守る責任感がストレスに
認知症状の進行に伴い、多くの方は仕事の役割を変更しなければならなくなり、収入は減少してしまいます。ご本人の「家族を守る」責任感がストレスとなり、認知症状が進みやすくなります。
配偶者による介護の負担や子どもへの影響がある
日常生活でも家族や職場のサポートが必要になります。しかし、配偶者の方も働いていて、子どもも教育中のケースが多く、配偶者の負担は大きいです。
また、子どもの教育面や進路などに対して経済と介護の面から大きな影響を及ぼします。配偶者とともに、介護する必要がある子どもも少なくないでしょう。
若年性認知症かもと不安になったとき!おおよその目安となるチェックリスト
若年性認知症かもしれないと不安になったとき、おおよその目安となる認知症のチェックリストがあります。
認知症チェックリスト
☑ 財布や鍵など、ものを置いた場所が分からなくなることがありますか
☑ 5分前に聞いた話を思い出せないことがありますか<
☑ 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
☑ 今日が何月何日か分からないときがありますか
☑ 言おうとしている言葉か、すぐに出てこないことがありますか
☑ 貯金の出し入れや、家賃や公共料金の支払いは一人でできますか
☑ 一人で買い物に行けますか
☑ バスや電車、自家用車などを使って一人で外出できますか
☑ 自分で掃除機や放棄を使って掃除ができますか
☑ 電話番号を調べて、電話をかけることができますか
10項目のチェックからなり、1(問題なくできる)、2(だいたいできる)、3(あまりできない)、4(できない)と点数化されています。合計点数が20点以上の場合、認知症の可能性があるとのことです。
若年性認知症の相談窓口
ご家族が認知症ではないかと心配されたとき、まずは若年性認知症かどうか相談しましょう。認知症の治療やご本人への対応について知ることが大切になるからです。
- 地域包括支援センター
地域包括支援センターは市町村に設置されており、医療・介護に関する相談に対応するほか、相談内容に応じて適切な関係機関へつなげる支援を行います。
全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)
(引用:厚生労働省 地域包括ケアシステム)
- 医療機関のもの忘れ外来
近年、もの忘れ外来を開設している医療機関が増えています。認知症に特化しているので、相談内容や検査などをもとに総合的に判断してくれます。
全国のもの忘れ外来一覧(引用:公益社団法人認知症の人と家族の会)
ほかにも、若年性認知症に関する相談窓口は、若年性認知症コールセンターや認知症110番などがあります。本人への対応や、活用できる公的な制度などについて幅広く相談を受け付けています。
若年性認知症の早期診断にはどのような検査があるのか
- 問診
気づいた症状や家庭や職場での様子、何か疾患があるか、服用している薬、家族歴などについて尋ねられます。認知症のチェックリストの結果も参考になるので、メモといっしょに持参すると伝えやすいでしょう。
- MMSE(ミニメンタルステート検査)
図を描いたり紙を折ったりする軽度の動作を行ったり、年齢や日付などの質問を行います。30点満点中23点以下で認知症が疑われます。
- 改訂長谷川式簡易知能評価スケール
30点満点中20点以下だと、認知症の疑いが強いとされています。
WMS-R(ウェクラー記憶検査)
総合的な記憶検査です。言語や図形を使った問題で記憶力や集中力、注意力などを評価します。
血液検査
記憶力低下の原因の一つである甲状腺機能低下を調べます。
エックス線CT・MRI
脳の形や萎縮している場所を調べます。
SPECT(単光子放射断層撮影)
放射線薬剤を投与して脳を撮影する検査です。初期の認知症では明らかな脳萎縮が確認しにくいです。SPECTを行うと脳内血液量の低下している場所が分かります。これにより、脳のどの部位に脳萎縮が起こり、どのような認知症状が伴いやすいか判断しやすくなります。
認知症状について相談・診察をしてもらうには、「神経内科」「精神科(心療内科、神経科など)」を受診します。最近は「もの忘れ外来」を開設しているところもあります。
認知症の予備軍軽度認知障害とは
記憶や判断、実行能力などの認知機能に障害が起きているものの、日常生活には大きな支障のない、ごく軽度の認知症予備軍(MCI)があります。ご本人も周囲の方も、「たまたま忘れていたのでは」と見落としがちです。
早めの相談で軽度認知障害を発見されると、認知症状の改善が可能になる場合もあります。
専門家へ相談し早期診断への一歩を踏み出して
若年性認知症は18歳から64歳までに発症します。
普段と違う感じがすると感じていても、「仕事が忙しいから」と受診は遅れがちになります。
チェックリストで該当する項目がないか確認してみましょう。
複数のチェックリスト項目に当てはまるようでしたら、早期相談・受診をおすすめします。
早期からの治療によって、認知機能の改善や維持、進行が緩やかになる可能性があります。また、金銭面や将来のことについて、ご本人の意思も確認することも大切です。
相談・受診の際は、チェックリストを活用し、ご家族が気づいた症状についてまとめておくと、相談・受診のときに役立つでしょう。
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投稿者プロフィール
- 理学療法士歴22年目になるWebライター。病院勤務で、医療保険・介護保険でのリハビリ業務に従事。現在は、デイサービスで高齢者の方への生活リハビリを提供。多くの介護者やご家族の方と関わってきた経験をもとに、介護をしているご家族の方へ情報を発信したいと活動中。
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