在宅介護(自宅)における環境整備とは一体なにから始めればよいでしょうか。
補助金は使えるの?知り合いの工務店?ケアマネージャー?
そんな疑問にお答えします!
在宅介護(自宅)のためのリフォームを検討する
足腰が弱くなったり、視力が落ちると、今まで全く気にならなかった自宅の段差や仕様が思わぬ脅威になることがあります。
- 玄関までのたった一段の階段がつらい。
- 和室と洋室の間にある3センチの差につまずく。
- 階段を登る時に、掴まる場所があったらいいのに。
ひとつひとつは、わずかなことでも、その『わずか』が『たくさん』の日々は、辛いもの。
こんなお困りごとが出てきたら、住宅の改修を検討しはじめる時期です。
住宅改修は誰に相談するべきか
住宅の改修は、多くの人の知識と経験・総合的な知見が必要です。
住宅の改修を希望するご本人、ご家族は自分の状況は理解していても、自宅のどの場所をどのような形で(違法建築ではなく)できるのかを知っている訳ではありません。
もちろん介護に詳しい工務店もありますが、実際の工事をする業者が全員、介護に関する深い造形を持っている訳ではありません。
ケアマネージャーは、介護者の状態や何ができて何ができないか・福祉の専門家です。しかし、工務店の業者のように建築について詳しい知識があるわけではありません。
仮に三者をあげましたが、状況によっては、もっと多くの人がかかわることがあります。
もし、市町村の補助金制度を使用するのであれば、役所の方の出番もあるでしょうし、ホームエレベーターを販売する業者や、医療の現場から、医師・看護師・作業療法士などからの助言を貰うこともあります。
つまり、総合的にすべての人が、お互いの状況を理解しあい、『できること、できないこと』を明確にし、本人・家族にとって一番良い状況を作る必要があります。
介護保険・補助金を使用して住宅の改修をする
介護保険制度では、要介護・要支援の認定を受けた人が、自宅の住宅に手すりを取り付け、段差の解消などの住宅改修を行った際に改修に要した費用の一部が支給されます。
住宅改修費の支給対象となる支給基準額は20万円です。
介護保険を使用して住宅改修を行う場合は、原則として改修を行う前に、介護支専門員が記入した理由書や費用の見積もりを市町村に申請する必要があります。
また、介護保険以外にも、「高齢者住宅改造費助成事業」などを使用することもあります。
まずはご自身のケアマネージャーさんに相談してみましょう。
高齢者にとって、住みやすい住宅とは
では、実際に自宅内の『困った』解消は、どのような場所から考えていけば良いのでしょうか。困っている状況と、場所から考えてみましょう。一般的には以下のような場所を検討する場合が多いです。
- 屋外の段差(玄関に入るための一段の階段が高い)
- 和室と洋室の間の段差(つまずく)
- 階段(階段が登れない・降りるのが怖い)
- 引き戸の鴨居部分(つまずく)
- トイレ(和式である・洋式だが、立つ時につかまるものがない)
- 廊下(車いすがUターンするスペースがない)
- 浴室(手摺がなく立ち上がれない・浴槽との段差が高く恐怖を感じている)
かつての日本の住宅では、一般的であった和室や浴槽の作りが、足腰が弱った現在において日々の生活に及ぼす影響が大きいことがみてとれる状況です。
屋外の段差は、単純に『玄関に入るためのたった一段の段差』ではありますが、外出を阻む巨大な壁になるのです。
住宅改修のその先に
住宅改修や福祉用具は、もともと失われた機能を補助するため・補うためという考えで発達してきました。
ところが、今日では、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や、人としての尊厳を守るという面でも大きな働きをみせています。住宅改修は、単純に自宅をリフォームする、というだけでなく、本人や家族の日々に幸せや潤いや楽しみを運ぶものという側面も持っているのです。
以下に実際の事例のご紹介をいたします。
玄関の階段をスロープに変更したことによって、趣味の会に気軽に出かけられるようになり、笑顔が増えた。
二階のベランダで、自宅からの風景を眺めながら一杯やることが楽しみだったが、足腰が弱くて上り下りが不安に。今は階段昇降機を付けたので、ボタンひとつで二階に上がれる。
「やっぱり我が家の2階からの眺めは最高じゃな!」
ニヤリと微笑む私の祖父の話でした。
投稿者プロフィール
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エレベーターメーカー勤務の経験を持つ。ホームエレベーターや段差解消機の設置の観点から、住宅改修についても学ぶ。
趣味は、着物・和紙あつめ。日本酒、アンティーク家具も好き。
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