高齢な親の突然倒れた!に備える法的措置を知っておこう

高齢な親が突然倒れてしまったら、何をどうしていいかわからず焦りますよね。

この記事では、高齢な親の突然倒れた!に備える法的措置についてまとめています。

高齢者を支えているみなさまはもちろんのこと、高齢のご家族がいる方もご一緒に考えてみませんか。

「健康寿命」という言葉を聞いたことがありますか?

「健康寿命」とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間 』(WHO世界保健機関の定義)、すなわち人の手を借りずに自立した生活を送れる期間といえます。
現代の日本では男性の健康寿命は72.14歳、女性の健康寿命は74.79歳(2016年厚生労働省発表)です。気になるのは、「健康寿命」と「平均寿命」との差の期間で、男性8.84年、女性12.35年なのです。

どうして気になるのかというと、この差の期間は、誰かの手を借りたり、公的支援や介護を受けたりして暮らしているひとりで自立して生活できない期間になるのです。

この期間を「ヨタヨタ・ヘロヘロ」とよろめきながら過ごす期間として「ヨロヨロ期」(百まで生きる覚悟 超長寿時代の「身じまい」の作法/春日キスヨ 著)や、「ヨタへロ期」(老~い、どん! あなたにも「ヨタへロ期」がやってくる/樋口恵子 著)と呼ばれています。春日キスヨ氏は現代人の人生は「ピンピンヨロヨロドタリ」と終わる、と言われています。

「ヨロヨロ期」をどう過ごすか、考えておきましょう

「ヨロヨロ期」といっても、ピンとこない方もいるかもしれません。人は、身体の衰えを徐々に感じて、何か起きるごとに対策をとることが可能であればよいのですが、皆さんがそうとは言えません。

「終活」とは「死後の葬儀、納骨、財産の相続対策等を考えておくこと」だとひと昔前まではそのようなとらえ方が多くありました。もちろんそれも大切なことですが、しかし、医療の日進月歩により「平均寿命」が年々更新されるため「健康寿命」も伸びてはいるものの、50年前のように「ピンピンコロリ」とは逝けない現代です。

「終活」はこの「ヨロヨロ期」をどう過ごし「身じまい」していくのかを、まず自分で考え、それを実現するにはどうしたらよいかを家族・親族・支援者・専門家と相談しておくことが非常に重要といえます。

実際に高齢者は倒れた時の備えをしている?

元気な高齢者に次の①②③のような質問をした時の回答の多くは次のとおりとあります。

具体的に、倒れた時の備えとして、どんなことを考えればよいのか、私どもとも関わりのあるAさんがどのように「ヨロヨロ期」を想定して対策をとられていたかをご紹介しましょう。

Aさんのケース お母さまの介護を通して

Aさん
80歳・女性・子どもなし
賃貸住宅に独居

Aさんは高校を卒業してずっと会社勤めで、定年退職後、10年にわたりお母さま(大正生まれ、認知症、分譲マンションでAさんと同居)を介護されました。

介護保険制度がスタートした頃で、当初は利用方法もよくわからず、退職後の自分の時間をほとんどお母さまの介護のために使われたといいます。施設等に入りたくないというお母様の希望を尊重して、介護された日々は壮絶だったそう。最期は食事ができなくなり入院をしたお母さまを看取られたそうです。
その後、Aさんご自身に残された頼れる親族は、県外にいる甥と姪だけで、自分は誰に看てもらい、どのように逝くのか、と切実に考えるようになったといいます。

元気なうちにセミナー参加

Aさんは「自分も認知症になる可能性がある」と覚悟を決め、元気なうちに「終活セミナー」や葬儀社の展示会などに多数参加し、自分に必要だと思われることを約2年間かけて実行されました。

  • 自宅のマンションを処分、身軽な荷物で賃貸マンションに引っ越す
  • 公正証書遺言(★A)を作成する
  • 「見守り契約(★B)・生前事務委任契約(★C)・任意後見契約(★D)・死後事務委任契約(★E)」の公正証書を法律の専門家と結ぶ(★F)
  • 遺言に書ききれないことをエンディングノートに書く

★A 公正証書遺言

財産目録以外は手書きしなければならず、遺言者本人の死後、家庭裁判所での検認を経て、法律的に有効な方式が整っているのが「自筆証書遺言」です(法務局補完制度を利用の場合は検認不要)。公証役場において証人2人を立てて作成する「公正証書遺言は法律的な方式を満たしており、検認不要、公証役場で保管され紛失の恐れもないため、高齢者の遺言の場合は「公正証書遺言」をおすすめしています。

★B 見守り契約

ご本人の信頼できる人に定期的に連絡をとってもらい、心身の健康状態や生活の状態などを見守ってもらう契約。身体の事情により生前事務委任契約(★C)に移行し、判断能力の低下があれば任意後見契約(★D)へ移行します。(あらかじめ★B~Dまでの契約が必要です。)

★C 生前事務委任契約

ご本人の判断能力は問題なくても入院などの事情により、預貯金の管理、役所の手続きなどできないことが生じた場合に依頼することができる契約(あらかじめ委任事務目録にある事項のみ依頼できます)

★D 任意後見契約

認知症などで判断能力が不十分になった場合に備えて、自分がまかせたい人(後見人)を決めておき、判断能力が不十分になった時点で、家庭裁判所が後見人を監督する「任意後見監督人」を選任した時点から、「後見人」に契約ごとや財産の管理をゆだねることができる契約。

★E 死後事務委任契約

自分の死亡後に生じる役所の手続き、葬儀、納骨、住んでいた家の遺品生理等を任せたい人にあらかじめ依頼しておく契約。

★F 「…の公正証書を法律の専門家と結ぶ」

★B~Eを任せられる親族などがいない場合は、自分の選んだ法律の専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)や福祉の専門家(社会福祉士など)と判断能力がしっかりしている間に契約しておきます。専門家と契約を結ぶ場合は★B~Eの契約を一括して公正証書で結んでおきます。

「ヨロヨロ期」は突然に

Aさんがちょうどエンディングノートを書きかけたある冬の朝、目が覚めても起き上がることができず、足が動かない……脳梗塞の発作でした。

Aさんはベッド脇に置いていた「あんしん電話」(行政が民間業者に委託しているもので、Aさんは10日前に設置をしていた)の「緊急」ボタンを押し、その際にベッドからずり落ちて足を打撲してしまいましたが、ナースの呼びかけに症状を伝え、比較的短時間で救急搬送されました。
Aさんは荷物の整理ができていた(①)ので、入院中の服装や持参物の保管場所なども的確。③で契約をしていた任意後見受任者(★G)もAさんの入院中の手続き、持ち物の用意ができました(④のノートに好みの服装も記入あり)。

また、携帯電話には「任意後見受任者」と「甥」がワンタッチ登録してあり、救急隊員はAさんの携帯電話から搬送先の病院を連絡することができました。

★G 任意後見受任者

★B~Eをすべて契約している専門家とは契約を結んだ時点から見守りが開始し、「任意後見受任者」としてご本人に寄り添います。

退院後の生活は入院時から任意後見受任者とともに考える

Aさんは歩けるうちは自宅で一人暮らしをするのが希望でした(④のノートに記入あり)。ですから、急性期病棟から歩くためのリハビリ病棟を希望され、リハビリに励み、入院中に介護認定の手続きを③任意後見受任者が行い、何かあった時はこの方にお願いしたいと心に決めていた介護支援事業所とケアマネージャーを指名し、発作時にベッドからずり落ちたことを教訓にして、次のように暮らしておられます。

要介護1の認定を受けたので、

  • 退院時には介護用ベッドをレンタル
  • 週1回の買い物支援、昼食の弁当配達【見守り付き】、夕食は簡単な自炊
  • 2週間に1度の通院【看護師同行(自費)】
  • 月に2度の任意後見受任者の訪問で金銭管理をしてもらう
  • 終末医療の希望を「リビング・ウイル」(公益財団法人 日本尊厳死協会)に残す

Aさんは、奇しくも「ヨタヨロ期」を迎える前に、できる限りの準備をしていたことにより、結果として退院後は自宅に帰ることができ、もう一度入院前と同様に必要な援助を受けつつ、自分のライフスタイルを維持した生活を取り戻すことができました。

みなさんも、ぜひ、お元気な時に「自分が明日、倒れたらどうするのか」を考えてみてください。「ヨタへロ期」への備えは、「ドタリ」時(終末期)の備えにもつながっていきます。次回はその、「ドタリ」時の備え(終末期の医療・看取り)についてお届けします。

キャプスでは「なな行政書士法人」編集のエンディングノートも販売しています。

いつか何かが起こったときに慌てないためにも、元気なうちからエンディングノートを備えておくことをおすすめします。

わたしの安心ノート

■仕様:A4版 26頁
■発行元:一般社団法人ななライフサポート協会
■監修:なな行政書士法人 岡村 奈七江
■\2008年から毎号1万部発行/

なな行政書士法人 なな行政書士法人 終活ゆとりサポート (nana-gsh.com)

女性スタッフで、シニア世代の終活ゆとりサポートを中心に活動しています。任意後見契約のご相談をはじめ、独居高齢者の支援、障がいを持つ子の親亡きあとの支援など、「心をつなぐ寄り添う終活」を平和都市広島から発信しております。
●広島本社 〒732-0828 広島市南区京橋町 9-15-301 TEL 082-262-7701 ●福山オフィス 〒720-0065 広島県福山市東桜町 2-11-5F TEL084-982-7703

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