親の介護費用はどれくらい必要?負担を軽くするために利用したい制度

介護とお金

親の介護費用はどれくらい必要なのでしょう。また、誰がその費用を負担するのが普通なのでしょうか。

親の介護が必要になった時、避けて通れないのが介護にかかる費用の問題です。

介護費用は要介護度や介護を行う期間の長さ、利用するサービスや施設、そして介護を受けるご本人やご家族の価値観、ライフスタイルによって様々です。

今回は親の介護にかかる費用について、全体的にどれくらいかかるのか、また介護費用の負担を軽くするために利用したい制度などについてご紹介します。

親の介護費用はどれくらい必要?

それでは、親の介護費用について詳しくみていきましょう。

介護にかかるおおよその費用は?

公益財団法人生命保険文化センターが2018年度に行った調査 によると、在宅介護にかかる一時費用は平均69万円、月々の費用は平均7.8万円となっています(公的介護保険サービスの自己負担費用を含みます)。

また、介護期間は平均で54.5ヶ月(4年7ヶ月)となっており、全期間を通して介護にかかる費用の目安は69万円+7.8万円×54.5ヶ月=合計平均494.1万円かかると試算できます。

一方、介護施設などに入所する場合は、在宅介護に比べ経済的負担が大きくなる傾向にあります。「施設介護サービス費」の自己負担分にプラスして、全額自己負担となる家賃や管理費、食費、その他のサービス費用などがかかるためです。

要介護度別の介護費用の平均

冒頭に書いたように、介護にかかる費用は要介護度や世帯の所得によっても変わります。

介護保険サービスを利用した場合、介護度ごとに1か月あたりの給付限度額が決められており、利用者負担は、各世帯の所得に応じて1~3割までのいずれかになります。

(出典:公益財団法人生命保険文化センター「公的介護保険で受けられるサービスの内容は?」

基本的にはそれぞれの介護度の給付限度額内に収まるようにケアプランを組み、介護サービスを利用しますが、希望や状態によって別の自費サービスを利用するということも考えられます。介護サービスにかかる費用だけではなく、介護用品や住宅改修が必要なケースもあり、負担は少なくありません。

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親の介護費用、誰が負担する?

それでは、こうした親の介護に必要な費用は誰が負担するのが一般的なのでしょうか。

厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」によると、介護費用は介護を要する者(本人)あるいは配偶者の収入や貯蓄から出しているケースが大多数を占め、それ以外の者(子供や兄弟姉妹など)の収入・貯蓄を充てているのは約1割となっています。

とはいえ、親の経済状況や、どこまでの介護を希望するかによっても違ってきますし、「扶養義務」もありますので、できれば早いうちから、親の介護費用をどうするかについて意識しておくことをおすすめします。

親の介護費用負担を軽くするための制度

このように、親の介護がにはいろいろな費用が発生しますが、その費用による負担を軽減する制度が整えられていることはご存じでしょうか。

続いては、介護費用の負担を少しでも軽くするために知っておきたい制度についてご説明します。

高額介護サービス費

介護保険サービスの費用は所得に応じて月々の負担の上限額が設定されていますが、「高額介護サービス費」は1か月にそれぞれの利用者負担上限額を超えた際、超えた分が払い戻されるというものです

対象となるのは保険給付分のみで、福祉用具の購入費や住宅改修にかかる自己負担額、介護施設に入所している場合の食費や居住費などの料金は含まれません。

もし同じ世帯にサービス利用者が複数いる場合は、全員の利用者負担額を合計します。

【高額介護サービス費の自己負担の上限額(月額)】<2022年11月現在>  

高額介護サービス費の負担限度額 – 厚生労働省

特定入所者介護サービス費

所得が低い方の介護施設における食費・居住費の負担を軽くする制度です。

施設サービスを利用する際の食費や居住費は原則として全額自己負担ですが、所得が低い方には所得に応じた自己負担限度額を超えた分が介護保険から給付されます

社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度

特に生計が困難な方の介護において利用者負担を軽減する制度です。

軽減制度を実施している社会福祉法人などでサービスを利用した場合に、利用者負担の1/4(老齢福祉年金受給者は1/2)が軽減されます。

介護保険に関する税金の控除

介護保険料は所得税・住民税の申告の際に控除の対象となります。

介護サービス利用料の医療費控除

施設サービスや在宅サービスの中でも、医療系サービスの利用料は医療費控除の対象となる場合があります。

要介護認定者のおむつ代の医療費控除

おむつの使用が必要で、医師が発行する「おむつ使用証明書」をお持ちの方は、おむつ代にかかる医療費控除を受けられます。

要介護認定を受けた方の障害者控除

申請により「障害者控除対象者認定書」の交付を受けた方は、所得税および市県民税の「障害者控除」または「特別障害者控除」の対象となります。

これらの制度を利用するには、お住まいの市区町村への届け出が必要です。詳細は各自治体のホームページなどでご確認ください。

親の介護が始まる前に、介護費用について意識しておきましょう

親の介護が急に始まると慌ててしまうことが多いものです。

できれば事前にどれくらい費用が必要になるのかを意識して家族でよく話し合い、準備や協力をしながら介護に取り組んでいきましょう。

子供として、親の介護にできるだけのことをしたいと考える気持ちはわかりますが、無理をして共倒れになってしまっては元も子もありません。

親も子供も無理や我慢をせずバランスを取りながら、双方が納得、満足できる介護を模索していきましょう。

介護にかかるお金について詳しい本もいろいろとあります。ぜひ参考にしてみてくださいね。

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