高齢者の病院付き添いをサポート!ヘルパーによる通院介助を解説

介護の豆知識

高齢になると、通院が頻回になってきます。定期的に通院する方もいるでしょう。しかし、高齢者が1人で通院するのは何かと不安です。だからといって、家族が毎回付き添うのは負担が大きいもの。

そこで利用したいのが、ヘルパーが病院付き添いをしてくれる通院介助です。今回は、通院介助の概要や利用料金の目安などを解説していきます。

ヘルパーの病院付き添い「通院介助」とは

介護ヘルパーが病院に付き添ってくれる、通院介助。「1人で通院するのが難しい」「家族が付き添えない」といった事情がある場合、介護ヘルパーが通院をサポートしてくれるサービスです。具体的な内容を見てみましょう。

【通院介助の内容】

・外出準備(着替え・持ち物の確認・排泄の介助など)

・乗降前後の移動のサポート

・車(バスやタクシーなどを含む)への乗降サポート

・車(介護タクシー)の運転

・受診の手続き

介護ヘルパーが自宅に訪問し、外出(通院)の準備を手伝います。身支度が整ったら移動や車への乗降をサポート。介護ヘルパーが運転する車(もしくは公共交通機関やタクシー、徒歩など)で一緒に病院に向かいます。病院到着後、受付まで済ませてくれますが、介護ヘルパーは診察室に入室しません。

診察が終わったら、行きと同様に移動や乗降をサポートし、自宅まで送り届けるのが通院介助の一連の流れとなっています。

通院介助は介護保険が適用される

通院介助は、介護保険の訪問介護サービスに「身体介護」「通院等乗降介助」として含まれています。そのため、介護保険の適用が可能です。ただし、誰でも介護保険が使えるわけではありません。

介護保険が適用となる条件

通院介助が介護保険に適用されるには、以下の条件をいずれも満たす必要があります。

【通院介助が介護保険に適用される条件】
・要介護1~5のいずれかの認定を受けている
・ケアプランに通院介助が組み込まれている

そもそも、介護保険を使うには要介護認定を受けなければなりません。要介護認定は、要支援1~2、要介護1~5の全7段階あります。その中で、通院介助が該当する訪問介護サービスは、要介護1~5の方が対象です。したがって、要支援1~2の認定を受けている方は介護保険が適用されません。

また、ケアマネージャーが立てたケアプランに通院介助が組み込まれていることも必須です。介護保険サービスはケアプランに基づいて利用できる範囲が決まっているため、計画に含まれていないと対象外となるのです。

介護保険が適用されないケースとは

通院介助の一部だと思いがちなサポートのなかには、介護保険に適用されないケースもあります。例を見てみましょう。

【介護保険が適用されないケースの例】
・自宅以外の場所が始点・終点
・病院内の介助
・通院のついでに寄り道する など

原則として、出発場所と到着場所が自宅でなければなりません。「バス停で待ち合わせて病院に行く」といったケースは介護保険の適用外です。
そして、病院内での介助は通院介助ではなく、院内介助となります。院内介助は基本的に病院スタッフが行うため、介護保険サービスに含まれないのです。ただし、具体的な院内介助がケアプランに組み込まれている場合は、例外的に介護保険の適用が可能です。

ここで覚えておきたいのが、複数の場所に移動するケース。2021年の介護報酬改定において、通院等乗降介助の算定要件が見直されました。以前の介護保険の対象は、自宅と1ヵ所の病院の行き来のみでした。しかし、改定によって自宅が始点・終点であれば1度の外出で複数の医療機関やサービス事業所をまわれるようになったのです。

【複数ヵ所の外出イメージ】
改定前:自宅→A病院→自宅→B病院→自宅
改定後・パターン①:自宅→A病院→B病院→自宅
改定後・パターン②:自宅→通所系サービス事業所→病院→自宅

ただし「通院のついでに買い物に立ち寄る」といった通院付き添いの範疇を超える移動は、自費になるので注意しましょう。

通院介助の料金の目安

介護保険のサービスを利用する場合、利用者は実際にかかった費用の1~3割を負担します。負担割合は所得によって異なりますが、ここでは1割負担を前提に解説していきます。

1割負担の場合、1,000円のサービスを利用したとすると、利用者は100円支払うことに。通院介助が含まれている訪問介護の利用料金(2023年1月時点)を見てみましょう。

【訪問介護の利用者負担額(1割)】

<身体介護>※食事・排泄・入浴などの介護

20分未満:167円

20分以上30分未満:250円

30分以上1時間未満:396円

1時間以上1時間30分未満:579円

※以降30分ごとに84円加算

<生活援助>※買い物・掃除・洗濯などの支援

20分以上45分未満:183円

45分以上:225円

<通院等乗降介助>

1回(片道):99円

ちなみに、上記は基本的な料金です。介護保険の料金設定は地域によって異なるため、詳しくはお住いの市区町村にお問い合わせください。

では、公共交通機関・徒歩・介護タクシーで通院介助を受けた場合、いくらになるのか目安を紹介します。

公共交通機関やタクシーを利用した場合

バスや電車、タクシーなどを利用して通院する場合、身体介護に該当します。身体介護は時間で料金が段階的に区切られているので、外出準備や移動、受診の手続きなどにかかった時間を合計して金額を算出します。ただし、移送中や院内介助は、例外を除いて介護保険サービスに含まれません。

前述の通り、一連の介助の所要時間が1時間であれば579円。1時間30分以上であれば、1時間の料金に84円加算されて663円となります。

さらに、介護保険サービス料金以外に交通費が別途必要です。付き添う介護ヘルパーの交通費は、利用者が負担します。

・徒歩の場合

徒歩で通院する場合も、身体介護です。外出準備や移動の介助など、院内介助以外の所要時間が対象になります。

つまり、公共交通機関を利用するケースと同様に、一連の介助が1時間なら579円。以降30分ごとに84円プラスとなります。

介護タクシーを利用した場合

介護タクシーを利用する場合は、通院等乗降介助に該当します。利用料金は、1回(片道)99円。片道だけでも乗車と降車があるので、2回分では?と思うかもしれませんが、乗車・降車に区分せず「片道」で算定します。

病院を2カ所まわるとすると、自宅からA病院までが1回目、A病院からB病院までが2回目、B病院から自宅までが3回目の利用となるので、トータル297円になります。

なお、介護タクシーの運賃や介護器具のレンタルなどは別料金です。詳しい料金は、介護サービス事業者の料金体系をチェックしてみましょう。

まとめ

介護ヘルパーが病院に付き添ってくれる、通院介助。乗降車だけでなく、通院前の準備からサポートしてくれるので心強いでしょう。ただし、介護保険を適用するには要介護認定の取得やケアプランへの組み込みが欠かせません。今回ご紹介した適用条件や料金の目安を参考に、通院介助をうまく利用して介護の負担軽減を目指しましょう。


投稿者プロフィール

りんご
りんご
5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。

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