- 親と離れて暮らしているけれど認知症が進んできているようで心配
- まだまだ元気だけれど、遠距離なので緊急時にすぐに助けにいけない
- 自分達の生活も大切にしたい
遠距離に高齢の親がいる方は、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
親のことは心配だけれどさまざまな理由があり、身近で介護ができない方はたくさんいます。
親の介護よりも自分の家族のことで精一杯な方、自分の仕事やプライベートを大切にしたい方もいます。また、そもそも親が子どもの世話になりたくないと思っている方もいるでしょう。
この記事では、さまざまなサービスを活用しながら遠距離介護を円滑に行うための対策をご紹介します。
介護する側もされる側もストレスにならない介護の参考にしてください。
親と離れて暮らすメリット
遠距離介護といえば離れて暮らす親の安否など不安も多いですが、メリットもあります。まずは遠距離介護のメリットを考えましょう。
生活スタイルを変えなくて良い
介護のために近場で生活したり同居したりする場合には、生活環境を変える必要があります。
高齢の親であれば、住みなれた自宅となじみの地域で最後まで余生を過ごしたいと望む方も多いでしょう。高齢になってから、住み替えが必要になるのはストレスになる方もいます。
また、子ども世代も今の生活スタイルを変えるのにはストレスが伴います。働き盛りの世代であれば職場を変えたり、子どもの転校が必要になったりするのも大変です。
今さら生活のリズムや価値観を変えるのは難しいものです。遠距離介護は、それぞれのスタイルを保ったまま生活が続けられるのが大きなメリットと言えるでしょう。
程よい距離感での介護
今まで別で生活していたけれど同居を始めることで、ストレスやトラブルになる可能性があります。実の親でも疲れてしまいますが、義理の親となればなおさらです。
一緒に生活していると頑張りすぎて介護疲れを起こすケースも多いでしょう。介護のストレスが限界に達してしまった場合、最悪のケースでは虐待に至る問題もはらんでいます。
親とはあまり近づきすぎず、ちょうど良い距離感で接している方が気持ちよく介護出来る場合もあります。
親と離れて暮らすデメリット
遠距離介護にはメリットもありますがリスクも伴います。デメリットも改めて確認しておきましょう。
緊急時にすぐに駆けつけられない
高齢者が一人で生活していれば、ケガや病気になってしまった時も自分ひとりで対処しなくてはいけません。自分で対処できれば良いのですが、倒れて動けなくなってしまった場合には手遅れになってしまうケースも考えられます。
家族も、入院が必要になった場合は必要な手続きのために遠方から駆けつけなければなりません。仕事を休まなければならない場合や、交通費などの費用負担も大きくなってしまいます。
孤独死の可能性
孤独死の可能性があるのも、親と離れて暮らすデメリットです。日本では一人暮らしの高齢者数が増えているため孤独死が年々増加し、社会問題化しています。
前項で触れましたが、何かの疾患で倒れてしまい自分で対処できなかった場合、死に至るケースが考えられます。最悪の場合、亡くなったことに気づかれることなくしばらくの間放置されてしまうケースも。
こまめに連絡をとったり、見守りの手段を検討したりリスク対策をすることが大切です。
ここからは、遠距離介護に伴うリスクを解消する対策をご紹介します。
【対策1】在宅介護サービスを利用する
介護保険を申請し、介護サービスを利用すればヘルパーの訪問やデイサービスのお迎えなど定期的に誰かが訪問する機会があるので安心です。
ケアマネジャーは、介護サービスを利用する高齢者のケアプランを作成し、モニタリングをする必要があります。何か一つでも介護サービスを利用していれば、担当ケアマネジャーが定期的に電話や訪問をしてくれます。
困った時に相談する相手がわかっていれば、一人暮らしの高齢者も心強いはずです。家族もケアマネジャーとうまくコミュニケーションを取るようにしておけば、遠く離れていても様子がわかって安心です。うまく活用してみましょう。
【対策2】自治体の取り組みを活用
自治体でも、一人暮らしの高齢者に対して孤独死対策としてさまざまな施策を行っています。
自治体独自の取り組み事例は以下の通りです。
- 民間事業者(新聞配達・牛乳配達)が見守り活動に協力
- ヤクルトの配達による見守り
- 見守りを兼ねた配食支援サービス
- センサー・緊急通報装置等による見守りシステム
- 民生委員・ボランティア等による声かけ
- 緊急連絡先や既往症などの情報カード作成・配布
- サロン・コミュニティ活動などの交流
自治体の取り組みは、介護保険を利用していない自立の方でも利用できますので積極的に活用するのがおすすめです。
【対策3】地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターは地域の高齢者の相談窓口なので、離れて暮らす親に何か心配なことがあれば相談してみましょう。
地域包括支援センターは自治体が設置しているので、自治体の取り組みと同様にあらゆる地域の高齢者対応が可能です。役所まで行かなくても、地域ごとに設置されているので身近な相談窓口として活用できます。
【対策4】民間の安否確認サービスを利用する
民間企業でも、安否確認のサービスを実施しています。ただし、民間企業のサービスは費用が高くつく場合もあるので注意が必要です。公的サービスで対応できる場合もあるので、比較したうえで理想のサービスが見つかれば活用してみるのも一つです。
緊急時駆けつけサービス
主に警備会社などでは、緊急時に連絡が取れない時や本人から緊急通報があった場合に、警備員が駆けつけてくれるサービスを提供しています。
民間の駆けつけサービスは、大手企業ならではのネットワークですぐに対応してもらえる安心感があります。火災や防犯にも対応していたり、健康相談に対応していたり豊富なサービスで高齢者を見守ってくれるので、費用とサービスが見合うかどうか確認してみましょう。
みまもり訪問サービス
郵便局も一人暮らしの高齢者をサポートするサービスを展開しています。
「みまもり訪問サービス」は、郵便局員が月に1回30分程度訪問し、そこで知り得た生活状況をメールや郵送で指定の報告先に連絡するサービスです。訪問の際の質問項目が決められており、会話を通し質問を実施し、結果が伝えられます。
また、毎日決められた時間帯に自動音声電話で体調確認を行う、「みまもりでんわサービス」やオプションの「駆けつけサービス」も実施しています。
宅食サービスの配達時安否確認
お弁当の配達時に安否確認をしてくれる宅食サービス業者もあります。
高齢の一人暮らしになると、買い物に行くのや料理をするのに億劫になってしまい、食事が疎かになってしまうことも。宅食サービスを頼めば、栄養バランスが取れたお弁当が毎日届きます。配達時に安否確認までしてもらえれば一石二鳥です。
安否確認をしてくれる宅食サービスの一例は以下の通りです。
上記の宅食サービスには、お住まいの地域が対象外の場合や、安否確認には対応していない地域もあるため必ず確認してください。
また、上記以外にも地元密着のお弁当屋さんが宅配サービスを行っている場合もありますので、調べてみてくださいね。
見守り家電を活用する
離れて暮らす親の安否確認として、お手軽に見守り家電を活用する方法もあります。
- HelloLight…電気のON/OFFがないとメールでお知らせが届く。
- 象印見守りホットライン…無線通信機を内蔵したポットで、使用状況を家族にメールでお知らせする
- みまもり電池…テレビのリモコンなど、単3電池を使用する家電に入れた「みまもり電池」が、家電の使用状況を「みまもりアプリ」に知らせる
他にも、冷蔵庫のドアの開閉をアプリに通知するタイプ・カメラ機能を搭載したロボット型掃除機・見守りカメラ・センサーなどさまざまなタイプがあります。
ただし、カメラやセンサーなどは監視されているようで抵抗感を伴うことも多いでしょう。親のプライバシーも大切にし、安全に見守れる方法を提案してください。
【対策5】親を自分たちの近くに呼び寄せる
親が遠くに住んでいるのは心配だけれど同居は難しい場合は、親を近くに呼び寄せるのはどうでしょう。
同居をすれば、生活リズムの違いからストレスやトラブルになる可能性も考えられますが、いざという時にすぐに駆けつけられる距離に住んでいれば安心です。程よい距離を保ちながら、見守りができます。
ただし呼び寄せは、新しい環境になじむまでは孤独を感じることも。家族が近くにいることは安心ですが、長年住みなれた地域を離れるのに抵抗を感じるケースも考えられます。
【対策6】施設入居も視野に入れる
一人暮らしの不安が強くなってきたら、施設入居も視野に入れて検討しましょう。施設に入居するのに抵抗がある場合は、「サービス付き高齢者向け住宅」や「有料老人ホーム」などであれば、ある程度自由のある生活が可能です。まだまだ介護が必要ではない、お元気な方も入居ができ、介護が必要になってもサポートが受けられます。
施設によっては、行事やイベントなどの楽しみも豊富で、他者との交流を通して生活が活性化する効果も期待できます。プロの介護が受けられ、健康管理や食事管理などあらゆる不安が解消できるでしょう。
離れて暮らす親の心配はサービスの利用で解消しよう!
親に介護が必要になったら心配事がたくさん出てきます。必要な手助けはしたいものの、自分たちの生活も大切にしたいのも本音ですよね。
最近では一人暮らしの高齢者をサポートするサービスの選択肢が豊富です。さまざまな制度や、サービスを活用しながらベストな選択を考えていきましょう。
投稿者プロフィール
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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